庭に線路と踏切と鉄道信号がある家 静岡・富士宮市

静岡県富士宮市には、庭に鉄道模型の線路と踏切、鉄道信号があるユニークな家があります。踏切と鉄道信号は実際に使われていたもの。なぜこのような庭をつくったのでしょうか? モノづくりにこだわる男性を取材しました。(取材・文=三浦徹)

保育園児がやってきた
保育園児がやってきた

庭で乗り物に乗って遊んでいるのは、富士宮市の「ぷくぷく保育室」の2歳の園児たち9人。キリンや消防車の乗り物に乗って、線路の上を走っています。ここは、遊園地のようですが、実は一般の住宅です。

この家の主は佐野直文さん(72)。実は園児たちが乗っている消防車やキリン、ダックスフンドの乗り物は佐野さんの手作りです。

キリンや消防車の乗り物は手作り
キリンや消防車の乗り物は手作り

●佐野直文さん:
「モノづくりが昔から好きでした。最初は飛行機の模型を作り、20年くらい前から鉄道模型を作るようになりました」

佐野直文さん
佐野直文さん

市内の会社を退職した佐野さんは、今は自宅の作業場で、趣味の鉄道模型を作っています。作業場にはボール盤やフライス盤などの専門的な機械が置かれ、まるで町工場のようです。

作業場は町工場のよう
作業場は町工場のよう

佐野さんが作るのは主に5インチゲージと呼ばれる大型の鉄道模型。人が乗ることもできます。写真を元に1から手作りするのが特徴で、模型は世界に一つしかありません。おなじみの新幹線、SLのほか富士市を走っている岳南電車など20両を作ったといいますが、多くは「欲しい」といった人にあげてしまったということです。

新幹線の模型も1から手作り
新幹線の模型も1から手作り

その佐野さんの庭に園児が遊びに来るようになったのは10年ほど前。人を通じて佐野さんから声をかけました。

●ぷくぷく保育室 三澤夫美世園長:
「いつもこの季節になると、『芝桜が咲いたからいらっしゃい』と佐野さんから連絡があります。こちらには年に2回くらい来ます。保育園から歩いて20分くらいなのできょうはお散歩がてら来ました」

園児も楽しそう
園児も楽しそう

佐野さんの庭には、この日のために用意したおよそ30メートルの線路が敷かれ、子供たちはキリンやダックスフンドの乗り物に乗って、線路の上を走りました。人気の消防車はとりあいに。子どもたちはおよそ1時間、水分をとりながら夢中になって遊んでいました。

●ぷくぷく保育室 三澤夫美世園長:
「子どもたちはテーマパークよりこういうところが好きです。園にもタイヤのついた車はありますが、線路の上を走る機会はなかなかありません。男の子は特に乗り物が好きですから楽しいと思います」

手作り模型に園児も興味津々
手作り模型に園児も興味津々

佐野さんの庭には実際に使われていた踏切や信号もおかれています。なぜ庭にこんなものが…。

●佐野直文さん:
「踏切や信号は使わなくなったものを譲り受けました。自分で修理して、実際に動かすこともできます。きょうは2歳児だったけど、もう少し子どもが大きい場合は新幹線などの模型に実際に乗ってもらいます。毎年来る子どももいますけど、前の年より成長している姿を見るのは楽しみです。これからもこうして子どもを喜ばせたい。子どもは働く車が好きだからクレーン車とかフォークリフトが線路をはしるようにしたら喜ぶかな?」

※佐野さんの庭は一般には公開していません。

踏切は稼働させることができる
踏切は稼働させることができる