謝罪しても続く暴行…空き瓶で殴り昏睡状態の高校生を湖に投げ入れたか 殺人罪などに問われた22歳に13日判決 静岡地裁浜松支部

 2024年2月、当時17歳の高校2年生の少年に暴行を加えたうえ、浜名湖に投げ入れ殺害したとされる22歳の男に、13日判決が言い渡されます。

浜名湖の捜索 2024年2月
浜名湖の捜索 2024年2月

犯行の経緯(検察側の冒頭陳述・論告より)

 22歳の男は2024年2月、浜松市内のアパートで共犯の10代のフィリピン人の男とともに、高校生の頭や顔、体をこぶしや瓶で殴ったり、蹴ったりして、意識障害などのけがをさせました。そして、高校生を車のトランクに押し込み静岡県湖西市の公園まで運ぶと、さらに高校生に暴行を加えた上、湖に落として殺害したとされています。

初対面の3人 暴行のきっかけは「ため口」

 この日午前2時ごろ、男とフィリピン人の男、高校生ら8人が、浜松市内のアパートの1室に集まり、酒を飲んだりしていました。男とフィリピン人の男は高校生と初対面でしたが、年下の高校生から「ため口」で話しかけられたことに、フィリピン人の男がいらだちを募らせていました。

 そして、高校生が居合わせた別の男と口論になり、止めに入った少女を倒してしまいました。この少女はフィリピン人の男が妹のようにかわいがっており、フィリピン人の男の怒りが爆発、22歳の男とともに、拳のほか、ガラスの空き瓶や自転車などで高校生を何度も何度も殴りました。高校生は「ごめんなさい」と謝ったものの暴行は続き、高校生が昏睡に近い状態になっても、手をゆるめませんでした。

 その後、フィリピン人の男と一緒に居合わせた3人の男が車のトランクに高校生を押し込め、男が運転する車で湖西市の公園まで移動し、その後、高校生をトランクから引きずり出し、さらに高校生に暴行を加えた上、高さ2m以上の岸壁からほぼ全裸の高校生を湖に落として殺害しました。当時気温は冷蔵庫並みの6・6℃、水温は11・7℃。周囲は真っ暗で人通りもなく、高校生は助けを求めることもできない状態でした。

犯行後、口裏合わせ

 男とフィリピン人の男はアパートに戻った後、「2人はアパートにいなかったことにしよう」などと口裏合わせを指示しました。

被告の男「誰にもばれたくないという気持ちが強かった」

 裁判で22歳の男は「誰にもばれたくないという気持ちが強かった」と述べました。また、当初はフィリピン人の男を失望させたくないと、要求を受け入れて犯行に及んだ、と話していましたが、その後、「怒りを覚えて自分の意志で暴力をふるった」と認めました。その一方で、「共犯の男を止めると自分も暴力を振るわれると思った」と述べています。

高校生の母「死刑にしてほしい」

 高校生の母親は、「無残に殺された息子の姿が頭から離れない。息子が帰ってこないなら、死刑を与えてほしい」と意見陳述しました。

検察は懲役18年を求刑

 裁判で検察側は「被害者の口を封じるため殺害に及んでおり、あまりにも短絡的で、被害者の命や尊厳を著しく軽んじた無慈悲で身勝手な動機」などと指摘して、懲役18年を求刑しました。

静岡地裁浜松支部
静岡地裁浜松支部

弁護側は懲役8年が相当

 一方の弁護側は、22歳の男は自ら進んで暴行を始めておらず、高校生の負傷のほとんどはフィリピン人の10代の男によるもの。殺害についても、男は高校生をその場に置いておくことを提案したものの、フィリピン人の男がこれを断ったため、高校生を浜名湖に落とした、として、懲役8年が相当だと主張しました。

判決は13日

 この裁判の判決は、13日に静岡地裁浜松支部で開かれます。また、10代のフィリピン人の男の裁判も、23日から開かれます。