【リニア】静岡・難波市長「県の姿勢に疑問符」も…川勝知事「筋が通った話」

13日の定例会見でもリニア問題に言及した川勝知事。特に“あの事”については、「非常にわかりやすい。現実に即して言えば、難波市長の言っている通りだと思いますよ」と述べました。川勝知事も納得の姿勢をみせたのは、静岡市の難波喬司市長の“ある見解”についてです。

画像: 【リニア】静岡・難波市長「県の姿勢に疑問符」も…川勝知事「筋が通った話」

静岡・難波市長「県境まで掘ってもいい」 

画像1: 静岡・難波市長「県境まで掘ってもいい」

静岡市 難波喬司市長(5月24日):「工学をやってきたものとしての個人的見解として、県境までボーリングは掘ってもいいと思っている。300m前で止めるという議論については私は賛同していない」

 5月の会見でこのように話した静岡市の難波市長。静岡県がJR東海に対して山梨県内でのボーリングを県境300m地点で止めるよう求めていることに対して苦言を呈しました。静岡県の副知事や理事を務め、川勝知事の“右腕”として長年リニア問題に携わってきた難波市長ですが、かつての“上司”は…。

画像2: 静岡・難波市長「県境まで掘ってもいい」

静岡県 川勝平太知事(5月29日):「難波氏は理事をやめて半年以上になる。この間4回専門部会を開いている」

静岡・難波市長「県の資料を読んで課題があると改めて確認した」

 森副知事が直接、難波氏の所に行って、科学的・工学的に今こういう形で議論をしていると説明したいと思っている。その後、森副知事と面談したという難波市長。

 ところが…。

静岡市 難波市長(6日):「(5月末に)森副知事から県の算定根拠資料と論文をいくつか渡された。市長としてというよりも、技術者魂としてと言った方がいいかもしれないが、すぐにそれを読んで、県の見解について課題があるということを改めて確認した」

一技術者として記者に講義

静岡市 難波市長(6日):「県の専門部会で説明させてほしいと申し上げたが、県からは「それはできない」というのが回答だった」

 県の専門部会への出席を断られた形の難波市長ですが、

 この日の会見終了から2時間後…。

画像1: 一技術者として記者に講義

静岡市 難波市長:「狭い所ですいません。市長ではなくここでは静岡理工科大学の客員教授、あくまで一技術者として見解を述べたいと思う」

 去年10月から大学の客員教授を務めている難波市長は、一技術者として記者に向けた「講義」を始めました。手元に用意したのは…大根。

画像2: 一技術者として記者に講義

静岡理工科大学客員教授としての難波市長
「トンネルを上からみると、長い長方形に見える。こちらから見ているか、この断面を見ているかで全然話が違う。きょうの話の主たるところは、(トンネルを)側面で見ているか、断面で見ているかという話。私は断面で見ている。JR東海と県は側面で見ている。そこで全然見方、議論の土俵が違うということ」

かつての県ナンバー2が「県の姿勢に疑問符」

 これまで県は、ボーリングによる湧水についてこんな懸念を示しています。

静岡県 川勝知事(5月29日):「JR東海の資料に基づくと、(ボーリングで)先進坑の60%の水が出ると書いてある。それにどう対処するかということについて、答えて欲しいと言っている」

 この県の見解に対して…。

静岡理工科大学客員教授としての難波市長
「ボーリングはこのくらいの太さ、(先進坑は)大根でこのくらいだが、どっちでやってもトンネルの中に入ってくる水の量は変わらないという。感覚的に何か変だと思いませんか?」

 一技術者としての難波客員教授によると、ボーリングを県境付近まで進めても水はほとんど出ないといい、県がトンネル工事の60%としていた湧水量も、0.18%だと持論を展開しました。

川勝知事「頼もしい」

 先頭に立ってリニア問題にあたっていたかつての県のナンバー2が、県の姿勢に疑問を投げかけているこの状況に、川勝知事は…。

川勝知事:「まことに頼もしいことだと思っております」

 難波市長を「頼もしい」と表現した川勝知事。いったいなぜなのか? こう続けました。

川勝知事:「一番最先端のところから水が出てくると。そういう風に考えるべきだというのが、難波市長さんの考えですね。一方、こちらの方はですね。先進ボーリングを言ってみれば、トンネルの小さなものと見立てているわけです。従って、先進坑の場合、側壁からも正面からも水が出てきますから。したがって、そうした場合にどういう計算になるかということで、両方とも水が引っ張られると言うことを前提にして、データは同じのを使っている。ですから、その前提になってるデータは一緒ですけれども、非常にわかりやすい」

川勝知事「筋の通った話」

 かつて、早稲田大学の教授を務めていた川勝知事。教壇に立った経験があるからこその目線なのでしょうか、客員教授として行った難波市長の“講義”を評価しました。さらに…。

画像: 川勝知事「筋の通った話」

川勝知事:「現実に即して言えば、難波市長の言っている通りだと思います。だって側壁から水が入りませんから。したがって、冒頭だけでいいと。しかもそれがもし破砕帯まで来たら、そこからは確実に水が、水圧が強いので止めなきゃいけないと、先進坑の場合には、難波市長の場合ですと数百倍になりますよね、先進坑の水の量は。したがって慎重でなくてはならないということをおっしゃっているわけですから、筋の通った話をされていると受け止めております」

 山梨県やJR東海とボーリングをめぐり議論が続く中、難波市長を評価した川勝知事。今後の県はこのボーリングをどうしていくのか、注目が集まります。

     (6月13日放送)