東京ドーム10個分の大規模開発…市長「最後のチャンス」 担当者「周遊の拠点に」 地元からは複雑な声も 静岡・駿河区
静岡市の難波喬司市長が、最後のチャンスと表現する土地が駿河区にあります。東名高速のスマートICが近いものの、手つかずとなっていた開発が新年度から始まることになりそうです。
静岡市 難波喬司市長(2月16日):「新時代の始まり予算という感じでしょうか」
2月16日、新年度の予算案について記者会見を開いた静岡市の難波市長。政令市に移行後、過去最大規模となる一般会計で総額3534億6000万円の予算案を発表しました。
なかでも注目を集めているのは、東静岡に構想が持ち上がっている「アリーナ」についてです。
静岡市 難波喬司市長:「アリーナは完全に市にとっては投資案件だと思っている。アリーナをまちづくりのための機会として使って、まち全体の魅力を高めることが大事」
アリーナには合わせて6000万円の予算が計上されていますが、静岡市では他にも、静岡駅周辺や清水などで街づくりに関するプロジェクトが続々と進んでいます。そんな中、2月28日、難波市長はこれ以外の”ある場所”について言及しました。
静岡市 難波喬司市長(2月28日):「静岡市は面的な開発を十分行ってきていなかった。おそらく、あれだけの規模の再開発、あるいは新しい用地の造成というのは、最後のチャンスぐらいの規模だと思います」
東名高速日本平久能山スマートインター周辺に広大な土地
「最後のチャンス」。難波市長がこう語ったのは、静岡市駿河区で計画が進む大規模開発についてです。これまで、大規模開発ができる平地が少ないことを課題に挙げていた静岡市。そこで注目されたのが、東名高速の日本平久能山スマートインター周辺にある47ヘクタール、東京ドーム10個分にも及ぶ広大な土地です。
前の田辺市政だった2019年に開通した日本平久能山スマートインター。交通の利便性や物流、観光面に期待が高まりました。
しかし、周辺の広大な土地に関しては手つかずのまま。この土地を有効活用しようと、静岡市は新年度予算案に5億9300万円を計上し、道路や公園といった公共施設の整備にかかる費用などを組み込みました。
静岡市 難波喬司市長(28日):「それだけのことをやるんであれば、もうそこを最大限活用して行くということが非常に大事だと思っていますので、そういった観点から組合の事業者の皆さんともお話をしていきたいと思っています」
現地はいま…
今回の開発事業は、地権者たちで設立された組合が主体となって行われます。インター周辺の現在の様子はどうなっているのか? カメラは現地へ向かいました。
静岡市大谷・小鹿まちづくり推進課 宮﨑毅係長:「この辺りが開発が予定されている場所です。現状は農地になっています。非常に平坦な土地で、インターの足元ということもあり市内外から人を呼び込むにあたっては非常にいい所。それに広大な土地でもあるので開発には適している場所だと思う」
山に囲まれ、平地が限られる静岡市にとって、この土地は市全体の発展につながる、大きな可能性を秘めた重要な場所だといいます。
静岡市大谷・小鹿まちづくり推進課 宮﨑毅係長:「市内外から人が集まるような交流の拠点として、まず賑わいを生むような場所になってもらって、それから周辺の観光地、中心市街地といった所、市を周遊してもらうような場所の拠点になってもらえればいい」
この場所には、宿泊施設やスポーツ施設、見学ができる工場などを整備する方針で、2024年度から工事が始まり、2036年度までに全ての区画の整備を終了するとしています。
地元からは複雑な声も
ところが、この土地で長年いちごを生産してきた農園からは開発について複雑な声が聞こえてきました。
いちご園三軒屋 佐藤孝志代表:「実際に今、話が進んできて、どんな街ができるかということよりかは、ここで20年くらい農業経営をしているので、自分の経営がどうなってしまうのかなという漠然とした不安は最初ありました」
計画では、佐藤さんのように農業を続けたいという人の土地を川の西側に集約し、農業目的以外の利用を制限することで、農業環境の保全を図っていくといいます。
いちご園三軒屋 佐藤孝志代表:「人の流れが多くなると思うので、その影響でお店にも良い影響があればいいかなと思っている」
市内各地で街づくりに着手しようとしている静岡市。大規模開発によってさらなる発展を遂げることができるのでしょうか。