3歳長男虐待死の父親に懲役7年 息を引き取る前、長男は肝臓破裂しながら「だい…じょうぶ…」と気丈にふるまう 被告は涙「どんな刑でも受け入れる」
2025年1月、静岡県磐田市で実の息子(当時3)に暴行を加え、死亡させたとされる父親に懲役7年の判決が下されました。父親は弁護人に「どんな刑でも受け入れる」と話して今回の裁判に臨んでいました。
傷害致死の罪に問われているのは、磐田市に住む無職の男(26)です。起訴状などによりますと、被告は2025年1月、自宅内で息子(当時3)の腹部を拳で2度殴る暴行を加え、失血により死亡させたとされています。
5月26日の初公判では「間違いありません」と起訴内容を認めていた被告。これまでの裁判では病院への電話で「階段から落ちた」と嘘の内容を伝えたり、“しつけ”と称して息子に暴力を振るってきた背景が明らかになっています。
「しつけだから」暴力の始まり
2024年4月、磐田市内で妻と2人の息子の4人で暮らし始めた被告。しかし、8月頃から仕事を休みがちになると11月末には退職し、自宅にいるようになります。
被告の勤務先にある保育園に通っていた2人の息子も同時期に退園し、被告と過ごす時間が始まります。妻は平日に働いていたため、育児を担当することになりましたが、育児のストレスや妻との関係も悪化していくと、その矛先は検診で発達障害の疑いがあると医師から言われていた被害者に向き始めます。
ある日。被告は食事が上手くできなかった被害者の顔を肘うちします。右目付近に当たり大泣きする様子を見て、妻は「どうして殴るの」と注意しましたが、その言い分は「殴るなというから肘うちした」と呆れたものでした。
そのほか、クッションに投げつけたり拳骨で頭を叩いたりと日常的に暴力を振るっていた被告。自らも幼少期に父親から暴力を振るわれていたことから、前述の行為を母親に注意されると「しつけだから」と一蹴したときもあったといいます。
事件当日
事件当日午前8時前に妻が出勤のため、自宅を出ます。被告人は被害者のおむつを変える際に「おむつには大便をしていない」と言われ、おむつ内にしていた大便が床などに散らばったことに激高。
被害者の右腕を掴み、腹部を強く2回殴りました。
次第に顔が青白くなるなど容態が悪化したことで、妻に状況を電話で伝えました。被告が妻に「階段から落ちた」と連絡したため、妻から病院へ電話することを提案。同様に嘘の内容を伝えます。この時、妻から今の被害者の様子を詳しく知るために動画を撮ってほしいと言われ、送っていました。
(以下は動画内のやりとり)
被告「〇〇(被害者)大丈夫?」
被害者「はーい」
被告「大丈夫?」
被害者「だいじょうぶ(弱々しい声)」
「肝臓真っ二つ」交通事故レベルの衝撃
被害者は事件から約3時間半後に救急搬送され、手術が行われました。しかし、肝臓がほぼ真っ二つに断裂していたことなどが原因で被害者はその日の夕方に失血死で亡くなります。
解剖を担当した医師によると肝臓が断裂するのは「自動車の交通事故や高所から転落するレベルの衝撃」だといいます。検察は「しつけの域を超えた一方的な虐待行為」と指摘。
被告に懲役7年を求刑し、弁護側は懲役6年と減刑を求めていました。
判決:懲役7年
5月29日の裁判で地裁浜松支部の來司直美裁判長は、「被害者の粗相を理由に暴行する、短絡的かつ身勝手な行動」「日常的にあざができるほどの暴力を振るうなど非難の程度が高い」と指摘。求刑通りとなる懲役7年の判決を言い渡しました。
來司裁判長は被告に量刑の理由などを伝えた後、次の言葉を送りました。『被害者は最後、何を思ったのでしょうか。「お父さんなんで?」「僕、そんなに悪い子だった?」被害者の声を聞くことは永遠に叶いません。あなたがその命を理不尽に奪ったからです。あなたの弱さや未熟さがこのような結果を招きました。我々は自分の罪の重さに向き合い、服役中に欠点を克服し、公判で語った反省・謝罪の気持ちが真実のものであると示してほしいと思っています』
「どんな刑でも受け入れる」被告の涙
「どんな刑でも受け入れる」
被告が裁判前に弁護人へ語った言葉です。
初公判から判決が下されるまで、何度も涙を見せていた被告。
その涙は誰のために流した涙だったのでしょうか。
被告の弁護人は控訴しない考えを示しています。