浜松の人気店「営業休止」…理由は「コメがない」 量は確保したが消費が早く例年より3カ月早く在庫ゼロに
店員:「お待たせしました。カツカレーセットです。」
お昼時、満席で賑わう店内。お客さんたちのテーブルに並べられているのは、大きな「とんかつ」に「とんてき」、ボリューム満点のランチタイムです。
客:「カツカレー大盛で。とんかつも付いていてこの金額はなかなかないので、嬉しい」
客:「とんかつ定食。これが一番だと思う」

そんな大盛況なこちらの店ですが、店内にはこんな張り紙が…。
肉屋の肉料理「味喜家」 杉山裕一店長:「1年間分、押さえているお米がなくなってしまって。とにかく8月はお米がないという状況だったので、休む決断をした」
休業の理由は「米不足」。令和の米騒動は、地域住民の憩いの場にも影響を及ぼしていました。

「米が足りない…人気店が休業に」
厨房で開店準備をしていたのはこの店の店主、杉山裕一さんです。浜松市中央区にある「肉屋の肉料理味喜家」。精肉店が経営する食堂で、牛肉がゴロゴロと入ったルーに大きなとんかつが乗ったカツカレーや、肉厚な豚肉に甘めのタレがかかったとんてきなど、お手頃価格でお腹いっぱいになれる肉尽くしなお店です。
「街中の社員食堂」をコンセプトに、働く人々の胃袋を支えてきたこちらの店。ただ、この日の店内にはこんな張り紙が。
肉屋の肉料理「味喜家」 杉山裕一店長:「最後までいつもと変わらずやっていこうかなと、在庫があまり残っていないので、これを売り切って終わります。けさ見たらお米も大きな袋にちょこっと残っただけだったので」

8月1日から店は一時休業に。理由は「お米切れ」です。
肉屋の肉料理「味喜家」 杉山裕一店長:「1年間分、押さえているお米がなくなってしまって、農家さんにあるお米を買わせてもらったが、農家さんも引き合いが強くてなくなってしまって、とにかく8月はお米がないという状況だったので休む決断をした」
味喜家(みきや)では米を農家と年間で契約。今年分も例年通りの量は確保できていたということですが、消費するペースが早かったといいます。
肉屋の肉料理「味喜家」 杉山裕一店長:「(米の減りが)今年は圧倒的に早かった。『お』って言うくらいの量で減っていって、去年の冬くらいから“ご飯少な目”のお客さんが減ってきて、普通盛りから“大盛り”って」

例年より3カ月ほど早いペースでなくなってしまったという今年の米。新米が出てくる秋口までは休業となる見通しです。休業前、最後の営業日となったこの日。開店10分前には、すでに10人ほどの列ができていました。午前11時半、営業開始とともにお客さんが続々と店内へ。店内は5分足らずで満席となりました。
常連客:「混むと思ったので1番に来た。肉をよく分かっている感じがするので、自分の中のとんかつはこうあるべきっていうのが、そのまま出てくるのでめちゃめちゃい嬉しい」
常連客:「ちょっと最後お邪魔したくて、来ちゃいました。結局いつもカツカレーにする。ボリュームがあるので、(休業で)ランチ難民にはなってしまうが、開業を待ち望んで、これまで本当にお世話になりましたと、その一言です」

常連客の食べっぷりからも、店の人気がうかがえます。営業開始から今年で31年目にして、店としては初めてとなる「休業」。想像もしていなかった「米の在庫切れ」という事態に陥りましたが、店長の杉山さんは…。
肉屋の肉料理「味喜家」 杉山裕一店長:「お米は確かに引き金だが、僕らはこれをいい機会にお店をお客さんが使いやすいように変えていこうかなと思う。ポジティブな休暇として僕の20年ぶりの夏休みをとらせていただこうかなと」
店内の改装や、料理のスキルアップなど味喜家のパワーアップ期間にしていきたいといいます。
肉屋の肉料理「味喜家」 杉山裕一店長
客:「いつ再開する?」
A.「まだ分からないんですよ。大体9月の半ばくらいかな。がんばります」
この日は、開店から客足が途切れることはなく…。
肉屋の肉料理「味喜家」 杉山裕一店長:「本日完売です。(笑い)」

閉店時間を待たずして営業終了。もちろん、米の在庫もゼロです。令和の米騒動に加えて、物価高騰が相次ぐなか、再スタートへの意気込みを伺いました。
肉屋の肉料理「味喜家」 杉山裕一店長:「うまい、安い、早いが維持できるようにいろんなことを考えて、ぎりぎりだが、まだまだなんとかやっていくつもりなので、自分もスキルアップアップしてお店もバージョンアップしていくので、新米のおいしいのをお肉と食べていただけるように、待ってていただけたら」