【リニア】生態系への影響など「環境」議論も本格化 川勝知事も現地視察へ「注目点は3つ」 /今週の静岡
2日、静岡県の難波理事の姿は国土交通省に。リニア問題を協議する国の有識者会議でヒアリングが行われました。国の有識者会議は去年、大井川の水問題に関する「中間報告」をまとめていて、今年の6月からは生態系への影響など、「環境」に関する議論を始めています。
難波理事は南アルプスには極めて希少な生態系があり、周辺環境の影響を受けやすいとした上で、トンネル掘削によって地下水の水位が下がり、周辺の沢の流量が減るという見解でJR東海と一致していると報告しました。
一方、JR東海に対しては南アルプスの環境などに関するデータを求める声も委員から上がりました。
JR東海 宇野護副社長(2日:国土交通省):「当然、必要なデータについては公開させて頂くということになりますし、まず、(影響を)回避していく。回避がままならない場合は提言するということを優先して考えていく。この考えの順番だと」
生態系について議論が始まった南アルプス。足を踏み入れると、日常では見ることができない光景が広がっていました。
川勝知事は現地視察へ 注目は3つ
静岡県 川勝平太知事(7月27日):「文字通り、(南アルプスは)生きた自然であると。造山活動が最も世界で活発なところはどういうところか、実際に知るのは、すごく大きな経験になると思いますね」
リニア開通に向けた、最大の課題とも言える南アルプストンネル工事。来週、川勝知事は南アルプスを現地視察する予定です。
Q:今回の視察で注目しているところなどありますか?
静岡県 川勝平太知事(7月27日):「それはですね、いくつかありますけれども、まず「道のり」ですね。(静岡市の井川地区に)トンネルが造られることになったのが2018年の6月のことでした。丸4年前ですね。そのトンネルがどのぐらい造られているのか、大変関心があります。それから燕沢(=盛り土予定地)。それから取水抑制をするということで今話題になっております田代ダムというのが3つ。大きな注目点であります」
南アルプスに広がる自然
「全量戻し」を叶えるために注目が集まる田代ダム。その田代ダムよりもさらに北へ進むと、日常では見ることができない光景が広がっています。
南アルプスの管理会社「十山」渡邊茂さん
「これが駒鳥池です。きれいな湿地帯ですよね」
深い森の中あるのは「駒鳥池」。実はこの池、川筋とつながっているわけではなく、雪解け水や地下水が染み出してできています。
南アルプスの管理会社「十山」渡邊茂さん
「大自然の中に自然にできた池なんですよ。遥か昔からあると思う」
南アルプスの管理会社:十山・渡邊さん(撮影:6月)
「この黄色いのは「ミヤマキンバイ」ですね。こういう岩稜帯にも先ますし、高山帯の植物で春の息吹を感じますね」
南アルプスの山頂の1つである「千枚岳」の山頂付近ではこうした高山植物も芽吹いています。
こちらは「キバナシャクナゲ」という高山植物。可憐に佇む様子は“高嶺の花”とも呼ばれています。
これらの自然を守るためにどんな対策ができるのか? JR東海と県、そして国の議論は続きます。
(8月6日放送)