時給1154円時代へ 静岡で最低賃金57円アップ その裏で企業は『生き残り』に必死
静岡県内の最低賃金が57円引き上げられ、1154円となる見通しとなりました。私たちの暮らしだけではなく、中小企業の経営にも影響が出そうです。
県内の最低賃金を議論する審議会は、最低賃金を現在の1097円から1154円へ57円引き上げる案を静岡労働局長あてに答申しました。県内では6年連続の増額で、これまでの最大だった去年の63円に次ぐ2番目の引き上げ幅です。
県内の最低賃金は、国の審議会で提示される引き上げ額の目安を参考に県の審議会で議論されますが、今回はこの目安より1円高い引き上げとなりました。
審議会の畑隆会長は、「周りの県との格差是正や、人口流出を防ぐための労働力の定着推進などについて強く意識した議論となった」としています。
私たちの生活に大きく関係する最低賃金ですが、実は静岡県が制度発祥の地。今から70年前、現在の静岡市清水区にあった缶詰業者が、戦争で夫を失った働く女性たちのために初任給の最低額を定めたのが全国で初めてとされています。
髙山優樹記者:「最低賃金制度との関わりも深い缶詰ですが、最低賃金引き上げは、現在の缶詰メーカーにも影響をもたらしています」
焼津市にあるこちらのメーカーは、市内2カ所の工場で1日におよそ7万個の缶詰やレトルト食品などを生産しています。工場で働く従業員およそ100人のうちの4割がアルバイトやパート従業員。最低賃金の引き上げに伴う人件費の高騰は、企業にとって無視できないコスト高につながるといいます。
STIサンヨー 橋本貴史社長:「(57円上がると)大体利益から言うと1ヵ月の売り上げの0.7%くらい上がってきちゃう」
また、イラン情勢や物価高で缶詰の原材料となるマグロやカツオ、さらにはアルミ材の高騰も重なり、来年以降の値上げも視野に入れているといいますがー
STIサンヨー 橋本貴史社長:「製造・販売している製品を値上げしますっていうのは、すごく簡単なんだけど、買い控えとかあると逆効果もある」
こちらでは、賃上げに伴うコスト高の時代に対応するため、高単価の製品にも力を入れています。
STIサンヨー 橋本貴史社長:「目先はともかく付加価値のあるものを、値段が上がっても消費者が手を伸ばしてくれる商品づくりをして、何が何でも生き残るんだという気持ち」
鈴木知事は12日の会見で、答申を重く受け止めるとしながらも。
静岡県 鈴木康友知事:「これから経済を好循環に回していくためには、やっぱり賃金水準を上げていくということが大事になりますので、引き続き、最低賃金が引き上げていただけるよう期待をしていきたいと」
新たな最低賃金「1154円」は、早ければ10月15日から適用される見通しです。