「命綱にはリスクも」元消防隊員が責任者の処分に反論 消防士殉職のビル火災、難波市長は「強い危機感」 静岡市
消防士1人が殉職した静岡市のビル火災で、消防隊の小隊長が処分を受けたことについて、当時、現場にいた元隊員の男性が会見を開き、消防局の処分は「納得できない」と反論しました。
当時活動にあたった元消防隊員:「公表されている事故報告書の内容、報道の皆様に伝わっている内容や、きのうの市長の答弁を含めて、事実と異なる部分が多く、現場との見解が異なり、誤解されているところもあります」
難波市長「強い危機感を持っている」
おととし8月、静岡市葵区呉服町で発生したビル火災で、駿河消防署の消防士、山本将光さん(当時37歳)が殉職しました。静岡市消防局は2月、ルールに反して命綱などで体を結ばなかったとして、当時、消防隊の小隊長として指揮を執っていた30代の男性職員を減給6カ月の処分としました。また、静岡市の難波喬司市長も消防局の組織に問題があったとする検証結果を報告しました。
静岡市 難波喬司市長:「改善をしていくということをやらざるを得ないと思う。また同じような事故を起こしてしまう恐れがあるという強い危機感を持っていますので」
「命綱にはリスクも」
これに対し、6日、当時現場にいた元消防士の男性が会見を開きました。
当時活動にあたった元消防隊員:「小隊長の処分に納得ができない。当時の駿河特別高度救助隊は、決して安全を軽視してはいない。そして小隊長の判断や指示は、適正だったということをお伝えさせていただきます」
男性によりますと、命綱はルールで決められているものの、実際の火災の現場では隊員の活動の障害となることもあり、リスクを伴うといいます。
男性は実際に命綱を使用してそのリスクを説明しました。
当時活動にあたった元消防隊員:「このような形ですね。このような形でだんだんと絡んでいきます。単なる活動障害じゃなくて、人命に関わる活動障害が、今のこのスタイルには多くあります。確かに命綱をつけていれば、将光さんが違うところに行ったということは気付くことができたかもしれないです。ただ、それは逆に言えば、僕も本当に一緒に巻き込まれる可能性が高いことなんですよね」
「規則をアップデートしてこなかったことも大きな問題」
男性はルールを現場に即したものにするよう訴えてきましたが、聞き入れられず、去年3月に消防局を退職しました。
記者:命綱のリスクは、他の消防隊も共通認識として持っている?
元消防隊員:「実際にやっていることがある人であれば、共通認識としてあります。間違いなくあります。(活動規則を)アップデートしてこなかった、見直しをしてこなかった体制にも、僕は大きな問題があると思います」