充電スポットが静岡県内に800カ所以上!? トヨタユナイテッド静岡がEV販売に力を入れるワケ
「静岡県内には800カ所以上あってガソリンスタンドより多いんですよ」-。担当者の"圧"に気おされた。何が多いのか。電気自動車用の充電スポットだ。トヨタユナイテッド静岡では今、電気自動車(EV)の販売に力を入れているという。なぜなのか理由を探った。(難波亮太)
メリットもデメリットも
新静岡セノバ1階の自由通路では現在、トヨタ唯一のEV車「bZ4X」が1台、10月31日までの期間限定で展示されている。「社として電気自動車を推していて、その認知向上のためです」とは同社の稲葉諒子さん。bZ4Xの新モデルが今月9日に発売となったのに合わせてのもので、セノバの買い物客が足を止め稲葉さんらの説明を聞いていた。
経済産業省は2035年までに新車販売で電動車100%にすることを目標に掲げている。国内のEVの販売は基本的に右肩上がりだったが、ここ数年、その伸びは鈍化している。日本自動車販売協会連合会の発表によると、2025年1~9月のEVの販売台数は約2.7万台で全体の1.45%にとどまっているのが実態だ。
とはいえ、環境への負荷を軽減するため世界的にガソリン車を抑制するトレンドにあり、国内各メーカーもEVの開発に注力している。県レベルでみても静岡県はEV用充電器を2030年度に5000基まで増やすとしている。現在、県内の充電スポットは890拠点もある(GoGoEVによる)。こうした流れからディーラーも必然的にEVを〝推す〟ことになるわけだ。
普段、カローラクロスハイブリッドに乗っている稲葉さんはbZ4Xの魅力について「パワーが全然違います」と興奮気味に話す。メーカー発表ではわずか5.1秒で時速100㎞に達するという。「ちょっと踏むだけでグーンっていきます。静かですし乗っていて疲れません」。ほかにも災害時の電源として使えるなどのメリットもあるという。
メリットばかりが強調されがちだが、デメリットにも触れておく。EVも製造時には大量の二酸化炭素を排出するとされているし、リチウムイオン電池廃棄の問題も軽視はできない。ただ技術の進歩でこうした課題もクリアされていくことが期待される。
トヨタユナイテッド静岡では12月28日から2026年1月9日までの期間中、15人を上限にbZ4Xを無料貸し出し、試乗できるイベントを開催する。稲葉さんは「実際に乗ってみないと分からないこともあるのでぜひ乗ってもらいたい」とPRしている。