国で課題の「議員定数削減」…検討続ける浜松市で何が起きているのか 危機感強い天竜区、中央区の市民は「1人2人いなくても…」

植田結衣子アナウンサー:「今、私の後ろにずらりと並んだこの席。現在46人となっている浜松市議会議員定数ですが、次の選挙から、この席が減ることが決まりました。一体、何席減ることになるのでしょうか」

 現在、定数46の浜松市議会。2年後の市議選は議員定数を減らして行われる見通しです。国会でも注目される、議員定数の削減。

高市早苗総理大臣:「日本維新の会から1割という提案をいただきました。『5割』とか言われたら、受け入れておりません」

 自民と維新は衆議院の定数465人から1割を削減する方針で検討していますが、その根拠は、あやふやなままです。

高市早苗総理大臣:「割と納得感の得られる規模じゃないかなと」

国で課題の「議員定数削減」…検討続ける浜松市で何が起きているのか 危機感強い天竜区、中央区の市民は「1人2人いなくても…」

同規模の自治体と比べて市議の数は「多くない」

 では、人口およそ78万人の浜松市の場合、議員定数が46で、市議1人あたりの人口はおよそ1万7000人。市によれば、同じ規模の自治体と比べて市議の数は決して多くないそうですが、なぜ、このタイミングで定数削減を行うのでしょうか。

浜松市議会 高林修議長:「ベースはやっぱり行財政改革。行政区再編の中で、住民の皆さんの考え方として『議員も痛みを伴うべき』という話はあったので」

 去年1月、浜松市で施行された「行政区再編」。当時の鈴木康友市長が進めてきた行財政改革の一環で、スズキの鈴木修元会長も、後押ししていました。7区から3区への再編に伴って、区長ポストが減るなどして、市は再編から5年ほどかけて、職員数を81人削減するとしていて、市が行財政改革を進める中、議会の中からも“身を切る改革”が必要との声が上がったと言います。

 もう一つ、すでに課題となっているのが「一票の格差」です。

国で課題の「議員定数削減」…検討続ける浜松市で何が起きているのか 危機感強い天竜区、中央区の市民は「1人2人いなくても…」

「一票の格差問題」

 平成の大合併の直後、65人だった議員定数は段階的に削減され、2011年から現在の46人に。ただ、その後も人口減少は進み、特に山間部を含む「天竜区」での減少が著しく、「中央区」との「一票の格差」は2.2倍に広がっています。

 現在議論されているのが、4つの案です。中央区で2減、浜名区と天竜区でそれぞれ1減とする案と、中央区と天竜区でそれぞれ1減とする、2つの案が議論の中心になっています。中央区と天竜区を削減することはほぼ確実で、全体の削減数に加えて、浜名区の扱いも焦点の一つです。

※4つの案現在中央区34人浜名区9人天竜区3人
①中央区3浜名区1天竜区1
②中央区2浜名区1天竜区1
③中央区2浜名区0天竜区1
④中央区1浜名区0天竜区1

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浜名区選出 自民党浜松 平野岳子市議:「(議論を)これまで積み重ねてもうずっとこの話し合いを続けてきているので、これはほんの一部です」

 市議会で、定数削減の委員会に所属している平野岳子議員。選挙区とする浜名区でも定数が減る可能性がありますが、削減は進めていくべきだと話します。

浜名区選出 自民党浜松 平野岳子市議:「自分の区を話すと保身とか言われがちですが、そうではなく全体のバランス。(人口に対し)議員が過剰にいるというのは好ましくないので、決して後ろ向きの削減議論ではない」

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天竜区は議員定数削減に「危機感」

植田アナ:「一方、議員が減ることに強い危機感を示しているのが浜松市の6割の面積をしめるここ天竜区です」

 浜松市最大の面積を持つ、「天竜区」。現在の定数3から、削減は避けられそうにありません。

太田利実保議員:「(市議選で)天竜区は前回、前々回と2回連続で無投票が続いたということで、議会への関心度も落ちてきているんじゃないかと」

 支援者を前に、議会の定数削減の方針について説明していたのは、太田利実保議員です。支援者からは、懸念の声が…。

支援者の声
①遠い存在になっていく気がする。かつての天竜市の頃ってそんなこと考えたこともなかったじゃないですか。
②イベント議員にならないように。祭りがあったら行くぞとか、そればっかりやっている人というのはちょっと困るので、(2人で)どれくらいできるのかということ。

天竜区選出 国民民主(創造浜松) 太田利実保議員:「数字で割りきって考えられるものではない。影響は当然ないとは言えないと思うので、いかに効率的にやっていくか、課題だと思う」

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 現在、天竜区から選ばれる市議は3人。いずれも旧天竜市エリアから選出されていて、すでに“地域差”が生じています。旧春野町や旧水窪町なども抱える天竜区には、広域だからこその不安が生じているのです。

天竜区連合自治会 渥美寛会長:「我々からすると大事な議会まで削らなくていいじゃないか、ますます議員に声届きにくくなるのではないか、住民ファーストなのかな?という気はする」

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中央区民は「1人2人いなくなっても変わらない」

 削減に慎重な声も上がる天竜区と対照的なのが、都市部を中心に、人口の8割近くを占める、中央区です。街の声はというと…。

中央区民:「国がやるのは知っていたけど、市がやるのは知らなかったです」
中央区民:「人口に対してのバランスということでいいと思う」
中央区民:「(市議が)1人2人いなくなっても全然分からない、変わらないと思っている」

 浜松市議会は年内にも削減案を固め、来年2月の議会で決定する方針です。

浜松市議会 高林修議長:「当然市民の皆さんには説明をする責任があるので、心配を払拭するような議会としての発信とか覚悟を、次の選挙後でも議員に求められると思う」

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