地元から愛されるお弁当屋さん 後継者不在で数年後に店を閉めることを決断「あと3年持てばよい」

 JR静岡駅から北に4キロ、県立総合病院近くにある「オニック」。精肉店として親しまれる傍ら、昼時には“お弁当屋さん”として、多くの人で賑わいます。

●客:「めちゃ安いからびっくりした」

●客:「この金額で食べられるお弁当はない。一から作ってこの金額は安い」

 訪れた人も大絶賛する、その価格は…。黒毛和牛をたっぷり使った牛カルビ弁当。648円。鶏の希少な部位が使われたメンチカツ弁当は、540円。そして、鶏の“むね肉”を使用した唐揚げが5個も入った、こちらのお弁当はなんとワンコインでお釣りが出る486円。

 精肉店だからこそ、鮮度抜群の肉を使い低価格で提供できると言います。

●オニック 平口五男 店主:
「テリヤキチキンも牛カルビも売りたくない」

Q売りたくないというのは?
「儲からへんもん こんなの。」

 人気の理由は、“安さ”だけではありません。メニューの数は80種類以上。豊富なラインナップで常連客も虜に。毎日でも食べたくなる、昔ながらの温かみが詰まったお弁当です。

●常連客:
「(通い始めて)10年以上経つかな。やっぱり肉の味だよね。」

●常連客:
「10年以上前から知っている。昔からこのくらいの値段で、とてもおいしいし、出来立てで良い」

地元から愛されるお弁当屋さん 後継者不在で数年後に店を閉めることを決断「あと3年持てばよい」

 そんな地元から愛されるお弁当を作っているのは、店主の平口五男(ひらぐち・いつお)さん。

●オニック 平口五男 店主:
「この近辺にこういう店はないよという店をつくらなくちゃ。お客さんの台所だよ」

 物価高が続く中でも、メニューを減らさず価格を維持する“お弁当屋さん”。地域の“台所”を支える、店主の想いに迫りました。

 オープンの3時間前、厨房には既に平口さんの姿が。

●オニック 平口五男 店主:
Q朝早い
「早くないよ。7時ごろから」

Qお弁当始めてから毎日この時間?
「そう」

 元々は精肉店のみの営業をしていたオニック。28年前からお弁当の販売を始めました。

●オニック 平口五男 店主:
「お客さんの要望に応えられるようなものを売れなくちゃ駄目」

 個人経営の精肉店として、生き残りをかけて始めたお弁当づくり。精肉店で商品として販売できない部位も、丁寧に下処理をして活用。コストを抑える努力も惜しみません。

 そんな店主を支えているのは妻のりうこさん。早朝から2人で時間をかけて仕込みをするのが日課です。

●妻×店主
妻:「肉屋だった、最初。肉だけだと思ったらお弁当もやり始めちゃって、大変」
Qそう言われていますが? 
店主:「その通り」
妻:「こんなに長くやると思わなかった」

 厨房では仕込み作業が続く中、店がオープンすると早速…。

●店×客
店:「いらっしゃい」
客:「牛カルビ弁当で」

●妻・りうこさん:
Q注文が入ってから作る?
「そう、出来立ての方がおいしい」

「少しでもおいしい状態で届けたい」と注文を受けてから調理するのは、販売を始めたときからのこだわりです。

●オニック 平口五男 店主:
「毎日やっているから冷凍じゃなくて生の良い肉を使える。新鮮な肉が入ってすぐお弁当に」

 毎日およそ200個売れるというお弁当。ピークタイムの昼時は、途絶えることなく客の列が続き、厨房はフル回転。電話で入った注文にも対応し、配達に行くことも。店がようやく落ち着いたのは午後2時すぎでした。

●オニック 平口五男 店主:
Q.どうしてそこまで頑張れる?
「やっぱりお客さんの『おいしかった』それだね」

 今年79歳を迎える平口さん。お客さんの笑顔を見るために、体にムチを打ち続けてお弁当を作ってきました。しかしー

●オニック 平口五男 店主:
「歳だから駄目だなって。できることができなくなってきている、だんだん。もうじき辞める。後継ぎがいないから」

 数年後に店を閉めることを決断しました。

●常連客:
Qお店が無くなってしまうかもしれない
「そうなんですか?そしたら寂しい。」

●常連客:
「本当? 寂しい」

●オニック 平口五男 店主:
「あと3年。3年持てば良い。地域に似合ったお店(を目指したい)。」

 残された時間は残りわずか。お客さんの笑顔をエネルギーに、最後まで変わらぬ味を届けます。

地元から愛されるお弁当屋さん 後継者不在で数年後に店を閉めることを決断「あと3年持てばよい」