静岡市立清水病院で「退職ドミノ」 退職決意の職員5人が激白 市・経営陣への不信感「見放された感じ」「悪い噂飛び交う」 指定管理移行で揺れる地域医療

 赤字経営を理由に静岡市立清水病院の運営が清水厚生病院に移行される問題をうけ、すでに病院で働く職員の中でも「退職」へむけた動きが出ています。

 静岡市の難波喬司市長は4月、静岡市立清水病院を2027年4月から指定管理者制度で清水厚生病院によって運営する方針を発表しています。

 静岡朝日テレビは先月26日、清水病院で働いているものの、今回の問題をうけてすでに退職を決めて転職活動などを行っている職員5人に独自インタビューを行いました。

 見えてきたのは、市や経営陣に対する不信感でした。(髙山優樹)

インタビューした5人の職員
インタビューした5人の職員

 清水病院で臨床検査技師として働く男性。退職の意思を固めていて、すでに転職先を決めていると言います。

●臨床検査技師の男性Aさん:
「3月31日の職員説明会が発表された時に、当局からの説明にどうしても納得いかない部分があったことから退職を決意しました。(運営が指定管理となって)今後の労働条件や給与も不明確で、今後相手先が静岡厚生連グループになって転勤が発生するかもしれないという点で、このまま働き続けるのが不安ということで転職を決めました。」

 男性は今回の指定管理制度に対する不安だけではなく、これまでの運営体制や労働環境にも不満があったと話します。

●臨床検査技師・Aさん:
「私自身、コロナ禍以降は有給が全然取れないような状況ではありました。一方で当局はワークライフバランスをうたっていて市営施設の職員にアンケートなどをとっていましたが、清水病院は除外されていたりとか、有休取得5日を頑張ろうというワークライフバランスの問いかけもなかったので、そういった見放されていた感じというのは今までありました。」

 看護師として働く女性は、当初転職に対する不安もあり働き続けることを考えていたものの、最近になり市への不信感が高まり転職へ舵を切ろうとしています。

●看護師のBさん:
「指定管理になるというのを新聞で初めて知ったので。説明とかがやっぱり少ないなっていうのをすごく感じます。最近患者さんもすごく少なくなってきているのもあってか、悪い噂が飛び交っていて、やっぱり転職しようかなという迷いも出てきています。」

また、経営が厳しい状況が続いていた病院でしたが、現場へのコストカットの呼びかけもありました。

●看護師のBさん:
「節電しましょうとかっていうお知らせや、注射器も『1本いくらですよ」という張り紙とか、なるべくコストを削減しましょうという動きはあったかなと。」

 一方で、根本的な経営改善についての方策がなかったと語る職員もいます。

●理学療法士の男性Cさん(勤務歴10年以上):
「我々もコストダウンだけで何十億という赤字が減るのかという不安や疑問はずっと抱いていたが、結果的にそういった政策しかしてくれなくて。上層部から『このまま赤字が続けば経営が成り立たなくなる』という話もなかったし、少危機感は少なかったのかなと思います。」

 働く中で経営難を感じる場面は度々あったということですが、あまりに突然の発表に、生活への不安があると語る若手職員もいます。

●看護師の女性Dさん(勤務歴5年以上)
「親から『清水病院なくなるって本当?』と聞かれて、そこで初めて知りました。(来年の)3月31日付の退職であれば、退職金が上乗せされるという話を聞いて、退職しようとは思っているけれども、今後の生活が苦しいのもあって、退職金のために来年まで仕方なくいようという感じです。人間関係はいいけれど、労働時間に関してはかなり働きにくいなと感じます」

 5月に市が行った職員向けの説明会では、退職金の割り増しについて話があったと言いますがー

●薬剤師の女性Eさん(勤務歴5年以上)
「退職金を上乗せして我々をつなぎとめているような状況になってるかなと思いますので、他に良いところがあれば、ちょっと早めに移ってもいいのかなとは思っています」

静岡市立清水病院
静岡市立清水病院

 最後に、難波市長に伝えたいことを聞くとー

●臨床検査技師のAさん:
「清水地域の医療をどう考えてあるのか知りたい。」

●看護師のBさん:
「まずはアリーナよりも病院の方が市民にとっては大事なんじゃないかなというふうに思ってしまうので、もうちょっと市民のことを考えていただければ。」

●看護師のDさん:
「全ての医療従事者が残りたいと思うような、その病院づくりっていうのを目指せなかったのかなと。」

 静岡市側はどのように考えているのか、先月25日に難波市長は市議会でこの問題について問われ答弁しました。

 病院の再編と指定管理者制度の導入については、経営のプロが経営に携わることや、経営改善のインセンティブをもって経営に取り組むことが可能になり、経営の安定化も期待できるとしています。

 また、職員からの声も上がっている清水地域の医療についてはー

●静岡市・難波喬司 市長:
「指定管理者制度を導入しても、市立病院という公的病院であることは変わりありません。よって、指定管理者に対し、市として求めるサービス水準の確保や、不採算医療の提供の確保を求めることができます。その結果、清水地域の住民が、安心して医療を受けられる体制が構築されます。」

 一方、現状の課題については、退職を考える職員が多いことや慢性的な人手不足による人材確保、交通アクセスの改善の2点を述べています。

 今後、どのように市民や職員に説明していくのか問われるとー

●静岡市 難波喬司 市長:
「反省すべきところは、大変忙しい病院職員の説明会への参加の配慮が不十分であったこと。病院を利用される方や地域住民に対しては、新病院の詳細な病院機能が定まり次第、どのような医療を今後受けることができるのかについて、広く情報が伝わる方法を検討し、丁寧に説明し、理解を得ていきます。」

 市はインタビュー後の6月29日にも職員説明会を開催していて、清水病院が今後目指すべき姿や、現給保障などの勤務条件について市から説明したということです。また、8月中にも職員説明会を実施する見通しです。

 一方で、詳細な勤務条件や地域医療のあり方については、依然として先行きが不透明な部分もあり、不安を感じると話す職員もいます。

 地域医療が抱える課題、病院で働く職員の思い、運営面での課題など、多くの問題が山積する中、静岡市の舵取りが注目されます。

静岡市 難波喬司 市長
静岡市 難波喬司 市長