外国人観光客…郊外「渋滞・混雑」でマイナス 駅前「売り上げ的にだいぶ助かる」 市内でも〝地域差〟 静岡・伊東市長選
相模灘に面した、観光の街・静岡県伊東市。市によりますと、去年1年間で市を観光目的で訪れた人は623万人。減少傾向にあるとはいえ、依然として県内有数の観光地であり、市民の8割は観光業を含む第三次産業に従事しています。そんな伊東市で問題になっているのが、「オーバーツーリズム」です。
郊外では『渋滞で売り上げ半減』と頭抱える施設も
片山恵介記者:「伊豆急行伊豆高原駅前です。バスを待つ中国人観光客と思われる方の長蛇の列が出来ています」
こちらは去年10月、中国の建国記念日に当たる「国慶節」の時期に取材した映像です。伊豆急・伊豆高原駅には、多くの中国人観光客の姿が…。
人気観光地の一つ、城ヶ崎海岸でも…。
中国・山東省から:「(城ヶ崎海岸は)TikTokでよく見た、自然がきれい」
特に人気なのが伊東のシンボルでもある、大室山です。中国でも大ヒットした映画、「君の名は。」の舞台に似ていることで話題になり、リフトを待つ中国人観光客で、なが~い行列が…。この日は、100メートルほどの列ができていました。
中国・上海から:「中国で大室山はとても有名です」
伊東市の基幹産業を支える、外国人観光客。ただ、関連して悩ましい問題も…。
陶芸体験ほけきょ庵 武山芳徹さん:「一応、作家向けのシェア工房になっているんですけれども、観光でいらっしゃるような方たちも楽しめるように、陶芸体験の教室として」
大室山のふもとに位置し、地元の風景に着想を得た、オリジナルの陶器が観光客にも人気な、こちらの工房。「オーバーツーリズム」の影響というのが…。
陶芸体験ほけきょ庵 武山芳徹さん:「お客さんが来られなくなる。たどり着けない。大渋滞ですね。車が動かない」
大室山に向かう観光客によって、繁忙期には周辺で度々渋滞が発生。予約客のキャンセルにつながっているといいます。
陶芸体験ほけきょ庵 武山芳徹さん:「伊豆高原のオーバーツーリズムは、広域・車型です。簡単に言うと、5月の売り上げが半減します。5月の売り上げって大きいわけですよ。ゴールデンウイークがあって、他の月の2~3倍あります。これはもう商売あがったりになっちゃいますよ」
渋滞に関する悩みの声は、大室山近くの飲食店からも…。
そば処蕎仙 横山洋子さん:「とにかく、目的地は1カ所でここへ向かってくるから、ものすごい渋滞。もうどうしようもない状態ですよね。何か対策をしてほしいけど、何の対策もない」
営業に支障が出るほど渋滞がひどくなったのは、コロナ禍が明けた、ここ数年のことだそうです。
伊東駅前では『(外国人観光客は)だいぶ助かる』
一方で、駅前で話を聞いてみると、事情は異なるようです。
ジュエリーショップ・アリア 白鳥靖子さん:「ブランドバッグ50~60万円とか(外国人観光客が)買って行かれます」
Q.売り上げ的には助かっている?
A.「はい。だいぶ」
松田椿油店 松田忠芳さん:「商売になるからいいんじゃない? 観光地だから客が来なきゃ商売にならないから」
駅前の商店街にとって、外国人観光客は売り上げを支える貴重な存在です。こちらのお茶店では…。
市川製茶湯の花通り店 青野智沙さん:「茶器とか値段に糸目をつけず買ってくださる方がいらっしゃるので、そのあたりは助かっていますね」
外国人観光客が好んで買うのは5000円前後の茶器だといい、富士山の形をした、ドリップ用のフィルターも人気だそうです。
市川製茶湯の花通り店 青野智沙さん:「フィルターだけに6270円って日本の方は手を出さない人が多いけど、珍しいと思われて、ひょいっと買ってくださったりとか」
外国人観光客の影響は市内でも『地域差』
伊東市における「オーバーツーリズム」は、いわば、“局地的な課題”。外国人観光客がもたらす影響も、“地域差”があるようです。
無・前職 田久保真紀候補(55):「温泉がある。そして観光客もいっぱい来る。まだまだ伸びしろのある街です。民間の資本をうまく投資してもらって、民間と一緒に街を作っていく。そういったことが伊東ではまだ行われていません」
無・元職 自民推薦 小野達也候補(62):「観光でもっと良いイメージを作っていくために、私は著名な方を観光大使に選んで、もっと個人消費が伊東で行われるように、様々な施策をこれから考えて進めてまいります」
無・新人 国民推薦 杉本憲也候補(43):「私は伊東の食の魅力を世界に発信していきたいと思います。この貴重な世界に誇れる資産、地域資源をもっと高めていく。そうすることで新たな雇用も生まれます」
大室山のふもとで工房を営む武山さん。貴重な観光資源を生かすためにも、オーバーツーリズム対策が重要だと考えています。
陶芸体験ほけきょ庵 武山芳徹さん:「置いてきぼりにされていると思うんです。今の時代SNSがありますから、「もう伊豆高原に二度と行かないぞ」みたいなことになっているんですよ。それをまず解決しないでどうするんですかと思っています」

