【リニア】ボーリングめぐり静岡県と関係市町に『考えのずれ』 川勝知事「南アルプス守るのは私の使命」 静岡
静岡・川勝平太知事(26日):「(大井川流域市町の)総意と言われているが、そこを一つ一つ確かめる必要があると思っている」
26日の定例会見でも、リニア中央新幹線について独自の見解を示した川勝知事。
実は今、トンネル掘削に伴う湧水などの影響を調べる「ボーリング」をめぐって、県と大井川流域との間に“考えのズレ”が生じているのです。
島田市・染谷市長「流域の総意として早く着実に進めて」
25日、静岡市内のホテルでJR東海と大井川流域の10市町のトップと非公開で行われた意見交換会。JR東海からは、「田代ダム案」の基本合意や環境保全に関しての進捗が報告されました。一方、流域からは「ボーリング」について前向きな発言が。
静岡・島田市 染谷絹代市長(25日):「流域の総意としてモニタリングや高速長尺先進ボーリングについて、流域はどちらも早く着実に進めてもらいたい」
リニア新幹線をめぐっては去年12月、JR東海が田代ダムから水を取る量を抑えて大井川の水量を確保する、いわゆる「田代ダム案」の実施に向け、ダムを管理する東京電力側と基本合意をしています。その「田代ダム」、実は改修工事のため、2月から来年11月までその間、大井川から取水をしないとしています。つまり、水が流出していない今こそがチャンスだと大井川流域側は捉えているのです。
静岡・島田市 染谷絹代市長(25日):「高速長尺先進ボーリングをやることによって、山梨県側に水が流れたとしても、工事期間中においては、(取水中止で)それ以上の水が大井川に戻されるのであれば、後ほど流れた分を返さなくてもいいのではないか」
難波・静岡市長もかつて前向きな発言
流域からはゴーサインが出た「ボーリング」。実は、川勝知事の元側近である静岡市の難波市長からも以前こんな発言が…。
静岡市 難波喬司市長(去年6月):「断層破砕帯が心配だと言うなら、断層破砕帯がある所までボーリングを進めていけばいい。断層破砕帯までボーリングが突き当たったら、そこの量がものすごく多ければ、どうしようかなと考えればいい」
ダイコンをトンネルに見立てて説明し、「県境付近までボーリングを進めても水はほとんど出ない」と主張しました。
川勝知事「総意というが確かめる必要がある」
一方、静岡県側は水問題などの懸念が払しょくされるまでは、県境300m以内へのボーリングについて進めないように求めています。
静岡・川勝平太知事(26日):「(大井川流域市町の)総意というふうに言われているが、そこを一つ一つ確かめる必要があるというふうに思っている。どれぐらい(水が)出るかわからない。ですから、監視体制が明確にならなくてはいけないとは思っている」
ボーリングについて慎重な姿勢を見せる川勝知事ですが、国土交通省は静岡県が懸念する水資源生態系への影響について、専門家が監視・分析をする「モニタリング委員会」を近く発足する予定です。川勝知事はこのモニタリング委員会の判断を待ってから、結論を出すとしているのです。
静岡・川勝平太知事(26日):「流出する問題については、しっかりモニタリングすると言われているので、このモニタリングの体制がどうなるかに関心があります」
Q.高速長尺先進ボーリングをやるかどうかということも、モニタリング委員会の発足を待つというお考えなんでしょうか?
A.「いよいよ本当に国交省が本腰を入れて正面から出てきたと。この南アルプストンネル工事にかかわるお目付け役ということになるわけだから、極めてこれは重要で、3月にはこれを前提にした話になっていくのではないかと思う」
川勝知事「南アルプスの自然・生態系・水資源を守るのは私の使命」
大井川流域市町や静岡市がボーリングに肯定的な意見を示す中、「水問題」に関わることなので慎重にやりたという川勝知事。強気の姿勢は崩しません。
静岡・川勝平太知事(26日):「南アルプスの自然・生態系・水資源。これを守るのは(私の)使命であると思っている。
一旦流出するともう戻ってこないので、しかも、これまでの調査によって、県境から1キロ、静岡県内、これ山梨工区となっているが、ここは破砕帯で多くの水が滞留していることが知られている。従って、ここは慎重でなくてはならない。そうしたところから流出する分の水量は全部戻すという話になっていますから」
この先、川勝知事は「水問題」解決をどういう方針で進めていくのでしょうか。注目が集まります。