箱根4連覇 GMO下田裕太が有終の美へ「静岡に恩返し」9日の静岡マラソンで引退。指導者の道へ
地元・静岡での引退レースを選択した下田裕太
静岡市で8日、静岡マラソンの公式レセプションが開かれ、大会の招待選手で今大会限りで現役を引退する下田裕太(28)、去年のボストンマラソンで大迫傑に勝った森井勇磨(34)、明治大学で箱根駅伝に2度出走した下條乃將(24)が登壇し9日の静岡マラソンへの意気込みを語った。
写真撮影を求められるなど、大会関係者からの注目を集めていたのが2月26日に自身のXで静岡マラソンを持って現役を引退することを発表したGMOインターネットグループの下田。静岡県小山町出身の下田は、加藤学園から青山学院大学に進むと箱根駅伝で3年連続の8区区間賞、総合4連覇に大きく貢献。初マラソンとなった2016年の東京マラソンで日本10代歴代最高タイムをたたき出したことも大きな話題に。大学卒業後は2020年の東京マラソンで自己ベスト2時間7分27秒をマーク。去年は別府大分毎日マラソンで日本人トップ、2時間8分24秒で2位に入っていたこともあり、突然の引退発表に陸上ファンからは驚きの声があがっていた。下田は「ポイントポイントではなんとなく結果が出てまとまっているとは思うが、ではここから本気で日本代表を目指せるか、というところまでいくと少し厳しいなと考える節もある。「まだまだやれるよ」という声もたくさんいただいて、ありがたいのですが、今後のことも考えたら、覚悟は決まりました」と、引退を決めた理由を語り、引退後は指導者として新たな道を歩むという。
実は、2月24日の大阪マラソンをもって引退する方針だったが、恩師である青山学院大学の原晋監督にも相談し地元の静岡マラソンを引退レースに決めた。原晋監督は「彼らしい選択」と話し、努力で2年生から中心選手として青山学院大学の黄金時代を築いた教え子をねぎらった。「同期の中ではどちらかというと下の方だったが結果として上位の選手になった。賢い子で、私の指導に対して素直に受け入れてくれて自分でアレンジを加えてトレーニングを作り上げてきた。力がつきますよね。人間どこかで引退を迎えるが、彼のふるさとを思いやる気持ち、ふるさとに育てられた気持ち、彼らしい選択。明るく元気に楽しく走り切ってほしいですね」と結んだ。
いよいよ9日号砲の静岡マラソンで選手生活約20年のラストランを迎える下田。フルマラソン完走から2週間でのフルマラソンは初となるが「思ったほど疲労感はない。楽しみたい」と前を向く。小学生のころ、中学生だった姉・優衣さんが市町対抗駅伝にランナーとして選ばれてくっついて走っていたのが陸上の始まりだという下田。最後は、陸上を始めた静岡で、一区切りのレースを走る。「本当に陸上が人生の道しるべになってくれました。原監督にも、ものすごい人生を導いてもらった。今後は僕も指導者になって自分の教え子たちをよりよい方向に導びけるような存在になりたい。現役という意味では最後の静岡、いい恩返しをできればなと思います」
フルマラソンの自己最高記録は2位の下田。明るさや笑顔が特長でもある下田は最後静岡でどんな走りを見せてくれるのか。静岡マラソンの模様は9日午前10時から静岡朝日テレビで放送される。
