ブレーキを踏んだのは2.9m手前…「ながら運転」に奪われた命 父親は講演行脚で危険性訴える「悲しい事故が繰り返されないために」
交通事故の件数が減少しても無くならない「ながら運転」。最愛の息子を事故で亡くし、ながら運転の危険性を語り続ける遺族の男性を取材しました。
県立遠江総合高校で開かれた特別授業「命の大切さを学ぶ教室」。講師を務めるのは、愛知県一宮市に住む則竹崇智さん(55)です。
2016年10月26日。小学4年生だった則竹さんの次男・敬太さんは、自宅近くの横断歩道でトラックにはねられ、下校中にその幼い命を奪われました。運転手の男は事故の直前までスマートフォンでゲームをしていて、敬太さんのわずか2・9m手前でブレーキを踏んだといいます。
則竹さんは病院での一部始終、そして事故を目の前で目撃した長男との会話を1日たりとも忘れることはありません。
講演「右手を握って、敬太の肩を叩いて『おーい、敬太敬太敬太、父さんだぞ』。やっぱり目を開けてくれません。『敬太はさ、なんでも1番。一番乗りするの好きだったでしょ。だからさ、だから敬太は天国まで1番乗りしちゃったね』って。涙をポロポロ、ポロポロこぼしながら語った時の、あの長男の顔と声をですね。私は10年経ちますが、今でもあの時の記憶が蘇ってきます」
事故から7か月が経ち、則竹さんは「ながら運転」の危険性を伝える講演を始めました。同じことを繰り返さないために。そして、敬太さんが生きていた証を伝えるために。こうした思いで臨んだ講演は9年間で370回を数えます。しかし、悲惨な事故は後を絶ちません。
ことし3月、三重県の新名神高速道路で袋井市の一家5人と埼玉県に住む男性が大型トラックの追突事故により亡くなっています。このトラック運転手もスマートフォンを操作しながら、車を運転していました。
静岡県内では2012年を境に年々、交通事故の件数は減少しています。ただ、事故の原因で最も多いのが安全不確認。次いで動静不注意、3番目はわき見運転と運転手の意識が問われる事故が今でも上位を占めています。
則竹崇智さん:「まだまだやっぱりこれが伝わりきれてないところに、私のちょっと悔しい思いがありますけども、やはりこれを伝え続けていかなきゃいけない。残念ですけど、こういった悲しい事故がどんどんどんどん繰り返されていかないために、しっかりと静岡県内でも伝えられるところ、行けるところは行ってお話させていただければと思っております」