タイやベトナムなどのエスニック料理によく使われている香草「パクチー」の全国有数の生産地が静岡県に ほとんどがメロン栽培から転作

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 タイやベトナムなどのエスニック料理によく使われている香草「パクチー」。実は静岡県内に全国有数の生産地があります。なぜ静岡で盛んなのか? その背景を取材しました。

●大野裕輝記者:
「磐田市に来ています。こちらのハウスの中でパクチーが生産されているということですが、中に入ってみると非常に暑い。その中でも奥の方までずらりとパクチーが並んでいます」

 まもなく収穫を迎えるというハウス栽培のパクチー。生産しているのは、農家としてこの道50年の大ベテラン、髙田静彦さん。ただ、初めからパクチーを育てていたわけではありません。

●髙田静彦さん:
「元々はメロンだった」

 県西部を中心に栽培されている温室メロン。芳醇な香りと、その味で果物の中でも不動の地位を確立していますが、それだけ手間もかかっています。

●髙田さん:
「(生育段階で)温度設定が違ってくるもので、様子見ても変えなきゃいけないので、その時は大変でした」

 メロンは温暖な気候を好むことから、ハウスの中を一定の温度に保つ必要があり、冬場は重油を使って20℃を下回らないよう、管理が必要になります。しかし、重油の価格が高騰し、髙田さんの場合、冬の間だけで100万円以上費やしていたといいます。

 そこで行きついたのが…。

●髙田さん:
「冬場、重油使わない作物作りたいなと思って。パクチーの場合だったら重油なしでいけるので、パクチーにした」

 パクチーは寒さにも強く、夏の暑さに気を付ければ1年中、栽培が可能です。

●髙田さん:
Qパクチーの当初のイメージは
「臭いじゃんね。それと特殊な味がする。なかなか食べれる人が少ないのかな」

 現在、磐田市と袋井市にパクチー農家は20人ほどいますが、髙田さんのように、メロン栽培から転作した人がほとんどだといいます。

●JA遠州中央園芸課 佐藤智康主任:
「グラム単価が非常に高価だというところもあるので、限られた施設でできるだけ多くの収入を得られる作物ということで、提案させていただいている。温暖な地域ということもあるので、野菜全般が栽培しやすい所も一つの特徴というのもある」

 JAによりますと磐田市と袋井市では2024年度、24.1トンのパクチーを出荷しています。

 生産者の高齢化もあり、出荷量は右肩下がりだということですが、国が調査した2022年のデータでは、都道府県別に見ても出荷量は4番目に多い数字となっています。

 JAでは夏は温室メロン、冬はパクチーといった季節ごとの栽培も勧めていて、農家にとって新たな選択肢になることを期待しているということです。

タイやベトナムなどのエスニック料理によく使われている香草「パクチー」の全国有数の生産地が静岡県に ほとんどがメロン栽培から転作