純米酒部門で日本一…静岡・焼津の『磯自慢酒造』 おいしさのヒミツは「梅干し」にあり?

須藤誠人アナウンサー:「静岡県で有数の港町・焼津。ここに蔵を構えるのが『磯自慢酒造』です。世界中の日本酒ファンをうならせる老舗酒造が、日本一に輝きました」
6月10日、都内で行われた、「世界一おいしい“市販の日本酒”」を決める品評会。総エントリーは1163点。その「純米酒部門」で焼津市の磯自慢酒造が一位に輝きました。
磯自慢酒造 寺岡洋司社長:「久しぶりにこの上に上がらせていただいて、本当に感動しております。誠に皆さんありがとうございました」
1830年創業『磯自慢酒造』
須藤アナ:「さあやってきました。こちら、立派な杉玉に、看板が…。秘酒・磯自慢と、達筆でカッコいいい。そして、何よりもこの建物が雰囲気ある」
1830年創業、焼津市に蔵を構える磯自慢酒造。北海道で行われた洞爺湖サミットの乾杯酒としても知られ、数々のコンクールで賞を獲得してきた、焼津が世界に誇る老舗酒造です。
須藤アナ:「反響などはありましたか?」
磯自慢酒造 待井由朗杜氏:「お店もお客さんいっぱい来てくれたので(笑)はい!」

「磯自慢雄町」は「コメのうまみ」と「透明感」抜群
今回、純米酒部門で一位を獲得した「磯自慢雄町」は「コメのうまみ」と「透明感」が抜群で、3000円のクオリティーとは思えない、完成度の高さが評価されました。
その秘密に迫るべく、磯自慢のキーパーソン、杜氏(とうじ)の待井さん案内のもと、“日本一の製造現場”に潜入です。
須藤アナ:「こちらが蔵ということになるんですか?」
待井さん:「こちらが磯自慢の蔵になります」
須藤アナ:「大きな部屋がいくつかあるようにも見える」
待井さん:「全部ステンレス張りの冷蔵庫になっていて、冬の仕込みの時期に仕込みをやってる」
須藤アナ:「『冬の時期が』っておっしゃいましたけど、今、磯自慢さんはどういうシーズン?」
待井さん:「今は僕らはオフシーズン。結局、僕らの仕事はお米ができてからの仕事なので…」

冷蔵庫には梅干し?
例年、酒造りシーズンは10月から5月のゴールデンウィークまで。冷蔵庫の中には仕込まれたお酒が貯蔵されています。
須藤アナ:「ちょっと(冷蔵庫に)気になるものが。これ何ですか?」
待井さん「これはあの…『梅干し』でして…」
須藤アナ:「梅干し?なんで梅干し?」
待井さん「蔵人(職人)が毎朝、冬に食べるんです。特に僕、大好きなんですけど(笑)」
須藤アナ:「何のために食べるんですか?」
待井さん「朝ごはんですね。毎朝(みんなで)ご飯みそ汁海苔とか決まった献立を食べるが、大事なんですよ、梅干しが(笑)すごい、ご飯進むんですよ」
須藤アナ:「じゃあ、日本一のお酒を支えているといっても過言ではない…」
待井さん「もちろんそうです!」

須藤アナ:「けっこうひんやりしますね」
待井さん:「多分、3℃ぐらいにセットされている」
須藤アナ:「そして、大きなタンクがいくつも並んでいる」
待井さん:「これは持ち運びするタンクなので、これはみんなで運びます。で、こういう小さいタンクが仕込みのタンクです。これはもう運べないので」
須藤アナ:「“仕込みのタンク”っていうのは? 何が違うんですか?どの段階のこと?」
待井さん:「お米が入ってまだお酒になる前。『もろみ』が入る、もろみのタンク」
須藤アナ:「じゃあ、いわゆる、よく見る“かきまぜるタンク”がこちら?」

磯自慢では全国的にも珍しい“ステンレス張りの蔵”を採用。これによって、温度や衛生面を徹底管理し、磯自慢特有の繊細な酒造りが可能になるのです。
須藤アナ:「シーズンが終わったら、このように本当にキレイにされるんですね」
待井さん:「やっぱり洗いは大事ですね、清潔なのは」
須藤アナ:「良い酒造りには欠かせないこと?」
待井さん:「そうですね…(磯自慢では)『洗いに始まり洗いに終わる』という教えがある。洗いに始まるというのは、一番初めは、お米を洗うのを丁寧に、最後にお酒を絞る機械があるんですけど、その袋をきれいに洗うという、本当に基本が大事」
須藤アナ:「それが200年近く受け継がれてきたもの…」
待井さん:「そうですね、僕はまだ全然ペーペーですけど」

日本一のお味を堪能
基本を徹底することで生まれた、日本一の「磯自慢」。すると“もう1人のキーマン”が登場です。
磯自慢の8代目、寺岡洋司社長。せっかくの機会なので、社長の前でいただきます。
須藤アナ:「(試飲)あ~とても甘い香りがします。ではいただきます。うわぁ、おいしい。とても飲みやすいです。口にスーッと馴染んでいきますね、フルーティーな香りが印象的です。とても飲みやすいです」
寺岡社長:「そうですか」
須藤アナ:「おいしいです……合っていましたか? リポートは…」
寺岡社長:「(笑)大丈夫です。間違いございません(笑)」
米のうまみだけでなく、透明感があり後味はすっきり。和食・洋食問わず、様々なシーンで活躍する、万能な味わいです。
磯自慢酒造 寺岡洋司社長:「どちらかと言うと、料理を食べながら飲むという、そういうスタイルが純米酒なので、飲み飽きしない」

社長「焼津人として頑張る」
コンペティションでの1位獲得は、2015年に続き2回目。去年の酒造りは、ひと際苦労したようで、喜びもひとしおです。
磯自慢酒造 寺岡洋司社長:「昨年の秋の収穫の酒米、正直なところ、そんなに良い品質ではなかった。これは酒米に限らず、全国の米の品質が良くなかったっていうのは高温障害。夏に暑すぎた。1位で磯自慢と呼ばれたときは、ワッっていう感じ。…良かったなって」
逆境に負けず、再び栄誉を手にした磯自慢。「焼津から日本を代表する酒蔵へ」今後の活躍にも目が離せません。
磯自慢酒造 寺岡洋司社長:「『皆さんに育てていただいたので今がある』そこは絶対忘れちゃいかんことでございまして、磯自慢はおいしいよと言っていただけるように、これからも焼津人として頑張っていきたい」
