『わさび栽培発祥の地』静岡市に雨が降らない…わさびがピンチ! 組合長「今すぐ打つ手はない」 生産者「水がないと根も枯れる」
(安倍川(静岡市)/10日)
橋田カメラマン「安倍川上空です。川に水が流れていません。」
30年に一度といわれる雨の少ない状態が続き、県内もカラカラの乾燥状態。静岡市内を流れる安倍川もほとんど水がなく、途中で水が途切れる「瀬切れ」が発生しています。この記録的な雨の少なさは、静岡が誇る“あの農産物”にも影響が出始めています。
『わさび発祥の地』静岡市葵区有東木地区
2018年、世界農業遺産に認定された、静岡の水わさびの伝統栽培。およそ400年前、江戸時代初期に始まったとされる“わさび栽培”は、安倍川の上流域、静岡市葵区有東木地区が発祥の地といわれています。その“わさび栽培”に欠かせないのが水です。ところが今、県内有数のわさび産地であるオクシズで異変が起きているといいます。わさび農家の秋山一洋さんに案内してもらい、わさび田に向かうと。
片寄翔太アナウンサー:「こちらのわさび田は少し湿っているというか、水が少しありますよね。ただ奥を見てみますと、砂利が見えているというか、水が全くないですね」
秋山一洋さん:「下の方の浸透水と表流水のバランスが崩れて、だいぶまずい状態になっている」
静岡の水わさび栽培は「畳石式」と呼ばれる栽培方法が主流。下から大中小の石を積み上げて、その表面に砂れきを引いた構造で、水がわさび田の表層に流れると、内部に浸透して不純物がろ過されます。流れる水は、夏は暑さから、冬は凍結から守ってくれる役割がありますが…。
秋山さん:「一本抜いてみましょうか。ちょっと凍っているので」
片寄アナ:「抜こうとすると、地面ごと…」
秋山さん:「なんでこうなるかというと、浸透水を必要としていて、このように水がなくなると根っこも壊死していく」
雨不足により、湧き水が減少したことで、わさびに十分な水が行き渡らず、根っこが凍り、腐っていました。1年半ほどかけて生育するわさび。新たに植え付けもできず、生産量も3割ほど減っているといいます。
組合長「いますぐ打つ手はない」
この事態は、わさび栽培が盛んな伊豆地域でも。天城山では、雨量が10年平均で30%減っていて、一部では水が回らないわさび田もあり、植え付けができない所も出てきています。この現状に、ワサビのプロからは。
安倍山葵業組合 杉山昌弘組合長:「いますぐ打つ手はないですね。人工林、スギとかヒノキが多くなっている。針葉樹より広葉樹の方が水を貯めやすいというのがあるので、これから後世に残すためにも山の在り方を考えた方がいいとみんなで話し合っている」
飲食店「わさびがない時も」
片寄翔太アナウンサー(静岡・葵区有東木):「梅ヶ島から南下して、日本のわさび栽培発祥の地、有東木にやって来ました。わさびを提供しているこちらの店には影響は出ているのでしょうか?」
生わさびやわさび漬けなどの地場産品の販売のほか、食事を提供しているこちらの店。地元の女性17人で運営していて、有東木産のわさびを使った料理が人気だといいます。
片寄アナリポ(さびめし700円):「こちらが“さびめし”です。ご飯の上にかつおぶしがふんわりと乗っていて、ここにわさびを乗せて、しょうゆをかけていただきます。ん~、さわやかな辛さがきました。おいしい。わさびのキレのある辛さで、少し甘みがありますね」
わさび栽培発祥の地“有東木”でも、雨が降らないことによる水不足に不安を感じています。
うつろぎ 白鳥茂子さん:「せっかく来てもらっても、(わさびが)ない時もあって申し訳ないと思う時もある」
生産量が少なくなっていることで、お客さんの要望に応えられない日もあるといいます。
うつろぎ 白鳥茂子さん:「雨乞いをしたいところだが、とにかく雨が降って欲しいというか、農家さんもがんばっているので」
“発祥の地”として、自然の恵みを生かした生産に価値がある「静岡のわさび」はどうなる。