「海底が見えないほど…」 漁業者を悩ませる大量の流木…「網が入れられない」 静岡市

 このほど解禁されたシラス漁。静岡市の用宗漁港からも一斉に船が出ました。朝7時半、漁場となる用宗近海で、3隻1組で漁を行います。魚群探知機でポイントを定めたら2隻で網をひき、残りの1隻が獲れたばかりのシラスを鮮度が落ちないうちに船上で氷漬けにし、港まで運びます。これを数回繰り返しています。

画像: 「海底が見えないほど…」 漁業者を悩ませる大量の流木…「網が入れられない」 静岡市

シラス漁初日は去年の半分ほどの漁獲量

 シラスはマイワシやカタクチイワシなど、イワシ類の稚魚で、特に用宗のシラスは丸々と太っていて、甘みが強いのが特徴です。

用宗港 伝八丸 斉藤貴浩さん:「この春解禁のシラス、例年通りの良いものが取れまして、やっと、これで静岡の方においしいシラスを届けることが出来て満足しています。漁自体はちょっと少なかったかなという感じですけれど」

画像: シラス漁初日は去年の半分ほどの漁獲量

 22日、シラス漁初日となった用宗漁港では2750キロの水揚げ量でした。これは去年のおよそ半分程度です。県内のシラスの漁獲量には毎年波があり、かつてほど豊漁とは言えない状況です。

 県水産・海洋技術研究所の予測では、不漁であった去年同様、黒潮の影響を受け、カタクチシラスなどは3月から5月にかけて漁獲量が少なくなると予測しています。

海底が見えないほどの流木

 漁獲量の減少に加えて、用宗漁港では今、もう1つの“問題”にも頭を悩ませています。

画像1: 海底が見えないほどの流木

用宗港 伝八丸 斉藤貴浩さん:「きょうの漁の間も、流木が何本か掛かってきたり、人工物であるパイプなども掛かってきたりしてしまって、漁に不調をきたすものも多いですし。春先5月になると、安倍川の15メートルから20メートル辺りのところに群れがつくことが多いので、そこに流木が堆積しまっていると網も入れられず、ちょっと痛手なので、漁をやれるようにどうにかしてもらえたらなと思っています」

 去年9月、県内各地に甚大な被害をもたらした台風15号。記録的な大雨は大量の流木やがれきを巻き込み、海へと流れ込みました。

 シラス漁は通常、水深10メートル~15メートルのところで網をひいていきますが、安倍川河口は水深が浅いため、海底まで網が届き、堆積した流木などを巻き上げてしまうといいます。台風発生から半年経った今も、用宗の漁師たちはこの問題に不安を募らせています。

画像2: 海底が見えないほどの流木

用宗港 伝八丸 斉藤貴浩さん:「シーズン始まる前の2月の時に。海底調査でカメラを沈めて海底を見に行った調査は僕の船でやりまして、その海底も、海底が見えないほどの流木の量でして、それをクレーン船で取ってくれるっていう話は少し耳にしましたが、それがいつやってくれるのかなと。できればシラスの解禁前に済ましてほしかったなという気持ちがあります」

 県水産振興課によると、現在、静岡漁連が主体となって、安倍川河口周辺の流木などの分布状況を調査していて、その調査結果をもとに、今後、県や市が対策を検討していくということです。シラス漁と並行して行われる対策の検討。実際の撤去作業が始まるのは、まだまだ先になりそうです。