なぜ消えた?「スーパーカップ抹茶味」終売の衝撃 「日本中の茶葉を抹茶にしても足りない」世界的ブームの裏側 静岡
「スーパーカップ抹茶味」終売…売り場から消えた人気商品の衝撃
田子重西中原店 増田克己店長:「こちらがスーパーカップの売り場となります。今、抹茶味は販売していなくて、今年4月ぐらいで販売終了していた状況です」
10月、大きなニュースになった、明治の人気アイス「スーパーカップ抹茶味」の製造終了。明治によると「抹茶味」は今年2月にすでに作り終えていたといいます。長年愛された人気の定番フレーバー。製造終了の理由は…。
明治によると、「抹茶原料の世界的な需要の高まりを受け、原料の供給が不足する可能性がありました。そこで、商品の安定供給を重視した結果、終売を判断いたしました」
スタッフ:ほかに抹茶味のアイスはあるんですか?
店長:「今ですとこちらの抹茶味のパピコ。あとこちらにもミルクモナカという商品がございます。純粋な抹茶というよりも、抹茶風味といいますか、そのような商品となっています。今年に入ってからは少なくなっておりまして、今でもこんなに少ないかなと気が付いてなかったんですけど、少しづつ減ってる状況です」
県内最大級の茶産地へ 抹茶の原料「てん茶」づくりの最前線
伊地健治アナウンサー:「県内最大の茶処・牧之原台地にきています。私の横に広がる茶畑はまさに抹茶の原料となる“てん茶”を作るための茶畑なんです。なぜ抹茶は不足しているのでしょうか?」
そこで、県内抹茶製造の最前線へ。そこで明らかになった“抹茶の実態”とは!?
ハラダ製茶農園工場長 鈴木啓泰さん
伊地アナ:「ここは本当に広い茶畑ですね。実際に“てん茶”を作っている茶畑はどこからどこまで?」
鈴木さん:「自社の畑はあそこの小屋から1.3haの畑になります。自社の中でも広い畑となっています」
伊地アナ:「その周りみますと牧之原台地ですから、見渡す限りほとんど茶畑という感じ。その中の1.3haで抹茶の原料となる“てん茶”を作っているというわけなんですね。今こう芽も伸びている感じですけど今どういう状態?」
鈴木さん:「秋芽が伸びた状態ものを刈り取る作業に入るところ…」
なぜ増産できないのか? 最大の壁は“被覆作業”と人手不足
秋から冬にかけて収穫される「秋冬番茶」。今がまさに最盛期ですが、茶畑では同時に、抹茶の原材料となる「てん茶」の生産拡大も進められています。そのてん茶づくりに欠かせないのが“被覆”と呼ばれる作業です。
鈴木さん:「まず抹茶の原料となるためには黒い寒冷紗という被覆資材をかけて、日を当てないように葉に光合成をさせないということをします。そうすることによって、葉が自分で色を濃くしてうまみ成分であるアミノ酸が増えて、おいしいお茶ができる」
伊地アナ:「収穫前に被覆をどのくらい期間行う?」
鈴木さん:「2週間以上ですね」
この被覆作業が大変なんだそうです。
鈴木さん:「まず、寒冷紗というシートですね」
伊地アナ:「黒いあみあみのシートみたいな感じになってるんですね。結構、めんどくさい作業ですね…」
鈴木さん:「だから効率が良くない」
伊地アナ:「ちょっと気が遠くなるような気がします。でもこれをやらないと、抹茶にはならない。普通の露地栽培だったら、煎茶を作るのであれば、こんな事はしなくてもいいんですね。なるほどねー」
てん茶作りに欠かせない被覆作業。しかし、そのほとんどは手作業です。1日で覆うことができるのは、およそ2反歩、1haは10反なので、1.3haあるこちらの畑を2人で覆うには、およそ1週間かかる計算です抹茶需要が高まる中、てん茶の生産拡大には、こうした人手の確保が大きな課題となっています。
鈴木さん:「この畑を一日で刈るということを目標で進めているので、一日でこの広さをかぶせるだけの人材を集めたい」
伊地アナ:「被せるのもなるべく一斉に被せる。2週間たってワーとはがして、すぐに刈り取ることが大事ということなんですね」
鈴木さん:「そうです」
伊地アナ:「じゃあ、すごい短い期間に人手が必要になる」
「これは熱い!」 24時間稼働する碾茶工場の舞台裏
こうして収穫された茶葉は工場へ。抹茶の原料となるてん茶へ加工されていきます。そこでは…。
これは熱い!すごく熱い!
