高止まり続くコメ価格…一方で『コメ余り』も 倉庫には米袋がびっしり「出庫はスローペース」 スーパーでは高い新米売れず在庫過多 静岡

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 小皿に分けられ、並べられているのは玄米です。JA静岡市が毎年実施している“おコメの品評会”には、静岡市内のコメ農家26人が作った玄米が集まりました。専用の機械を使って、食味を数値化していきます。

JA静岡市担当者:「高いものと低いものの差が激しい。例年は品評会なので60点台はあまりないんですけど、先ほど見えました」

 平均80点台の中、60点台の玄米も。その理由は…。

坂井剣一郎記者:「こちらの左側の玄米、少し白っぽくなっているのですが、今年の夏の暑さの影響だということです」

 8月に国内の観測史上2位となる41.4℃を記録するなど、厳しい暑さとなった静岡市。高温障害によって、品質が低下したコメも少なくないそうです。

JA静岡市担当者:「やはり水の管理であるとか、細やかな管理がしっかりできた場所や生産者のお米には全く問題なく、例年通り高品質のものができています。ばらつきが大きいというのが一番感じているところです」

 そんな中、今県内のコメの流通現場では、“ある異変”が…。

JA遠州中央の職員:「例年に比べますと、ややゆっくりペースで出庫が進んでいる」

高止まり続くコメ価格…一方で『コメ余り』も 倉庫には米袋がびっしり「出庫はスローペース」 スーパーでは高い新米売れず在庫過多 静岡

柳貴斗ディレクター(JA遠州中央袋井営農センター):「こちら袋井市にあるJAのおコメの倉庫なんですが、中は一面、おコメが入った袋がびっしりと積まれています」

 12℃以下と低温に保たれた倉庫内には、「コシヒカリ」や「にこまる」など、数種類の新米が保管されています。

柳貴斗ディレクター:「こちらの袋一つにコメ1トンが入っているということで、私の身長の2倍以上の高さまで袋が積みあがっています」

 倉庫内に保管されていたコメの総重量は、およそ500トンにものぼります。今後、JAの直売所やスーパーに並ぶ予定です。

JA遠州中央の職員:「例年に比べますと、ややゆっくりペースで出庫が進んでいるかなと思います」

 例年より1割ほど、新米が減るのが遅いといいます。理由は定かではないとしていますが、その一因とみられているのが「新米の価格高騰」です。全国のスーパーで販売されるコメの平均価格は、11月に入って5キロあたり4316円と、過去最高値を更新。9月以降、11週連続の4000円台と高止まりが続いています。JAなどの集荷業者と卸売業者の間で取引される、新米の価格=相対取引価格は、すべての銘柄の平均で、去年と比べて1.5倍ほどに上昇(玄米60kgあたり3万7058円・全銘柄平均10月)。こちらも過去最高値となっています。

高止まり続くコメ価格…一方で『コメ余り』も 倉庫には米袋がびっしり「出庫はスローペース」 スーパーでは高い新米売れず在庫過多 静岡

 県内のコメの卸売業者に、現状を尋ねると…。

県内コメの卸売業者:「スーパーなどでは、新米の価格が高くて売れず、在庫がはけない。倉庫はパンパンで、コメがだぶついてきている」

 話を聞くことができた県内の卸売業者の多くが、いわゆる“コメ余り”が生じていると話しました。今後、“コメ余り”に拍車がかかる可能性も…。

関東農政局静岡県拠点河合亮子地方参事官:「今年はコメがよく取れております。静岡県内については、少なくとも去年に比べてお米の生産量が多いので、市場に回るお米の量には余裕が出てくると思う」

 県内で今年つくられる主食用のコメの予想収穫量は、去年より6400トン増え、7万4400トンとなる見込みに。全国的にも収穫量が大きく伸び、需要を大幅に上回る見通しです。

高止まり続くコメ価格…一方で『コメ余り』も 倉庫には米袋がびっしり「出庫はスローペース」 スーパーでは高い新米売れず在庫過多 静岡

 “コメ余り”の兆しは、スーパーでも…。

嶋田光希アナウンサー:「静岡市内のスーパーです。コメ売り場にはこのように新米がびっしりと積まれています。こちらのお米価格を見てみると、5キロ4000円を超えています」

 静岡市にある、こちらの店舗で扱う新米はおよそ20種類。週3回、新米を入荷していて、25日も新たに4種類を入荷したといいます。

フードマーケットマム商品本部 香取多満部長:「古米やブレンド米の売り上げが好調だったものの、新米になってからは売り上げが鈍化している」

高止まり続くコメ価格…一方で『コメ余り』も 倉庫には米袋がびっしり「出庫はスローペース」 スーパーでは高い新米売れず在庫過多 静岡

 取引価格の高騰を背景に、高止まりが続く新米の“買い渋り”に直面していました。そうした中で始めた、“ある取り組み”が…。

フードマーケットマム商品本部 香取多満部長:「こちらが特売コーナー。こちらのコーナーは、1割ほど値下げして販売している」

 銘柄を限定した、新米の値引き販売です。石川県産の「加賀百万石こしひかり」は、通常価格よりも1割以上お得な4298円に(5㎏通常4946円⇒4298円)。新米を手に取ってもらうための策とはいえ、客にとってはありがたい話。値下げ後は、売れ行きがおよそ2倍になっているといいます。

静岡市民30代
Q.特売をしているのは知っている?
A.「やっていることは知らなかった。特売やっていると、ちょっと安くなったなっていう感じはする」

静岡市民50代:「(特売は)うれしい。もう少し下がってもらえるとありがたい」

 フードマーケットマムでは県内35店舗でも、店舗ごとに特定のコメの値引きを行っているといいます。

フードマーケットマム商品本部 香取多満部長:「昨年に比べて生産量がかなり増えていると情報が入っていますので、来年はだいたい3500円台まで下がるのではないか。価格が安ければお客様も米を買う頻度が高まっていくので、在庫過多よりも在庫の回転率が良くなると私は信じております」

高止まり続くコメ価格…一方で『コメ余り』も 倉庫には米袋がびっしり「出庫はスローペース」 スーパーでは高い新米売れず在庫過多 静岡