静岡・沼津市の１番人気は意外な「あの写真」 誰でも貴重な写真が使える沼津市のサービスとは？
静岡県の沼津市は市が所有している写真を誰でも無料で使えるサービスを2014年から行っています。風光明媚な景観で知られる沼津市ですが、一番人気の写真は意外なものでした。（取材・文＝三浦徹）
「フォト＆ムービーライブラリー」は沼津市が所有する貴重な写真や動画を無料で使えるサービスで、2014年11月に開始しました。
写真を無料で提供するサービスはいろいろな自治体で行っていますが、その多くは申請や承諾書などの手続きが必要です。沼津市のサービスが画期的なのは、そのような手続きが不要なこと。誰でも市のHPからそのままダウンロードしてすぐに使うことができます。
●沼津市広報課 山本翼シティプロモーション係長：
「沼津市の魅力発信の拡大につながることを目的として始めました。みなさんが使いやすいように申請等は不要ということにしています。市役所はまだ書類が主流ですので、申請する書類が必要ということになると、利用者はすぐに写真を使いたいのに時間がかかってしまうことも考えられます。お互いのためにそういったことは省略することにしました」
「フォト＆ムービーライブラリー」に掲載されているのは、市の広報などが所有する写真1403点、動画70本です。（2025年4月現在）
写真は、「沼津の四季（春・夏・秋・冬）」「施設・建物・公園」「イベント」「沼津の海と沼津港」「食」など22のカテゴリーに分類されています。
懐かしい「昭和の沼津」「平成の沼津」といった貴重な写真も利用することができます。なぜ昔の写真を掲載しているのでしょうか？
●沼津市広報課 山本翼シティプロモーション係長：
「昔の写真、ネガとかポジとかが市役所の中にかなり残っていて、それをデジタル化するという作業を今私たちが行っています。その作業をする中で、そういったものも公開していったらいいんじゃないかということで掲載しています」
ちょっと変わったカテゴリーが「空からの学校訪問」です。ドローンを使って学校を上空から撮影したもので、すべての市立小中学校の写真がそろっています。沼津市で学生時代を過ごした人ならうれしいかも。
●沼津市広報課 山本翼シティプロモーション係長：
「写真はすべて私たちが撮影したものです。広報課ではドローンを所有していますが、どう活用するかと考えた時に、その時々の小中学校の景色を残していったらおもしろいんじゃないかということになりました」
1403枚もあると、沼津市の写真はなんでもそろう気がします。みんな写真をどのように使っているのでしょうか？
●沼津市広報課 山本翼シティプロモーション係長：
「写真はポスターとかチラシに使っていただいているようです。名刺などに使うケースも。動画はテレビ番組などで沼津市を紹介するときに使うことが多いようです」
写真は個人、企業、団体を問わず自由に利用することができます。商店などが、自社のチラシやポスターに使用することはできますが、カレンダーや写真集など、写真そのものを営利目的に利用することはできません。
また、公序良俗に反するもの、人権侵害・差別、または名誉棄損のおそれがあるもの、宗教や政治的活動に関するものなどへの利用はできません。
2024年度の「フォト＆ムービーライブラリー」のアクセス数は、1万5905件でした。
沼津市ではこれまでダウンロードした写真の中から2024年度のアクセス数トップ10を発表しました。その中のトップ5を紹介します。
5位は沼津駅南口（昭和30年代後半）。バスやタクシーがたくさん止まっています。車も今では見ることができないものばかり。
4位はぐるめ街道（平成2年）。伊豆縦貫道が開通する前、東名高速沼津インターから国道1号バイパスに続く道は当時、飲食店が連なり大変にぎわっていました。観光シーズンになるとはげしい渋滞が起きていました。
3位は沼津東映周辺（平成3年）。旧中央ガードを出たところにあった映画館です。この当時、沼津駅南口には多くの映画館がありました。
2位は仲見世商店街（昭和40年代後半）。仲見世商店街は今もありますが、当時の賑わいからすると少し寂しい気がします。
1位は駅前交差点（平成3年）。当時は沼津駅前に西武百貨店が建っていました。
6位以下は下記の通りです。
6位 沼津駅前（昭和30年台後半）
7位 御浜岬（鳥居と海と富士山）
8位 沼津駅舎（昭和30年代後半）
9位 沼津駅西武百貨店周辺（昭和30年代後半）
10位 旧中央ガード（平成8年頃）
富士山や駿河湾、あるいは市内各地にある「ラブライブ！サンシャイン！！」のモデルとなった場所等が上位にくると思われましたが、意外にも上位は昔の沼津市の写真が占めました。この結果については…。
●沼津市広報課 山本翼シティプロモーション係長：
「結果を分析しているわけではありませんので、『よく分からない』というのが正直な所です。ライブラリーを見ていただいている方が、これらの写真を懐かしむような年代なのかもしれません。沼津市は今に比べると昔はかなりにぎわっていましたので、それを懐かしく思っているのかも。富士山や駿河湾は今でも見ることができますので、もう見ることができない写真という意味合いもあるのかもしれません」
ちなみに前年度も、同様に昔の写真が上位を占めたということです。
掲載している写真の数が1400点を超えた沼津市の「フォト＆ムービーライブラリー」。これからさらに充実していくことが期待されています。
●沼津市広報課 山本翼シティプロモーション係長：
「まだデジタル化していない写真が広報課にはたくさんあるので、これからさらに写真は増えていきます。沼津市のまちなかも変わってきているので、そういったところを切りとるような写真も必要だと思います。昔の写真が人気なのはうれしい半面、もっと新しい魅力も発信していかなければいけないという思いもあります」
沼津市では魅力あふれる沼津の写真を市民から募集する特設サイト「ぬまづフォトストック＆ビューア」を2024年12月に開設しました。市民から寄せられた写真は市のＨＰで公開しています。本人の許諾が得られれば、この写真もライブラリーに加えられるということです。
