田久保市長の「不信任」…正副議長「けじめがついた」 議会解散だと予算編成が絶望的 静岡・伊東市

 静岡・伊東市議会は1日、田久保真紀市長の学歴詐称疑惑を追及していた百条委員会に出頭拒否したり、虚偽の証言をしたりしたとして、田久保市長の刑事告訴を全会一致で可決、さらに不信任決議案も全会一致で可決しました。この件について、正副議長に聞きました。

青木副議長(左)と中島議長
青木副議長(左)と中島議長

議長「一つのけじめがついた」

中島弘道議長:「きょう、百条委員会の報告がありまして、その報告に基づいて告発して、10時45分に警察に受理していただきました。それをもって私たちは不信任決議を出しました。両方ともですね、全会一致ということで、きょうまで百条委員会が開かれて約50日間になりますが、本当に市政を混乱させ、市民を不安に陥れ、迷惑をかけた市長に対して一つのけじめがついたと思います」

青木敬博副議長:「とりあえず一区切りはついたと思います。告発も即日受理していただき、百条委員会の結論、市議会の結論として4つの罪状が認められた、受理されたわけですよね。そういったことを踏まえますと、市長が今まで混乱を起こしてきたこと、それがある程度、先が見えてきたのかなと思います」

「一刻も早く自ら辞職して」「不誠実な態度」

Q.警察に先ほど10時45分の時点で受理されたというのは正式に警察が告発状を受理、認めたということで間違いないですか?

中島議長:「10時45分に持参し、受理していただきました」

Q.不信任決議案が可決されてなお、田久保市長は真摯に受け止めるなどと今後の判断について明言を避ける姿勢をとっています。きょうの田久保市長の姿勢については、どうご覧になっているでしょうか。

中島議長:「不信任決議という大きな私たちの決意をしっかり受け止めて、良識ある判断をして、それは一刻も早く自ら辞職してもらうことだと思います」

青木副議長:「不誠実な態度だとは思いますけども、辞職勧告も出されていて、不信任も出されている。これだけの混乱を生んでいる。それなのにすぐ決断をすることができない。この辺はやはり延命を図っているんだなとは思っています」

「市議会解散だと予算編成にも大きな影」

Q.そして、9月定例会開会しましたけれども、一般質問なしという異例の形で行われることになりましたよね。この政策の議論の遅れなどについては、現状どう捉えているでしょうか。

中島議長:「本来でしたら、この9月議会、補正予算等、議案をいろいろやらなければいけないところだったんですけれども、補正予算については市長の方から提出がなかったものですからね。そういったことも本当にできなくて、逆にこちらは議会としては残念なことだと思います。

青木副議長:政策の遅れがありますよね。一般質問をやらないことで、政策の遅れということもありますし、このまま市長選にならず、市議会解散になると、3月予算の予算編成にも大きな影を落としてきます。一般的には3月予算と6月ぐらいから組み始めて3月になるんですけど、今のペースでいくと、市議選をやるとしたら、10月の終わりごろ市議が決まって、12月にもう一回市長選って感じになるので、3月の予算が結構絶望的だなとは思っています。それは市民の皆様に与える影響はかなり大きいものだと思っています。

Q.田久保市長に先ほど通知を直接、議長手渡されました。改めて、今、田久保市長に一番求めることは何でしょうか。

中島議長:不信任決議の文書持っていたんですけれども、本当にしっかりと判断していただいて、一刻も早く自ら職を辞していただきたいと思っています。

青木副議長:「先程申し上げましたけど、3月予算のことを考えたら、今がギリギリのタイミングです。今辞めていただければ、もしかしたら次はどの方が市長になるかわかりませんけども、3月予算はギリギリ間に合って、市民生活が守られるかもしれません。そう考えたら、良識ある判断として職を辞していただくのが一番いいと思っています」

Q百条委員会の結論、それから刑事告発、不信任決議案と非常にうまく組み立てられたと思いますが、これは兵庫県のケースというのを相当教訓にして、これの順番を間違えると大変なことになると、そういうことでしょうか。

中島議長:「百条委員会、これをしっかりと結論づけて告発まで持っていきたいということできょうやりました。また、万が一、告発受理していただく前に不信任案を出して、すぐに解散でもされたら、百条委員会での告発もできなくなってしまいますので、それをきょう順を追って丁寧にやらせていただきました」

Q.告発が即日受理されるというのはなかなか異例なケースかなと思うのですが、これまで捜査当局の方と相当やり取りをされてきたということですか?

中島議長:今回の百条委員会ですけれども、不信任決議までも至るまでですけれども、この6万4000人という地方都市において、議会において、やり遂げられたということを本当に議会事務局がしっかり進め方を勉強して、資料作り等も日夜残業してやっていただいたおかげです。あらかじめ、本当に警察ともすぐに受理していただくように過ぎたところから順次警察と打ち合わせをしていたようです。

そういったことで、きょうすぐに受理していただきました。本当に改めまして、本当に東洋大学様はじめ、本当に多くのご協力いただきました方々に感謝したいと思います。また、本当に事務局の職員の方たちには本当に心より感謝したいと思います。君たちがいなければできなかったと思います。

Q.そうしますと、百条委員会で得た東洋大学の記録なども警察の方に証拠として提出される。そういう感じですか?

