1車線から2車線へ時間帯により切り替わる「動くセンターライン」唯一静岡市の国道1号にある規制が来年度内に廃止へ

静岡県内で唯一静岡市の国道1号にある「動くセンターライン」。この規制が来年度内に廃止される見通しであることがわかりました。廃止に踏み切る理由とは…。

久須美舞記者:
「静岡市葵区の国道1号です。現在、午前8時前。この時間、通勤時間帯ということもあり、ご覧のように車通りが多く、特に上りでは渋滞しています」

 静岡市葵区南安倍の交差点。

 こちらには、一風変わった道路標識がありました。

久須美舞記者
「現在、奥の2車線が上りとなっています。上を見てみますと、中央線と書かれた道路標識があります。その横にも標識のようなものがありますが、今は何も表示されていません」

 お昼時、ある変化が…。

久須美舞記者
「今標識が変わりました。上りは1車線に変わりました。下りは2車線になり、車が行き交っています」
 
 標識が変わったのと合わせて、センターラインを示す道路上の複数のライトも切り替わりました。

 上下合わせて3車線のおよそ2キロにわたるこちらの道路では、午前0時から正午までは交通量が多い上りが2車線。

 正午から午前0時は下りが2車線となります。

 このように時間帯によってセンターラインの道路標識が切り替わる道路は、静岡県内ではこの場所にしかありませんが、関係者によりますと来年度をめどに廃止する方針だということです。

廃止の理由は危険な運転が相次いでいること

その大きな理由は…
久須美舞記者
「シルバーの車が逆走しています。 危ないですね」

「黒い車が逆走しています。今気付いて戻りましたね」

 危険な運転が相次いでいるからです。

 県警によりますと、こちらの規制の運用区間で2020年からの
3年間で起きた人身事故は77件。

 2008年には中央車線を逆走したバイクと乗用車が正面衝突して、バイクの運転手が死亡する事故が起きました。

 取材中、標識が切り替わる前の1時間では7台の車が逆走。

 事故につながりかねない危険な場面も…。

「あ、黒い車が逆走していますね」

 しばらく走ると対向車に気付いたのでしょうか。

「(ブレーキ見せて)今、ウインカーを出して左車線に行きましたね」

 道路標識の複雑さからでしょうか。

 同様の規制を運用している東京都内の道路でもトラブルが…。

 トラックが走っているのは、右折から直進専用に変わった車線です。

「右折していきました」

 トラックは、そのまま右折してしまいました。

 さらに…

「危ないです」

 無理に右折しようと交差点内に止まり後ろの車の邪魔に
なっています。

利用者は

 危険が付きまとう「動くセンターライン」。

 渋滞の緩和を目的に導入された規制でしたが、全国では廃止する動きが広がっています。

 運用のピークは2001年。

 全国で35カ所ありましたが、2022年には9都県、19カ所に減りました。

 1978年に運用が始まった静岡市の規制区間の付近では、道路が整備されたことで交通量が分散され、2020年には交通量がピークとなった1985年に比べおよそ4割減少しました。

利用者20代女性:
「混んでいる時間で(車線を)調整してくれるのはありがたいが、ちょっと危ないなと」

利用者30代男性:
「切り替わるタイミングがよくわからないので、不安にはなる。どこ走ったら良いのかって」

利用者70代タクシー運転手:
「自分らは仕事でしょっちゅう走っているから自然になっちゃう(走れる)が、タイミングがずれると、あ!っていうのがある」

 県警は、関係機関との調整や住民への説明を行い、廃止に向けた準備を進めています。