黒潮大蛇行の終息で期待のイセエビ漁…初日の水揚げは過去最低でも「少しずつ増えていけば」 静岡・南伊豆町

静岡県南伊豆町で、イセエビ漁が解禁されました。しかし、近年の漁獲量は激減。その原因を探ってみると…
佐々木沙羅アナウンサー(南伊豆町下流漁港 午前5時ごろ):「時刻は朝の5時です。今初漁を終え戻ってきた船からイセエビが水揚げされています」
きのう16日、県内で一斉に解禁となったイセエビ漁。国内有数の漁獲量を誇る南伊豆町では、早朝から漁師たちが、網にかかったイセエビを1匹ずつ丁寧に外していました。
佐々木アナ「すごい! こうやって近くで見ると艶もありますね」
黒潮大蛇行が7年9カ月ぶりに終息
高級食材として取り扱われ、南伊豆を代表する海の幸であるイセエビ。しかし、近年は黒潮大蛇行の影響を受けその漁獲量が激減。去年、初日の水揚げ量はおととしに比べると半分以下まで落ち込んでいました(去年41.9㎏ おととし93.1㎏)。そんななか、8月気象庁が発表したのが、過去最長となった黒潮大蛇行の7年9カ月ぶりの終息。そのため、今年のイセエビ漁には多くの人たちが期待を寄せていました。はたして、初日の手ごたえは。

初漁の水揚げは「過去最低」
漁師
Q.今年の初漁の体感は?
A.「全然ダメ、ひどい。去年よりひどいかもしれない、もしかしたら」
Q.えびの大きさはどう?
A.「小さい、小ぶりで」
Q.黒潮大蛇行が終息して期待する声もあるが?
A.「この感じだとすぐには期待できない感じ」
作業員A:「(イセエビを外しながら)もっと大きいのが普通ならかかるんだけど…。かごいっぱいになるのに」
作業員B:「もうエビの姿が見えないよ」
作業員A:「私は2匹一緒になってる、ありがたいよ」
作業員B:「ありがたいね、こっちは魚ばっかりだ」
現場から多く聞こえてくる落胆の声。南伊豆町観光協会によりますと、今年の初漁の水揚げ量は、去年をさらに下回り36.2㎏と過去最低の数字となりました。

下流海老網世話人 平山善太郎組合長:「一番やばい、毎年一番やばいのが更新されている。去年もこんな感じで下がってからのスタートで、獲れる時期もあったので一概には言えないが。そんなすぐ回復するようなことじゃないと思っていたので、徐々に回復していけたらいいなと」

初物が入荷した店では
佐々木アナ:「こちらのお店には、けさ獲れたばかりのイセエビが早くも入荷しています」
漁港から届けられた青いかごには、けさ水揚げされたばかりの“イセエビ”がぎっしり。
青木さざえ店 青木孝秀さん
Q.すごい迫力ですね、ご覧になって大きさなどいかがですか?
A.「全体に小粒ですね、もっと大きいかとおもったんですけど」

全体的に小さめだといいますが、気になるのは、その味。とれたてを特別に調理してもらいました。おすすめだという、殻のまま背開きし、たれをぬって焼き上げる「鬼殻焼き」でいただきます。
佐々木アナ:「すごい。もう焼きたての香ばしさと海の香りが溜まりません。ではいただきます。甘いです、口に入れた瞬間、身がプリっとはじけて、けさ獲れたてなだけあって甘みがすごく強いです」

解禁日に合わせて“イセエビ”を食べに訪れた客は。
神奈川県から来た人:「解禁日に合わせてきたので、最高です」
東京から来た人:「こりこりしていておいしいです」
千葉から来た人:「こんな贅沢ね、何回もできませんよ」
去年、水揚げ初日のイセエビの価格は1キロ7800円でしたが、今年は、続く不漁や物価高などの影響で、1キロ8640円に。去年は当初7800円だった価格も4回の値上げを経て、最終的には3000円値上がりし、1キロ:1万800円で販売していたといいます。

毎年続く不漁に店は。
青木さざえ店 青木孝秀さん:「このままで商売ができるんだろうか、そういう懸念もあります。“イセエビ離れ”が起こるかもしれない、高いから。そういう懸念もある」
南伊豆町では、10月から「伊勢えびまつり」が始まるなど本格的な“イセエビ”シーズンを迎えます。
「大蛇行が終わったからといってすぐ増えるわけではない」
「黒潮の大蛇行」の終息によって今後の漁獲量に期待したいところですが…。
伊豆漁協南伊豆支所 山田伊佐夫係長:「イセエビに影響がでるのは2年後、3年後だと思っています。大蛇行が終わったからといって海老がすぐ増えるわけではない。3年、4年後に少しずつ増えていってくれたらうれしい」
