世界を翻弄『トランプ関税』…アメリカのSAKEブームで輸出再開した酒蔵も出ばなくじかれ 静岡市

 10日未明、一律10%の税率は維持した上で、相互関税の上乗せ分については90日間停止すると表明したトランプ大統領。世界を翻弄している、トランプ関税。その影響は、静岡が誇る日本酒にも…。

世界を翻弄『トランプ関税』…アメリカのSAKEブームで輸出再開した酒蔵も出ばなくじかれ 静岡市

江戸時代から300年以上続く酒蔵

三和酒造 鈴木克昌社長:「この奥が仕込み蔵」
能地優アナウンサー:「たくさんタンクが並んでいます。
鈴木社長:「精米約60%の山田錦を使ったお酒のもろみが入っている。今まんべんなくかく拌して、もろみを均一化しているところ」

静岡市清水区にある、「三和酒造」。江戸時代の1686年創業、県内で2番目に歴史のある老舗の酒蔵です。

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能地アナ:「今ここに立っていて感じるのが、すごいいい香りしますね」
鈴木社長:「もっとかいでみてください」
能地アナ:「近くでかいでみると、すごいフルーティーな華やかな香りがします。すごい香り高いです」

 このもろみから作られるのが、日本酒の「臥龍梅」。2002年に誕生した、看板商品です。様々な日本酒コンテストの成績から格付けされる「世界酒蔵ランキング」では、4年連続で三ツ星を受賞。去年は全国27位にランクインし、静岡の酒蔵で最も高い評価を得ました。

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SAKEブームで海外進出

この“SAKE(さけ)”で、海外にも進出しています。

三和酒造 鈴木克昌社長:「作り始めてすぐ、2~3年後に(商社から)海外輸出の話があったので、シンガポールとアメリカに輸出を始めた」

今では、中国や台湾、ヨーロッパなど、世界各国へ輸出。輸出による売り上げが、全体の1割ほどを占めています。

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試飲した能地アナは。

能地アナ:「すごいフルーティーで口当たりがいいですね。後味はすごいさわやかですっきりしています」
三和酒造 鈴木克昌社長:「これは本当に米と米麹だけで自然な発酵の仕方だけで作っているから、全く合成して作ったものじゃない。アメリカ人はナチュラル志向というか、自然食品志向は強い」

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アメリカへの輸出再開した矢先の“トランプ関税”

 アメリカへの輸出は、コロナ禍で売り上げが落ち込み、一度は中止に。その後、去年の秋から輸出を再開した矢先に、今回の“トランプ関税”が直撃しました。近年、アメリカでは日本食が人気となっていて、同時に、“SAKEブーム”とも言われる、日本酒人気も高まっています。

三和酒造でも、輸出に力を入れていく考えでしたが…。

三和酒造 鈴木克昌社長:「新しくアメリカへ広げようと、仕切り直しで始めたいなと思っていたので、出はなをくじかれた感覚はある。大きな市場というと、次はアメリカくらいしかない。ただでさえ日本酒は、外国の業者が(売ると)国内の3倍の値段になってしまう。ただでさえ高い。それで関税が高くなってしまうと、非常に高価なものになってしまうので、なかなか普通では口にできないかなと思う」

アメリカ以外への輸出にも、不安が生じています。

三和酒造 鈴木克昌社長:「東南アジアの台湾、香港、シンガポール、マレーシア、ベトナムとか、中国の周辺国家は景気が良い。だから日本酒(の消費)も増えている。それが、やはり軒並み関税の影響で不景気になってしまうと、ちょっと大丈夫だろうかと。アメリカ本体だけでなくて、影響がそっちもしてくるんじゃないかなという気はしている」

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