工場内の地下水が水路に入り込んだか…井戸水から高濃度のPFAS検出 静岡市
静岡市清水区の化学工場周辺で高濃度の化学物質が検出されている問題で、難波喬司市長は清水区の一部に井戸水を当分の間飲まないよう要請しました。
清水区の工場で2013年まで「PFAS」使用
清水区にある三井・ケマーズ フロロプロダクツ清水工場では、「PFAS」と呼ばれる有機フッ素化合物の一種で、発がん性などが指摘される「PFOA」を2013年まで使用していました。市の調査では工場周辺の水路や民家の井戸から、国の暫定目標値の最大26倍の値となるPFOAが検出されています。
そもそもこの化学物質はフライパンのいわゆる「テフロン」コーティングや防水加工の衣類など日常的に使うものにも広く使用されているもの。
市は10月末から毎日、工場周辺の水質調査を行い、11月末までに、市としての対応策を公表するとしていました。
測定結果に大きなばらつき…検査方法の信頼性調査
ところが…。
静岡市 難波喬司市長(11月22日):「さまざまな検査結果が出てきてですね。それを私自身も見て評価をしたところ、どうも測定結果に理解できないようなデータがあるので、改めてこの暫定値ではなくて、しっかりとした検査方法の信頼性のチェックを行うべきではないかというふうに思っています。要するに、ばらつきが結構あるというところですね」
こちらは、静岡市がホームページで公表している調査結果です。50ngという国の暫定目標値を下回る日もあれば、目標値の54倍の日もあるということです。このため静岡市は検査方法の信頼性が確認できるまで、一時的に、結果の公表を取りやめることにしていました。
「信頼性」確認 各地で井戸水から高濃度のPFAS検出
そんな中で開かれた、12日の臨時記者会見。難波市長はデータの信頼性が確認できたとして、これまでの調査結果を公表しました。
静岡市 難波喬司市長:「当初、我々は工場からの排水を問題にしていたが、よく見ると静岡市の雨水ポンプ場から出ている濃度が非常に高いということが分かった」
難波市長は11月22日から毎日行っている水質調査において、三保雨水ポンプ場の排水から1リットルあたり、3900~1万1000ng(ナノグラム)の高濃度でPFASが検出されたと発表。原因としては、高濃度のPFASを含む工場内の地下水が、何らかの理由で雨水が通る水路に入り込んだため、高い濃度が検出されたのではないかと推定しています。
また、地形などの関係からPFAS濃度が低いとされていた折戸地区や駒越地区でも高濃度のPFASが検出されました。三保地区の淡水井戸11カ所で1リットル当たり100~1700ng、折戸地区の淡水井戸2カ所で170~360ng、駒越地区の淡水井戸3カ所で150~210ngと、全ての地点で暫定目標値の50ngを上回りました。
市は今後、三保・折戸・駒越地区の井戸については、当分の間、飲むことを控えるように要請。
また事業者と協議し、化学物質の濃度を低下させるための対策を進めていくほか、住民に対しても随時、調査結果を市のホームページに掲載し、情報提供を行っていく方針です。