動き出す『東静岡の街づくり』…構想から30年アリーナ建設事業化に向け6000万円を予算化へ 静岡市

静岡市 難波喬司市長(16日):「新時代の始まり予算という感じでしょうか。一般会計で3534億円ということで、これは過去最大の予算規模になります」

アリーナは『投資案件』

 16日、来年度の予算案について記者会見を開いた静岡市の難波市長。中でも注目を集めたのは、静岡市で構想が持ち上がっている数々の“ビッグプロジェクト”についてでした。

静岡市 難波喬司市長:「アリーナについては施設の基本計画を作るための調査を実施する。アリーナを街づくりの機会として使って街全体の魅力を高めることが大事なので、それについて街づくりの計画の策定の予算も計上している」

静岡市 難波喬司市長
静岡市 難波喬司市長

 今、特にその動向に視線が向けられているのが、JR東静岡駅北口のアリーナ構想。このプロジェクトは市が所有する2万4000㎡の土地に、プロスポーツ観戦で5000席以上、音楽イベントで8000席〜1万席を確保できるアリーナの建設をするものです。

 建設費は現時点でおよそ266億円と見込まれていて、運営費は年間でおよそ5億円程度とされています。

静岡市 難波喬司市長:「アリーナは完全に市にとっては投資案件だと思っている。施設整備に一定の負担をしてできたものは民間事業者に運営していただく。そこで収益を上げてその収益が社会にものすごい効果をもたらすので、そのためにも静岡市としては、どうしてもあれ(アリーナ)はやっていくべき施設だと思っている」

 会見で難波市長は、このアリーナ建設の事業化に向け、来年度の予算案として基本計画策定費3000万円、さらにアリーナ建設に伴う駅周辺のまちづくり整備検討費とし3000万円、合わせて6000万円の予算を計上する方針を明らかにしました。

6000万円の予算を計上へ
6000万円の予算を計上へ

構想から30年…動き出す「アリーナ整備事業」

 これまで静岡市政の課題の1つであった東静岡の街づくりが本格的に動き始める形です。というのも、このアリーナ整備事業はすでに構想から30年以上が経過。難波市長は去年、静岡市長に就任した時から、この事業に対して強い意気込みを見せていました。

静岡市 難波喬司市長(去年8月):「必要性については、これは非常に経済効果が高いと実感した。アリーナというのは実現していくべき施設だと思っている」

 2月2日には難波市長の提案で、予算の審議前にも関わらず、アリーナ事業について市長自らが市議へ直接説明する異例の“説明会”を実施。

 また、1月28日と2月4日にはアリーナの建設予定地である長沼地区の住民に対しても、自ら住民説明会に足を運んでいました。

 2021年に完成した「沖縄アリーナ」。去年、バスケットボールのワールドカップ会場としても注目された施設です。実は難波市長は、沖縄アリーナにも視察に訪れていて、現在の東静岡アリーナ構想の参考にしたものと見られています。

静岡市民は

 本格化するアリーナ整備について街の人は…。

静岡市民 40代:「すごく楽しみ。東静岡は大変アクセスもいいし利用できるならぜひ利用してコンサートとか見に行けるものがあったら行きたい」

静岡市民 40代:「アリーナができれば、いろんなスポーツとかいろんなライブとかのイベントが増えるので、静岡としてすごく盛り上がるかなと。少し前にエコパアリーナにライブとか行ったことがあるが、やはり静岡市の人間だと市内にあると行きやすいなと」

静岡市民 20代:「車でここに路駐されると、少し邪魔かなと思う。今でさえ土日は少し混んでいるので、作られたら…。作ってほしいが大変になっちゃうかなと」

課題は国道1号の渋滞対策

栗田麻理アナウンサー:「JR東静岡駅前のすぐ目の前にあるこちらの土地に大規模アリーナが建設される予定です。アクセスはかなりいいのですが、一方でとある問題も懸念されています」

栗田麻理アナウンサー
栗田麻理アナウンサー

 アリーナ建設を巡って地元住民などから懸念が示されているのが、周辺道路の渋滞です。

栗田アナ:「あちらにJR東静岡駅があります。このアリーナに繋がる道というのがこちらの国道1号です。東西を結ぶ主要道路ということもあり、平日のこの時間帯でも多くの車が行きかっているのが分かります」

 普段から交通量の多い国道1号。特に週末には商業施設周辺で激しい渋滞が発生し、地元住民の悩みの種となっています。

懸念されるのが「渋滞」
懸念されるのが「渋滞」

 1月の住民説明会でも、地区の自治会長からこんな言葉が…。

長沼三区自治会 杉山輝雄会長(1月28日):「渋滞が緩和すればという話だが、渋滞が緩和することはないだろうし。私はどちらかというと、本当に必要なのかと今でも半分感じている」

渋滞緩和に『秘策』

 さらに、渋滞緩和に向け市が構想しているのが、アリーナと周辺の駅をつなぐデッキの建設です。

栗田アナ:「建設が予定されている東静岡アリーナのもうひとつの最寄り駅が静岡鉄道長沼駅です。ここからアリーナまでは徒歩5分ほどで行けるのですが、最短で向かう道がこちらとなっています。こちらの道幅はとても狭く多くの方がここを通るとなるとかなりの混雑が予想されます」

長沼駅からの細い道
長沼駅からの細い道

 現在、静鉄・長沼駅からアリーナ建設予定地のJR東静岡駅周辺までで最短ルートを歩こうとすると、住宅に挟まれた細い道を通らざるを得なくなっています。

 そのため、市はアリーナと静鉄・長沼駅、そしてJR東静岡駅をつなぐおよそ400mの高架型の歩道の建設を構想。

 また、駐車場の利用は大会関係者などに限定して客が駐車場を利用できないようにし、国道1号の交通量が増えないような計画にすべきとの考えを示しています。

高架型の歩道の建設構想
高架型の歩道の建設構想

静岡市 難波喬司市長
Q.事業化の決定はいつ?
A.「基本計画を作っている段階でそこで決めていかないといけない。当然、さらに参画する民間事業者の方々、投資家というか運営をする方々を含めて、話を具体化していくので、その段階で決めることになるので、そんなに長い時間はかからない」

静岡市 難波喬司市長
静岡市 難波喬司市長

 動き出したビッグプロジェクト。今後も注目を集めそうです。