リニア工事で「ツバクロ」への盛り土が必ずしも危険度を高めることにはならないと記者に「特別講義」静岡市難波市長
リニア工事に伴う発生土置き場の候補地「ツバクロ」について静岡市の難波市長は盛り土は災害の危険度を高めない」という見解の理由をマグネットを使ってていねいに説明しました。
午後2時。
静岡市役所の一室に現れたのは静岡市の難波市長です。
集まった記者を前に会見・・・ではなく、始めたのは“講義”。
テーマは「リニア工事の発生土置き場の候補地、ツバクロの安全性について」です。
静岡市 難波喬司市長:
「これは安倍川をパカっと切った形になるが、低水路と上の所に高水敷がある。よくゲートボールや野球をやっている広場があるが、それは高水敷という所にある。
大きな河川になると、必ず高水敷がある。ここに広場がある、今ここに盛り土をすると」
大井川上流に位置するツバクロ。
難波市長は、リニアの工事で出た土をツバクロに盛り土した場合どうなるか、静岡市を流れる安倍川を例に出し説明。
すると難波市長、ホワイトボードに貼り付けた資料を外し、マグネットを使い説明し出します。
静岡市 難波喬司市長
「もしここにかさ上げをすると、ここの水が当然流れにくくなるから、水が流れにくくなるということは、上流の水位が上がるということになる。ですから盛り土をすることによって必ず上流の水位は上がる。ところがツバクロ盛り土はこれではない。これとは違う状態が起きているのにこの状態と同じ考え方で環境影響評価をやろうとしている」
難波市長の「特別講義」は今回が初めてではありません。
さかのぼること半年前・・・。
静岡市 難波喬司市長 静岡市役所 6月:
「なるべく視覚的に分かるように…」
記者:「ホンマにダイコンなんだ。ホンマにダイコンなんだ」
難波市長:「本当にダイコンですよ」
実は難波市長、静岡理工科大学の客員教授も務めています。
この時もダイコンをトンネルに見立てて、記者に対する特別講義を実施。
リニアの工事やボーリングによって湧水がどうなるのか見解を示していました。
リニア工事の残土が置かれるツバクロをめぐっては、
静岡県が、山の内部が崩れる「深層崩壊」の懸念があるとして、JR東海に場所の再検討を求めています。
4日行われた静岡市の協議会で、難波市長は…。
静岡市 難波喬司市長 きのう:
「ツバクロ盛り土なしの時の天然ダムが形成された時の危険度を評価、今までしていないんですね。」
「環境影響評価は、ツバクロ盛り土がなしとありの比較ですので、ツバクロ盛り土がなしのときに、どういう災害危険度があるかを評価する必要があります。」
こう指摘したうえで、最大9000万立方メートルとされる土砂が流出する「深層崩壊」が発生した場合、
盛り土の「あり・なし」よりも、流れ出た土砂によってつくられる「天然のダム」の大きさによって、危険度が変わると話しました。
静岡市 難波喬司市長 きのう:
「確かにある条件の時は、ツバクロ盛り土ありは、ツバクロ盛り土なしに比べて災害危険度を上げるんですけども、そもそも、ここの深層崩壊に対する災害危険度を
一方的に上げる状態にはなってないということになります。」
「ツバクロにできる盛り土」の存在が、必ずしも災害の危険度を高めるとは言えないと主張。
盛り土については県とは異なる意見を出しました。
協議会に出席していたJR東海の担当者は…。
JR東海の担当者 きのう:
「私ども、この場所に土を置くということに対して、やるべきことは当然あると思いますので、8月に静岡県に考え方をお示ししたときも、当然こういったような復旧ですとか災害防止対策については御協力する旨のことを
書いておりますので、その意思は持っているというふうにお話しさせせていただければ、と思います。」
協議会では、「ツバクロの盛り土のついての見解を、
来年開かれる次の会議で、まとめたい」としています。
一方で、5日に行われた「難波市長」の講義でも、ツバクロに盛り土をしたとしても危険性はそれほど高くないという考えを示します。
静岡市 難波喬司市長 午後2時すぎ
「(県が)JR東海にどういう環境影響評価を求めているかというと、盛り土なしで深層崩壊なしの状態、つまりこれ(ホワイトボード上の黄色を差す)です。
盛り土なしで深層崩壊なしの時は何もないからダム湖はできないからこういう状態で普通に河川が流れている。それの時に盛り土がありになったらどうなるかは、これになる(ホワイトボード上のピンク色を差す)。
だから、県はこれ(黄色)とこれ(ピンク)を比較して
こんなに危険になると言っている。
JR東海がツバクロ盛り土をしたからといって、災害危険度の最大値が上がるわけではない」