静岡の最低賃金1154円へ 過去2番目の引き上げ幅も労使で賛否分かれ多数決 一部委員「到底最低限の生活は営めない」静岡県

 静岡県内の最低賃金が57円引き上げられ1154円となる見通しとなりましたが、見えてきたのは労使での温度差でした。

 県内の最低賃金を議論する「静岡地方最低賃金審議会」は12日、最低賃金を現在の1097円から1154円へ57円引き上げる案を静岡労働局長あてに答申しました。

 県内では6年連続の増額で、これまでの最大だった去年の63円に次ぐ、2番目の引き上げ幅で、引き上げ率は前年比+5.2%となっています。

 県内の最低賃金は、国の審議会で提示される引き上げ額の目安を参考に、県の審議会で議論されますが、今回はこの目安より「1円高い」引き上げとなりました。県内の国の目安を上回る引き上げは、2014年以来12年ぶりです。

 審議会の畑隆会長は会の終了後、「周りの県との格差是正や、人口流出を防ぐための労働力の定着推進などについて強く意識した議論となった」としています。一方で、今年の審議会では57円引き上げ案について「賛否」が分かれたことも明かされました。

●静岡地方最低賃金審議会・畑隆会長:
「審議会全体としては57円引き上げ案に賛同する意見もあり、少し納得できないという意見もあったので、最終的には多数決という形で結論を出した。」

 労働者側の連合が独自に算出している最低賃金の指標である「リビングウェイジ」では、静岡は1180円(2025年簡易改定版)となっていて、一部委員からは「リビングウェイジ」と現状の最低賃金との差が開きすぎていて、到底最低限の生活は営めないとし、57円以上の引き上げを望む声があったといいます。

 一方で、経営者(使用者)側からは、中東情勢などで経済の先行き不透明が続く中、静岡県内の企業活動への影響で、去年よりも高い引き上げについて懸念を示す声も。

 こうした中で、なんとか折り合いを付け議論の停滞や答申の遅れを防ぐため、引き上げ幅を57円とする案での多数決に踏み切ったと畑会長は語ります。

 今では一般的になった最低賃金制度は、実は静岡県が制度発祥の地。今から70年前、現在の静岡市清水区にあった缶詰業者が戦争で夫を失った働く女性たちのために初任給の最低額を定めたのが全国で初めてとされています。

 発祥の地、静岡での議論は57円引き上げという答申に終局した一方、労使間の折り合いがつかず、答申に至らない状況が続く県もあります。

 私たちの生活に大きくかかわる最低賃金。静岡県の新たな最低賃金「1154円」は、早ければ10月15日から適用される見通しです。

静岡県
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