欧州の伝染病で生ハムの輸入がストップ 「ポークショック」が静岡県内も直撃 物価高騰とのダブルパンチどこまで…
イタリア産生ハムが輸入できない?!
静岡市の「KOマートファイン」。韓国やイタリアなど世界各国から厳選した食品を輸入しています。そんなこちらの店では、ある商品が入ってこないと言います。
KOマートファイン 草薙店
塚本満美 店長:「うちはこの生ハムでイタリア産を主に置いていたが、輸入がストップしたせいで全然入ってこない。スペイン産やフランス産を輸入しているが、どうしても狭くなっている」
イタリア産生ハムが輸入できない「ポークショック」。理由はイタリアで発生した家畜の伝染病「アフリカ豚熱」です。豚などが感染すると致死率が高いことから政府は1月、イタリアの豚肉や加工品の輸入を停止。いまも停止が続いています。
KOマートファイン 草薙店
塚本満美 店長:「入ってこなくなったのは4月・5月ぐらい。もうどんどんどんどん在庫がなくなってしまって、今はもう全く入ってこない。入ってこないことに関しては、やっぱり売り上げも落ちるし、それを目当てで来られる方もいるので、早くやっぱり輸入再開してほしいというのが一番」
農林水産省によると、日本に輸入される生ハムのおよそ7割がイタリア産ということで、各所に大きな影響を与えているのです。これまで店の商品棚には12種類もの生ハムが並べられていましたが、現在は半分ほどにまで縮小。イタリア産の生ハムが手に入らないことから、多少割高なフランス産やスペイン産の生ハムなどを仕入れ対応しているといいます。
KOマートファイン 草薙店
塚本満美 店長:「やっぱりイタリア産の生ハムが欲しいというお客様も普段も買われていたので、
そういうお客様から『いつ入ってくるのかなあ』なんて聞かれて、もう私たちは『ちょっとすみません。まだ分からないんですよ』って感じで」
買い物客は…
買い物客(80代):「(生ハムは)ときどきパン挟んだりしてね、食べますね。私たちは高齢だから、そんなあんまり肉食も年中とってるわけじゃないけど、(家に)若い人たちもいるからやっぱり買いますね。困りますね、本当に…」
店では「ポークショック」だけではなく、他にも…。
KOマートファイン 草薙店
塚本満美 店長:「最近は何でもそうだが物価が上がっていて、イタリアのものだとパスタ関係とか小麦粉とか値段がどうしても上がってきている。あとはワインもだいぶ値段が上がってきているので、ちょっと今までは毎日飲めたのにという客が、週に2回くらいになったかもという方もいる」
生ハムだけではなくイタリア産ワインも1本あたり100円ほど値上がりしているといいます。
飲食店も悲鳴
ボナデア
芦澤剛 オーナー:「欲しいには欲しい。本当に本当に欲しいです。やっぱり味が違うので」
こう話すのは、静岡市のイタリアンバー「ボナデア」のオーナー・芦澤剛さん。イタリア産生ハムのスライスが人気の店で、他にもサラダやパスタ、ピザなど多くの料理で生ハムを使っています。
ボナデア
芦澤剛 オーナー:「入ってくるのが難しいっていう連絡がイタリアから入ったのは2月の段階。輸入しているイタリア産の生ハムは入ってくるのがゼロで、急遽スペイン産に切り替えるしか方法がないというところだったんで、それを買い上げて今お客様に提供している」
これまではイタリアから毎月12kgから16kgもの原木を仕入れていましたが、輸入禁止を受けて、現在はスペイン産の生ハムを仕入れているといいます。ではイタリア産とスペイン産の生ハムにどんな違いがあるのでしょうか。
ボナデア
芦澤剛 オーナー:「イタリア産の生ハムはしっとりしている。それに対してスペイン産は塩気が強くて固いので、かなり口の中では味の表現としては異なるので、(客も)やっぱりイタリア産が入ってきたらまたお願いするよ、入ってきたら連絡ちょうだいね。これなので僕らからすると厳しい。売り上げ的には」
食材、光熱費の値上がりで店は…
イタリア産生ハムの代用として手に入れたスペイン産生ハムですが、仕入れ値は上がったといいます。
ON(ボナデア 芦澤剛オーナー)
「(生ハムに)代用はないのでそれを買い続けるしか方法がないですから、実際には元々仕入れた値段と比べたらスペイン産を仕入れることによって一番コロナも関係なかった時の値段と比べたら1.8倍ぐらいは違うのでめちゃめちゃ大変」
他にもイタリア料理に欠かせないパスタやオリーブオイル、チーズなどの食材が値上がり、さらに電気料金も上がるなど店にとって厳しい状況が続きます。
ボナデア
芦澤剛 オーナー:「光熱費の値段が上がっている。その状況の中で値段を上げざるを得ないんだけれど、消費者の方からすればそれは厳しいとなれば、売り上げそのものが無くなってしまうので、どうするかはまた今後考えなくてはいけないのかなと思う」