東静岡アリーナ構想…地元プロバスケチームの思いは 規定満たすアリーナ確保できずトップリーグ申請断念 静岡市
静岡市の東静岡エリアで検討されている巨大プロジェクト。
静岡市 難波喬司市長(去年8月):「必要性については、これは非常に経済効果が高いと実感した。市の予算的に可能、そして民間事業者の方々の参画の可能というのが非常に大事だが、そういうことが可能であればアリーナというのは実現していくべき施設だと思っている」
東静岡のアリーナ構想は、市が所有するJR東静岡駅北口の2万4000㎡の土地に、プロスポーツ観戦で5000席以上、音楽イベントで8000席〜1万席を確保できるアリーナの建設をするもの。建設費は100億円〜200億円と見込まれていて、運営費は年間で2億円から3億円程度とされています。
静岡市 難波喬司市長(去年8月):「経済効果という観点と、それからアリーナは思いましたけど、文化づくりですね。ですから、エンターテインメントとか、単なる楽しみの施設ではなくて、それがあることによって、市民の皆さん、街の皆さんが楽しめる施設になる。そういった面で屋根が付いて、非常にいろんな演出ができる施設というのは、これは文化づくりで大事だということを私は実感しました」
難波市長は「沖縄アリーナ」を視察
一体どんな施設が検討されているのでしょうか。
2021年に完成した「沖縄アリーナ」。去年、バスケットボールのワールドカップ会場としても注目された施設です。照明や音楽など、エンターテインメント性もとても高い施設です。
実は、難波市長は、この沖縄アリーナを視察に訪れています。このようなアリーナをイメージしているのでしょうか。
東静岡駅を利用する 20代女子学生:「いいことだと思う。静岡市に色んな人が来る。駅から近いのは立地としていい。特に反対する理由が思いつかない」
東静岡駅を利用する 20代男子学生:「バスケが好きなんで世界の国の人たちが試合をしてくれたらおもしろそう」
Q.ベルテックス静岡の試合は見る?
A.「しますね」
長沼地区の住人 90代男性:「発展するってことは非常にいいこと。いいとこになればね」
長沼地区の住人 70代女性:「私は賛成はしてない。年寄りが楽しめる所を作ってほしい」
住民説明会で驚きの計画を発表
さまざまな意見がある中、1月、住民説明会が開かれました。非公開で行われた説明会の中で、市長からはこんな話があったといいます。
長沼三区自治会 杉山輝雄会長:「難波市長の話の中では、アリーナからJR東静岡駅、そして静鉄の長沼駅までデッキを作って上に人を通すことを考えているとのことだったので、そういったことが是非実現できれば、ますます長沼が良くなるのかなとそういう気はした」
アリーナと静鉄・長沼駅、JR東静岡駅をつなぐデッキを建設する構想です。この方針ついて、住民からは理解が示されたものの、アリーナが建設された場合の渋滞に懸念の声が上がりました。
懸念は国道1号の渋滞
普段から交通量の多い国道1号。特に休日の夕方の渋滞はさらに激しく、住民が家になかなか帰り着かない状況になると言います。
長沼地区の住人 80代:「私もこの先に住んでいる。土日はすごいですよ、渋滞で。この通りも車が、我々は出入りが大変」
長沼三区自治会 杉山輝雄会長:「渋滞が緩和すればという話ですけど、渋滞が緩和することはないでしょうし。私はどちらかというと、本当に必要なのかと今でも半分感じている」
この点について、難波市長は…。
静岡市 難波喬司市長:「沖縄のアリーナと佐賀のアリーナを実際に見てきて、実際にイベントをやっている日に見た。そこで渋滞という状況にはなっていない。それは運用がしっかりしている。駐車場の入り口を閉めて入れないようにしていますし、その辺はしっかりと運用することは可能だと思っている」
難波市長は、アリーナを建設した場合、駐車場の利用は大会関係者などに限定して客が駐車場を利用できないようにし、国道1号の交通量が増えないような計画にすべきとの考えを示しました。期待と不安が入り混じる、静岡市の巨大プロジェクト。ここに大きな希望を託す声も。
期待寄せるプロバスケットボールチーム「ベルテックス静岡」
静岡市の東静岡エリアで検討されているアリーナ構想。これに大きな期待を寄せている人を訪ねました。静岡市のプロバスケットボールチーム「ベルテックス静岡」の松永康太社長です。
ベルテックス静岡は、去年、プロバスケットボールBリーグの3部から、クラブ創設4年目で2部に昇格。ホームゲームの観客数も着実に増やしています。
ベルテックス静岡 松永康太社長:「やはりバスケとかスポーツ、エンタメがやりやすい環境を望みたいと思いますし、官民連携でやっていければ、素晴らしい場所、箱というか、場所ができるんじゃないかなと思いますけどね」
アリーナ確保できずトップリーグへの申請断念
松永社長が期待を寄せるのには、大きな理由があります。プロバスケットボールBリーグのトップリーグに所属するための規定の一つに5000席以上を収容する本拠地アリーナを確保する必要があります。ベルテックス静岡は、これを確保出来ず、去年トップリーグへの申請を断念しました。
ベルテックス静岡 松永康太社長:「断念せざるを得なかったというのは、我々も選手も応援してくれるファンの方々、スポンサーの方々の熱い思いを感じてやっているので、すごい残念な気持ち。静岡市をホームタウンにしている限り、その場所がない。ホームタウンを移転して5000席確保できる場所で申請を出して名前も変えてやるパターンもある。静岡市から生まれたチームでもあるので、そこをはなれてまでというのは考えられない」
アリーナを静岡の魅力を発信する拠点に
トップリーグを目指すためには、5000席以上あるアリーナが不可欠なのです。しかし、松永社長がアリーナに期待を寄せる理由は、それだけではないと言います。
ベルテックス静岡・松永康太社長:「静岡にはいいもの、モノ作りとかプラモデルとか、いろんないい食材もすごくおいしいお店だったりたくさんありますし、そういう、ただスポーツができる、ただエンタメが見られるっていうよりは、そういう静岡のいいものをアリーナでプレゼンテーションする、そういうのを詰め込んだ場所にしていけば、必ず県外・国外の人が静岡に来てくれると思いますし、その世界を見て、きっと未来の子どもたちはそこを誇らしく思ってくれるんじゃないかなと思うので」
静岡の魅力を発信する拠点として、アリーナを位置づけています。
事業化の可否は年度内に決定の予定
ベルテックス静岡・松永康太社長:「アリーナは求心力は必ずある。50年先を見越した静岡の在り方っていうのをどう考えていくのか、交通渋滞があるからやめる、ではなくて、未来のために何を残せるか、じゃそこで交通渋滞がある、じゃどうしたらいいかっていうポジティブに解決策を考えていければ皆さんと一緒に、きっと糸口があると思いますし、そういう議論を進めていくべきなんじゃないかと思います」
今年度内には事業化の可否を決めたいとしている難波市長。東静岡を舞台にした、ビッグプロジェクト。さまざまな人々の思いを乗せ、今後どのように進んでいくのでしょうか