20日で地下鉄サリン事件から30年 当時のオウムの信者は何に魅力を感じたのか 専門家は警鐘を鳴らす
20日で地下鉄サリン事件から30年。当時のオウムの信者は何に魅力を感じたのか。現代社会につながる危険性に専門家は警鐘を鳴らしています。
1995年3月20日午前8時15分。首都圏を走る地下鉄の中で毒ガスがばら撒かれる無差別テロが起こりました。負傷者6000人以上、死者14人。主導したのは麻原彰晃こと、松本智津夫元死刑囚。カルト集団オウム真理教の教祖です。
そんなオウムに理想の自分を求めた人がいます。この男性は1991年、自身が高校3年生の時にオウムに入信しました。
◆元信者の男性:
Q松本元死刑囚の印象は?
「受験勉強からは解放されていたんで色んな本を読んだりとか。そういう時間があったんでその時にオウムのことを知った。ちょうどテレビ番組でオウムと幸福の科学の討論会の番組があって、『あ、なんかいいな』と思ったのがきっかけ」
元々宗教に興味があったというこの男性。テレビで見る派手なパフォーマンスとは異なる質素な修行風景や仏教を基にした理念に共感し入信したと言います。
◆元信者の男性:
「支部に来た時に直接説法会とか、イニシエーション(松本元死刑囚の霊的エネルギーを注入する修行)で会ったことはあります。あとは個人面談とか、今となっては『誰でも当てはまるだろう』とかいうのはあるかもしれないですけど、当時は言われたことが ドンピシャだったんで『ああやっぱり能力があるのかな』とか」
今考えれば誰にでも当てはまる、些細な悩み。それを松本元死刑囚にいい当てられ、松本元死刑囚を信じ切ってしまったと言います。
しかし地下鉄サリン事件が起こり、教団が関与していたという報道を見るうち、教団に対して疑念を抱くようになりました。それでも事件の後も麻原のことを信じ続ける人もいたといいます
◆元信者の男性:
「救済というか尊師の深い考えで我々は今はわからないけど何かがある。(と考えていた)グルは唯一すべてを見通す存在だから。グルから言われたら『おかしいだろ』と思っても、『輪廻転生の修行なんだ』と」
松本元死刑囚が逮捕され裁判を見るうち、教団の空気感に違和感を持った男性は、1997年に教団を離れました。
◆元信者:
「いまだに『何がしたかったんですか』っていう感じ。やっぱり中に入って、自分が信者としてみると、一言で、殺人者が、宗教を利用してってふうには僕もそこらへんはなんか非難されるかもしれないんですけど・・・ だから本当に何が本当に救済なんですかっていう感じですね」
バブルが崩壊し、不安定な世の中でオウムに救いを求めた人々。立正大学で犯罪心理を専門に教べんをとる西田公昭教授は、幹部といわれる死刑囚との対談を通してこう語ります。
◆西田公昭教授:
「罪人なんだけども、彼らも被害者であるという側面は大きくて、被害者になってから加害者になるというのがこういったカルト集団の事件であるし。この2重な側面を持つものなんですね」
西田教授は情報があふれる今の社会で、「信じる」という行為に警鐘を鳴らします。インターネットが身近になった今、「調べる」という行為が簡単になりました。調べた情報が正しいかわからない上都合の悪い情報は見逃されやすいと指摘します。
●西田公昭教授:
「我々が獲得している今の情報っていうのを信じすぎると、実は誘導されて間違った判断になるかもしれない」「一応こうだと決めても、もしかしたら違うかもっていうような、こう、どういうのかな、柔軟な気持ちというか、柔軟なスタイルっていうものを身につけていくことが大事なんだろうと思うんですね」
