【急浮上】静岡駅北口を『地上横断』…歩いて楽しめる街づくり構想 30年前にもあった『幻の構想』とは 静岡市 

栗田麻理アナウンサー:「JR静岡駅北口エリアの前には国道1号があります。市の中心街へ行くには、こちらの地下を通って行く必要があります。街と駅の分断が課題となっています」

栗田麻理アナウンサー
栗田麻理アナウンサー

 静岡市の難波市長が16日の会見で明かした「ある構想」に今、注目が集まっています。

静岡市 難波喬司市長(16日):「静岡市のまちづくりの課題として、JRの静岡駅北口、あそこは歩いて渡れない。駅を降りて、いきなり地下に潜る街は非常に珍しい。駅から地下に潜らないと中心市街地に行けない街は珍しい。そこが課題になっている。これからは歩いて楽しめる街、ウォーカブルとも言ったりするが、歩いて楽しめる街づくりが必要なので、それを検討をする」

 長年課題となっている静岡駅と中心市街地の分断問題。歩いて楽しめる街づくりのため、静岡市は来年度の一般会計当初予算案に関連費として2100万円を盛り込みました。

静岡市 難波喬司市長
静岡市 難波喬司市長

静岡駅利用者は

 ここに来て急浮上した構想。静岡駅を利用する人たちに本音を聞きました。

掛川市民 40代女性
「(地下に降りるのは)面倒くさい。どうやって(国道1号の向こうへ)行こうか考える。その辺に横断歩道ができたらすごい楽。(横断歩道ができたら)目的地に早く行ける」

浜松市民 30代男性
「横断歩道あった方がいい、わかりやすいのが一番。(横断歩道があれば)市外から来てもわかりやすい。地下入っちゃうとわかんなくなっちゃう、慣れていればいいけど」

静岡市民 20代女性
「(地下を通るのは)ちょっと不便だなと思った、ベビーカーもあるのでエレベーター探したり、待ったりするのが大変。信号機があればいいのかなと思うが、交通量も多いので難しいと思ってしまう」

静岡駅北口側
静岡駅北口側

 静岡駅北口を東西に延びる国道1号は現在、4車線あります。横断歩道がない背景から、一歩間違えれば大きな事故になりかねない危険行為も度々目撃されています。

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 実際、私たちが取材中も、横断歩道ではない場所を渡る人が。

【急浮上】静岡駅北口を『地上横断』…歩いて楽しめる街づくり構想 30年前にもあった『幻の構想』とは 静岡市 

30年前には「デッキ構想」

 利用者が望むような「歩道」は実現するのでしょうか。静岡市葵区の呉服町商店街や静岡駅北口広場のデザインに携わった、都市デザインの専門家と共に、現地を取材しました。

 川口名誉教授は今から約30年前にJR静岡駅と中心市街地の分断が問題になった際、ある案を提案したそうです。

静岡文化芸術大学 川口宗敏名誉教授:「2階レベルのデッキを作って反対側に行くという案を昔考えた」

川口宗敏名誉教授
川口宗敏名誉教授

 こちらが、その当時の構想案。静岡駅から商店街方面に向かって円形のデッキが3つ並んでいます。

静岡文化芸術大学 川口宗敏名誉教授:「改札口があるパルシェの2階、それから直接松坂屋とか葵タワーの2階レベルに地上に降りなくていける。それが一番歩行者にとっては便利な動線ではないかと思う。それだと費用もかかったり、かつJR及び周りの民間の企業にも協力してもらわないとできないので、実現しなかった」

 予算などの理由からデッキ構想は実現せず、2008年、市街地へのアクセス改善やバリアフリーの推進などを目的に総事業費48億円をかけて、現在の北口広場を整備しました。最終的には歩行者はそれまでと同様地下道を通ることになったのです。

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地下にしたのは『歩行者の安全』のため

静岡文化芸術大学 川口宗敏名誉教授
Q.地下に下りてしまうと外の様子がもちろんわからない。静岡の良さがわからないのでは?

A.「認識はそうだが、もう一つはなぜ地下に下ろしたかという考えがある。それは自動車と交差しない、歩行者の安全性を高めるために地下に人を下ろした」

 専門家からもこのような声が上がる中で、静岡市が検討をしている交差点の改良は実現するのでしょうか?

静岡文化芸術大学 川口宗敏名誉教授
Q.横断歩道は実現可能、それとも不可能?

A.「それを可能としようと思うならば可能。(横断歩道をつくるのは)さらに国道を分断すること、分断するということは自動車、バス、タクシーも入るが、それらの利便性を低くする。ドライバーにとっては使いにくい道路空間になる、歩行者にとっては喜び。誰かが妥協するという状況になる」

 今回、何かしらの形での「地上横断」を模索する声が上がったJR静岡駅北口エリア。市側が人の流れをスムーズにしていきたいと考えている背景には、いくつかのビッグプロジェクトの存在があります。

再開発進む静岡駅北口エリア

栗田麻理アナウンサー:「JR静岡駅北口エリアは再開発が進められています。4月には、商業施設や専門学校などが入ったM20というビルがオープンします。また紺屋町、御幸町地区の老朽化したビルを解体し、27階建てのビルも建設される予定です」

静岡市 難波喬司市長(16日):「紺屋町と御幸町の市街地の再開発事業。これは長らくとまっていたが、いろんなこともあって、市もいろいろな話し合いもさせてもらい事業が動き始めたので、いよいよこの駅前の事業は動き始める」

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 静岡市ではこの駅前の再開発事業にも、来年度の予算案としておよそ3億円を計上したほか、中心市街地の都市デザインの計画作成に約5500万円を盛り込みました。

 葵タワーの横に建設予定となっているビルは住居などが入る27階建てで、このビルの建設に合わせ地下道も再整備される予定です。

 JR静岡駅北口エリアの「地上横断」や「紺屋町・御幸町地区市街地再開発」によって静岡市の玄関口はどうなっていくのか? 行政側が描く予想図に今後も注目が集まりそうです。