「党派によって忖度は当たり前」「共産などの対応は粗雑に」…幹部職員の勉強会で「不適切資料」配布 町長が減給条例案提出 静岡・函南町

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 静岡県函南町の元幹部が特定の町議に差別的な対応を取るよう促す資料を職員の勉強会で配ったとして、仁科喜世志町長は自身の給料を減らす条例案を提出しました。その資料に書かれた内容とは。

静岡・函南町 仁科喜世志町長:「職員が不適切な資料を使用して議会対応勉強会を実施したことに対する任命権者の責任として、給料を減額するため本条例を制定するものであります」

「不適切な資料」

 「不適切な資料」は全てで35枚。町の元幹部職員が、新任課長らが出席した勉強会で配っていたものです。ある議員に対しては、忖度(そんたく)をするよう促す内容が書かれていました。

勉強会で使われていた資料
「議員の所属党派や会派などによって、対応や答弁内容を『忖度』するのは当たり前」

「特に保守系会派『清風会』の議員に対しては、本書に記載された内容にかかわらず、特段のご配慮をお願いします。逆に、共産党などの当初予算に反対している議員への対応や答弁は粗雑でかまわない」

 勉強会は6年前から合計8回行われ、文書にはこの他にも不適切な内容が多く含まれます。

勉強会で使われていた資料
「特定の議員(共産党など)の一般質問に対して、再質問の時間を減らすために、意図的に回答を長くする嫌がらせは、大いにやりましょう」

「私の個人的な意見ですが、当初予算案を反対している議員から、事業執行についてとやかく言われる筋合いはない」

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共産・無会派議員は

 函南町議員は16人で、うち11人が自民党系会派、残りの5人は共産党や無所属など別の会派です。文書の中で、名指しで粗雑な対応で構わないとされていた、共産党の元町議は次のように話しました。

函南町 田中正美元町議(共産):「私は一番先にざっと見た時、これは議員に対して当局が、言葉は悪いですけど、軽く扱っているなと、はっきり言っちゃうと馬鹿にしているような書き方だ」

 現職の副議長で、無会派の土屋学議員も、同じように粗雑な扱いを受けてきたといいます。

函南町 土屋学副議長(無会派):「1問2問を長く説明したりとか答弁をして、あとはゆっくりですね。話し方をすごくゆっくりして、そうすると10質問したいのに3つとかで終わるわけです。例えば僕が終わって次の方が質問をする時は、普通にしゃべるペースで答えたり、テキパキ答えるところが見られる。そういうことはすごく感じる」

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町長「全く知りませんでした」

 仁科喜世志町長は、勉強会のことや資料の存在を知っていたのでしょうか。

函南町 仁科喜世志町長:「全く知りませんでした。(当事者を)呼び出しまして、ここでですね、すべてのことを聞いて事実かどうか私が聞いた時に、『私がやりました』と、そして急に顔色も変わったなかで、私の目を見ながら、『組織そのものに大変迷惑を掛けました』『特にこれからも町長に多大な迷惑も掛かりますので、6月30日をもって退職させていただきます』ってその場で口頭があった」

 資料を作成した男性職員は、6月末で依願退職しています。

函南町 仁科喜世志町長:「忖度や粗雑な扱いをするとか、実際そういう勉強会というので、文字にも残してありながら、役場の庁舎の執務時間内で行われたことについては言語道断の中にある。大変申し訳ないと思っている」

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町長は自らに6カ月間、減給10分の1の処分

 16日の町議会で仁科町長は、元幹部の任命責任を取り、自らを6カ月間、減給10分の1とする条例案を提出しました。条例案は委員会で審議され、10月8日に本会議で採決されます。

函南町 三原牧子町議(共産):「大変重い処置だと思いますが、これをそういうことで、この問題は一つ区切りという感じで思われているのであれば、私は本当に納得できない」

 この事態を受け、町は、管理監督責任として職員3人を処分しています。

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