給食から姿消したうずらの卵がピンチ 生産農家は苦境に 静岡・湖西市

 食卓の名脇役とも言えるうずらの卵。その生産農家が今、苦境に直面しています。

 子どもたちが大好きな給食! 親にとって、給食がなかった夏休み期間は…。

●静岡市民(40代)
「ちょっと大変ですね、毎日(食事を)用意しなくちゃいけないので。(給食は)いつもありがたいなと思っている」

 そんな学校給食を取り巻く、ある問題が…。

●大場舞桜アナウンサー:
「湖西市にある、うずら農家です。こちらではおよそ8万羽のうずらが飼育されています」

 1日におよそ6万個のうずらの卵を生産している、「浜名湖ファーム」。

●浜名湖ファーム 近藤尚専務:
「(卵の)一番の特徴は臭みがない。えさにこだわりを持っていて、乳酸菌や酵母菌といった発酵菌の混ざった米ぬかを、うずらにあげることで、うずらの腸内環境を整えている」

 うずら農家一筋、40年。2024年はかつてない危機に直面しているといいます。

●浜名湖ファーム  近藤尚専務:
「2月に小学生の誤飲事故がありまして、需要が低迷している」

 2月、福岡県の小学校で、1年生の男子児童が、おでんのうずらの卵をのどに詰まらせて死亡する事故が発生。この事故を受けて、うずらの卵を給食で使うのを控える動きが全国に広がり、静岡県内でも、静岡市が提供中止を決め、現在も再開されていません。

●浜名湖ファーム  近藤尚専務:
「8割のウズラの卵を加工メーカーに出荷しているので、給食需要が減ってしまうことで、加工メーカーの在庫量が増えてしまうので、そうすると加工メーカーから農場に卵の出荷を制限してほしいと要請があった」

 需要の低下を受けて、浜名湖ファームでは2割の減産を決め、うずら1万羽の殺処分を余儀なくされました。この状況が続けば、さらに1万羽のウズラを処分しなければならないといいます。

●浜名湖ファーム  近藤尚専務:
「ひよこから育てているので、愛情込めて育てたうずらを処分するというのは悲しい気持ちがある」

 “廃業の危機”を乗り切ろうと、取り組んだのがクラウドファンディングでした。集まった資金で飲食店や企業に卵を無償で提供し、給食以外の新たな需要を掘り起こす狙いで、目標金額の300万円を大きく上回る、474万円を集めました。

●浜名湖ファーム  近藤尚専務:
「いろいろな人にご支援いただいて、感謝の気持ちでいっぱいです」

 すでに、うずらの卵の可能性を見出している人も…。

●静岡おでん串焼き むそう 阪本健介代表:
「隠れた名脇役として、なくてはならない存在」

 こちらの店で、常連に大人気なのが「半熟うずらの串焼き」。醬油ベースのたれに付け込んで、焼き上げながら、“追い醤油”で、香ばしさをプラス。中からは、半熟の黄身が、とろ~り。

●大場アナウンサー:
「いただきます!うまみがぎゅっと詰まっていて、とろとろで濃厚な味わいです」

●静岡おでん串焼き むそう 阪本健介代表: 
「好きな人は5本でも6本でも食べるような、おかわり率の高い商品」

 栄養価も高い、うずらの卵。免疫を高める効果が期待されるビタミンAや鉄分などが鶏の卵よりも豊富に含まれています。

●浜名湖ファーム  近藤尚専務:
「事件自体は悲しい気持ちではあるが、卵焼きや目玉焼きといった、ゆで卵以外の食べ方もできるので、そういった食べ方で、小さなお子様にも今後もずっと食べていただきたい」