台風15号行政対応の最終報告で市長の対応の問題を指摘した背景は 静岡市

去年9月の台風15号の対応について、静岡市はこれまで検証しないとしていた市長の対応に問題があったという最終報告をまとめました。その背景には何があったのでしょうか?

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台風15号行政対応の最終報告で市長の対応の問題を指摘した背景は 静岡市

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田辺信宏市長 27日:
「後悔先に立たずです。あの判断したのは私の責任です」

 27日、反省の言葉を口にした田辺市長。その背景には・・・

伊地健治アナウンサー 去年9月:
「たくさんの流木やガレキなどが詰まってしまっているのがわかります」

 去年9月、県内に猛威を振るった台風15号。

 静岡市清水区ではおよそ6万3000軒が断水し、市民生活に大きな影響を及ぼしました。

 当時、市民から批判や不満の声が上がっていたのが、「行政の災害対応」です。

 静岡市は今回の台風における“市の対応”について、検証結果をまとめた最終報告を27日公表しました。

 92ページにも及ぶ報告書には「情報収集」や「応援体制」など11項目について原因と課題が示されました。

 中でも注目を集めたのが、「市長の対応」です。

 災害対策本部の本部長である田辺市長は災害発生時、敬老会や清水区のお祭りに出席するなど「公務」をしていました。

危機管理総室長
「市長公室も公務の在り方を状況に応じて進言できなかったことなどもありますが、本部長自らも災害対策以外の通常公務を行ったことについて、災害対応と通常公務のバランスの適切性について問題があったのではないかということ」

Q今回の検証結果を踏まえてどう受け止めてますか?

「本質はそこではないと思うんですね。やはり情報というものがきちっと全庁的に集まっていなかったと。その限られた情報の中で私も含めて、市長公室も判断をしたと。それが結果的に批判を呼ぶことになったということでありますので、市民の皆さんが必要とする情報を収集して提供するということが、大きな課題であり、豊富な情報の中から適材適所に私たちの行政が判断するということの必要性を感じたということであります」

Q情報がしっかり収集できて、現状認識ができれば、敬老会だのお祭りだのいかなかったということ?

「おっしゃるとおりです。判断が違ってきたという可能性があるということであります」

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【災害派遣要請】

災害時、注目を集めたのが自衛隊への災害派遣要請です。

 記者会見では田辺市長と川勝知事との不仲が原因で要請が遅れたのではないという指摘も・・・。

 Q知事と市長が不仲だから遅れたと市民の間で語られているが、電話やメールは無かった?

田辺市長 去年10月:
「無かったということが残念。知事とは電話ができません。携帯番号を知りません」

 一方、川勝知事は

川勝知事:
「残念ながら市町から上がってこないということでじりじり待っていた」

 これについて、市がまとめた最終報告では、正式要請の前に先遣隊派遣を市町から直接依頼できることが周知されておらず、対応が遅れたとしています。

画像: 【災害派遣要請】

【中間報告】

 災害対応を巡っては今年1月、中間報告が公表されましたが、静岡市は当時、組織の検証はするものの、災害対策本部のトップである田辺市長の行動については、検証しないとしていました。

静岡市危機管理総室 一柳明俊 総室長 1月:
「最終的な責任は本部長である市長にあると考えているが、現時点で検証することは考えていない。現時点では組織としての検証を進めてまいります」

 田辺市長も会見で…。

田辺信宏市長 2月:
「これは誰が市長になっても、静岡市のこれからの災害対応力、危機管理能力を向上していかなければいけない。ですから、それは行政の各所、どこが足りなかったのかということをきちんと検証する。それが大事なんだと、これは切り離されるべきだと私は思います。(自身の検証は)報告書に記載されるべき性質のものではないというのが私の考え」

 このように話し、自身は検証の対象にすべきではないとの認識を示していました。

 ところが一転、きのうの最終報告では「田辺市長の責任」についても言及。

 一体何があったのでしょうか。

静岡市職員:
「今後、静岡市がどういう方向に進んでいくのかということ、地域防災計画に描かれていることが何ができて何ができなかったかという視点で、中間報告をまとめてきた。その結果、本部長(田辺市長)の役割というところも
地域防災計画にも示されているし、そういったところで組織機能だけではなくて、本部長の役割というところで、最終報告には取り入れさせていただいた」

Q中間報告が出た段階で、なぜ災害対策本部長の市長の行動について検証がないのかという批判が出ました。
そうした声を受けた今回の最終報告でしょうか?

「そうした私たちの思いと、市民の皆さんとの考え方の違いというのか
ズレというところも強く意識して、もう一回、そういったところを注意しながら、検証作業を進めた結果、本部長のあり方というところについても
最終報告には取りまとめさせていただいた」

 田辺市長も、自身の検証は中間報告には必要ないとの認識を示していましたが、その後、自ら検証の対象にしてほしいと進言したといいます。

田辺市長 きのう:
「行政として中間報告を仕上げたということですので、私は市長としてそれを尊重しました。そして、中間報告を公開をしたところ、市民の皆さん、議会の皆さん、記者をはじめとする皆さんからも色々な意見をいただきました。そして私自身もそういったものも一つ一つ虚心坦懐に受け止める中で、
私の方から自分自身も検証の対象にしてほしいと言うことを統括官の方に進言をしました。一転してということではありません」

 静岡市は最終報告を踏まえ、来年10月をめどに災害時総合情報サイトの運用開始を目指すとしています。

画像: 【中間報告】