中島議長:百条委員会の報告はそのまま、一緒に報告書の中に入っています。

Q.求められれば記録も提出、任意提出するということになるんですかね?

中島議長:「そうなってくると、警察としては調べる範囲でそういったようなことになってくるのかもしれませんけれども、ちょっとその辺はこちらではちょっとわからないです。あとは警察、私どもが警察に受理していただきましたので、あとは警察の方々の判断になってくると思います」

Q.改めてきょうは一つの節目を迎えて、また市議会が仮に解散されてしまったら、また多額の選挙資金がかかったり、市長選は3000万円以上かかったりと、そういう今ちょっと微妙な時期ではあるんですけど、一つの何かポイントの時期だと思うんですけれども、今どんなお気持ちなのか、いつも議長に聞いて恐縮ですが、改めて今のお気持ちお願いします。

中島議長:「本当にもっと早く市長に対して不信任を出すようなことはできないかというような声もいただきましたけれども、私たちはやるべきことを順を追ってやってきまして、きょうになりました。百条委員会も、この市議会のレベルとして、こんな短期間で告発まで持っていけたというのは本当にすごいことだと思っております。本当に協力していただいた皆様に本当に心から感謝したいと思っております」

「大義なき解散」

Q.今後こういう形でこういうふうに進めていきたい、この問題をどういうふうに解決につなげたいとか、何かあったら一言いいですか?

青木副議長:「まず一番は市長が辞職または失職してくれることですよね。それが一番素直な答えだと思います。とはいえ、たぶん自分たちは市議会議員選挙になると思っていますので、もう一度選挙に出て勝ち上がってきて、2度目の不信任を突きつけるというのが、まあ想像できるかなとは思っています」

Q.一言こういうふうにしっかり対応していきたいとか、何か?

青木副議長:「大義ない解散になると思いますので、その時はもうとりあえず今、現職議員ですかね、現職議員は全員戻ってこれるようにしたいと思っています。自分が決めることじゃなくて、市民の皆さんが決めることですけども、もう一度戻ってきて、同じメンバーで全員不信任を突きつけるというのを考えています」

「田久保氏は10人当選させたいだろうが、現状難しい」

Q.田久保氏側に関しても、今後の市議選に関しても思い描いているものがあるのかと思います。想定される田久保市長側の戦略って何か考えられそうなことはありますか?
 
青木副議長:「田久保市長側も候補者を立てて、2回目の不信任は3分の2以上出席で、半分賛成すると成り立つんで、10人ですよね。10人立てて10人受からせるということだと思うんですけど、現状それはなかなか難しいんではないかなと思っています」

Q.ただ、その動きに関しては感じ取れる部分はあるんじゃないかと?

青木副議長:「もう全然動きは感じ取っています」

Q.市議選になりそうだということですが、すでに10日まで引っ張って10日に解散するんだということを支持者に伝えているという情報がありますけれども?

青木副議長:一応裏はとってないですけど、聞いてはいます」

「慇懃無礼」

Q.先ほど手渡しされたときの田久保市長の表情、何か読み取れるところなどありましたでしょうか?

中島議長:「いや、本当にもう慇懃無礼というのを、ああいうことを言うのだと思いました」

青木副議長:「本当に慇懃無礼。あんまり使う言葉じゃないですけどね、丁寧なふりして無礼ってことですよね。本当に慇懃無礼でした。ずっと慇懃無礼でした」

Q.議長と目があったようにも見受けられたのですが?

中島議長:「うーん。本当に何を考えているのかなって。本当にそれだけですね」

Q.騒動から3カ月近くたっている中で、当初の田久保市長と、3カ月たった今の田久保市長と議長の中で感じる印象の変化であったりとか、むしろ変わらない、固執している部分がありましたら教えていただきたいんですけど、どういった印象ですか?

中島議長:「そうですね。市長選の時からですね、私は立場として前市長を応援していたものですから。ただですね、新しく市長になって、やはりまた新たな伊東市民の選択だと思いますし、それはそれなりに一緒になってしっかりやっていかなければならないと思ったんですけれども、まあ始まってすぐですね、ちょっといろいろ騒動が起こって。進むにつれ、だんだんと本当に信用できない人だなと思った次第ですね」

Q.その印象は今日も変わることはなかった。むしろ強まったようなところとなりますか?

中島議長:「そうですね。本当に無責任で、本当に不誠実。それ以外の言葉は今浮かびません」

「まだ長引きそうだが一刻も早く正常な市政を取り戻したい」

Q.このカメラの奥には多くの伊東市民の注目があると思うんです。個人的にも私も伊東市の出身でありまして、なかなか地元に誇りを持てなくなっている市民が多いという印象なんですけれども、その辺、市民に対してどういうふうな市政をつくっていくといいますか、メッセージのようなところがありましたら、ぜひ議長からお伺いしたいんですが、いかがでしょうか。

中島議長:「はい。きょう、本当に一つのけじめをつけられました。これからですね。また新しい市政に向けて、私たちやっていきたいと思っておりますけれども、それが、市長が辞職してくれるか、それともまた解散ということになるのか。まだ、長引きそうなんですけれども、本当に自分たちは一刻も早く正常な市政を取り戻したいと思っております。本当に市民の方々には引き続き、まだまだ不安と心配をおかけしますけれども、私たちは本当にしっかりやっていきたいと思いますので、どうぞ見守っていただきたいと思っております」