スーパーから消えた「抹茶味」のアイス。背景にあるのは世界的な抹茶需要の増加です。そうしたなか、県内の抹茶生産の現場では…。
伊地アナ:「トラックに袋に入った茶葉がいっぱいあります。これがラインに運ばれてベルトコンベアで上のほうに行ってます」
鈴木さん:「基本、当日刈った生葉をその日のうちに加工してしまう、次の日には新しい葉を受け入れる。一日で処理できる葉の量が2万kg」
伊地アナ:「2万kgの生葉から抹茶はどのくらいできる?」
鈴木さん:「大体、五分の一になるので4000kgの製品(碾茶)を作っています」
運ばれた葉は、まず「蒸す」工程へ
伊地アナ:「この中で茶葉が入ってるんですね。すごくいい香り…」
鈴木さん:「色が濃くなって…」
伊地アナ:「本当だ、あったかい」
「蒸す」ことできれいな色を保つ“色止め”をしています。
伊地アナ:「煎茶と違う工程はどんなところ?」
鈴木さん:「煎茶は揉みながら乾燥させていくが、“碾茶”の場合は、(揉まずに)そのまま乾燥が進んでいく」
伊地アナ:「蒸された茶葉が落ちて、ブワーっと(風で冷却をしています)風で冷却をしているこの布の中を茶葉が舞っています」
この冷却で表面の水分を飛ばすそうです。その後、温風で香りを立たせるための乾燥へ。
鈴木さん:「熱が入ったので匂いが…甘い匂いが…」
伊地アナ:「ほんとだ、いい香り!先ほど触ったのはちょっと温かかいくらいだったんですけど、これは熱い!すごく熱い!渋い匂いというのは全然しなくて甘い香り!」
さらに、こちらの機械でも香りを立たせます
鈴木さん:「「碾茶炉」という機械になります。鉄管が熱い放射熱を出して、風を与えずに葉っぱを乾かして香気をあげている。イメージすると、焼肉みたいな感じではっぱを焼いていく」
伊地アナ:「なるほど、こっちは熱で、向こうは温風で…」
乾燥させると茶葉がパリパリに。茎と葉を分ける工程を4回繰りして完成。茎はティーバッグなどのお茶に。そして、葉が抹茶の元となる碾茶になります。
伊地アナ:「(食べてみる)普通の煎茶のおちゃっぱよりも苦みがある感じ」
鈴木さん:「碾茶の場合は細かく粉にしてそのまま飲むので、(それと)同じような味がすると思います」
伊地アナ:「ちょっと苦み、あとから少し甘みが来る感じですね」
「収入は桁が一桁違う」 抹茶転換で変わる茶農家の経営
この工場では、春夏秋の収穫時期の3か月間24時間フル稼働で碾茶へと加工しています。ただ、茶農家にとって「碾茶」は簡単なものではありません。5年前から碾茶に切り替えた農家の男性は…。
伊地アナ:「碾茶つくりは大変ですか?」
茶農家A:「被覆の手間が機械化されてないので大変。ましてやこの暑さ」
茶農家B:「はじめは大変だと思ったけど、だいぶ慣れてきた」
伊地アナ:「年間の収入も5年で増えてきた?」
茶農家B:「去年から…、桁が一桁違う」
伊地アナ:「桁が一桁違う抹茶にすることで…」
世界中から注文殺到 「需要に量が追いつかない」
伊地アナ:「この抹茶ブーム続くといいと思いますが…」
茶農家B:「続くといいけど中国が大体的にやるから」
茶農家A:「需要と供給の問題だからどうなるか。この先はわからない、不安も期待も」
業界大手のハラダ製茶では全国に協力茶農家がいて、100地域ほどの産地から茶葉が届き、厳しい品質チェックなどを経て価格を決めています。
伊地アナ:「ちなみに抹茶でいい色とされるのはどういう色なんですか?」
ハラダ製茶営業本部 永野友之部長:「我々は色味的には、青いという表現をしているんですが、鮮やかな緑色、青みがかった緑色の抹茶とされていますね」
伊地アナ:「濃い緑よりも明るい色」
永野さん:「冴えのある明るい色が好まれますね」
伊地アナ:「3つで違いはありますか?」
永野さん:「そうですね、こっちが黒いというか…こっちは鮮やかな緑色ですかね」
伊地アナ:「言われてみるとそうですね、そうすると価値はこっち(鮮やかな緑)のほうが高くなってくる」
永野さん:「使い方にもよるが、抹茶単体で考えるとこっちのほうが高くなってくる」
当然、味のチェックも!
伊地アナ:「どうでしょう?」
永野さん:「問題ない!
碾茶も熱湯をいれチェックします。検茶という行程で欠点を見ているんだそうです。茶葉だけでも色が微妙に違いますが、わたしも検茶してみました。
永野さん:「少し距離取って…」
伊地アナ:「いい香り。それはわかります。あっ、たしかにちょっと違います。香ばしい感じがしました。逆にこっちは青いというか」
永野さん:「青いですよね、そうなんですよ」
伊地アナ:「合ってました?(笑)」
ブームはいつまで続く? 生産現場が抱く期待と不安
比べるとこんなにも違うんだなということがわかりました。世界的な抹茶ブーム。この勢いはすさまじいようで…。
永野さん:「日々海外からの問い合わせが来ているんですけれども中々それに対応できる量が確保できていない状況ですね」
伊地アナ:「世界的に足りない?」
永野さん:「実際、日本全国のお茶を仮に碾茶に変えたとしても今の世界中からの需要には対応できないじゃないかなと思ってます」
海外の需要に追い付かない状況。いっぽうで、こんな実情も…
永野さん:「抹茶のブームがあまりにも急に始まってしまったのでこのブームが一過性なんじゃないかという見方を茶農家もされていまして、弊社もそうですけど碾茶専用の設備の工場を持ってしまうと、ブームが去った時に設備投資だけが残ってしまうので、理想でいうと「煎茶も碾茶も作れる設備」があることが望ましいと思っています」