「こんな数字見たことない」建築資材軒並み高騰…一気に80%~100%値上げも 畜産業は飼料・燃料・電気代の三重苦 /イラン情勢で生活への影響拡大
依然、緊張状態がつづくイラン情勢。この1週間は目まぐるしい動きを見せました。にらみ合いが長期化していることで、私たちの生活への影響も、ますます拡大していく可能性が出ています。
ナフサ不足でユニットバスが出荷停止に
静岡県 鈴木康友知事(定例会見/14日):「日本の場合は9割中東依存ということでリスク分散されていませんので、やっぱり相当これが長期化すると、(県内にも)大きな影響が出ることを懸念しております」
様々な石油化学製品のもととなる、ナフサ。国内で使用する4割余りを中東からの輸入によって調達しています。
旭化成 小堀秀毅会長(経団連の会見/13日)
Q.ラップ、フィルム、この辺りの消費の影響は?
A.「在庫が切れてくると非常にコストが高くなるので、それを見越して少しずつ値段を転嫁していく」
ナフサの供給不安などを背景に、「サランラップ」の値上げは避けられないと語った、旭化成の小堀会長。住宅設備大手のTOTOは、同じくナフサから作られる有機溶剤の不足から、ユニットバスをはじめ、浴室の新規受注の停止を卸業者に通知しました。その衝撃は、静岡県内でも…。
エコフィールド 強矢大輔社長(14日):「本当に急な知らせだったので、本当に驚いたのが実際のところでした」
富士市の住宅工務店、「エコフィールド」。TOTOのユニットバスを採用していて、今後控える家づくりのために、すでに発注したものもあったといいます。そんな中、メーカーから突然届いた新規受注停止の知らせ…。
エコフィールド 強矢大輔社長(14日):「即日、そこから新規の受注を停止するという状況だったので、事前の準備もなかなか難しいところがある」
一気に80~100%の値上げも
“住まい”への影響は県内の別の企業でも…。
沼津市に本社を置く「スエヒロ工業」。ビルやマンションの外装・防水工事などを手掛けています。
スエヒロ工業 櫻井弘紀代表取締役(沼津市/17日):「5月から一気に、大きいものだと80%値上げとか、シンナー類は今80~100%ぐらいの値上げと言われてしまっていて。100%なんて数字見たことないので…」
塗料や断熱材、防水シートといった、必要不可欠な建築資材。いずれも原油由来の製品で、軒並み高騰しています。
スエヒロ工業 櫻井弘紀代表取締役
Q.この中にはどういったものが?
A.「主に防水材料になります。中に液体が入っていて溶剤になる。こういったものも入ってこない」
特に深刻なのが、雨漏りを防ぐなどの役割を果たす、「防水材料」です。各メーカーで、出荷の停止や制限が相次いでいるといいます。
スエヒロ工業 櫻井弘紀代表取締役:「ひとつの現場で何百缶と使う現場もあるので、ここの材料を使い続けたら、2~3カ月で(在庫が)空になる可能性がある」
梅雨や台風シーズンを前に、本来であればこれからが工事の依頼が立て込む繁忙期。すでに断熱材の調達が間に合わず、施工がストップしている現場もあるといい、依頼が来ても、「材料が来ればできます」と答えるしかないのが現状です。
スエヒロ工業 櫻井弘紀代表取締役:「入っていた材料も次の日には出荷停止になったりするので、今はもうイタチごっこで、実際に工事現場で働く職人が職を失う可能性も、長期化すると出てくるので、本当に緊急事態だと思いますね」
飼料代・燃料代・電気代が重くのしかかる畜産業
片寄翔太アナウンサー(静岡・葵区/14日):「中東情勢の緊迫化が長引いていることで様々な分野に影響が出ていますが、畜産業にも影響が出ています」
静岡市葵区・水見色地区で畜産業を営む勝山畜産。静岡のブランド牛「するが牛」を200頭飼育しています。
勝山畜産 勝山佳紀代表:「燃料が高騰、船賃の値上げ、船の保険料が上がっているようで、(エサ代が)上がってしまっている」
こちらでは、月におよそ50トンものエサが消費されます。エサ代は3カ月ごとに改定され、4月の仕入れ値は、3月に比べ5万円以上増えました。
勝山畜産 勝山佳紀代表:「4・5年前に比べて約4割エサ代が上がっているので、また7・8・9月でどうなってくるか。絶対上がるだろうなとは思っている」
4年前のロシアによるウクライナ侵攻で高騰したエサ代。イラン情勢の影響を受け、原油や、飼料となる原料の価格がさらに上昇し、今後も仕入れ値の高騰は続く見通しだといいます。
この他にも重機に使う燃料や堆肥を入れるビニール袋が値上がったことで、生産コストも上昇しています。さらに…。
勝山畜産 勝山佳紀代表:「扇風機をこれからバンバン回さないと。牛も耐えられないので死んでしまったら何もお金にならない」
先週、早くも30℃を超える真夏日を記録した静岡市。牛は暑さに弱く、気温の高い日は常に扇風機を稼働させていて、去年の電気代は月20万円ほどになったといいます。
勝山畜産 勝山佳紀代表:「暑くなるのが早い分、早くから暑さ対策をしなくてはならなくなって、扇風機を早くから回さなければならないし、本当に何もかも悪いですよね」
政府の補助金がなくなったことで4月分から値上がりした電気料金。イラン情勢を受けたエネルギー価格の高騰が反映され、負担はさらに増す見込みです。飼料代・燃料代・電気代が重くのしかかる畜産業。それでも、良質な牛を育てるためには対応を変えられないと言います。
勝山畜産 勝山佳紀代表:「良いものを作れば高く評価されるので、たくさん大きい牛を作って良いものを作るってことに励むしかない」