2年前の台風15号で壊滅的被害を受けたワサビ田あきらめかけた復旧を実現できたのは友人たち仲間の力 被災後初収穫へ

2022年台風15号で静岡県内各地が被災してから23日で2年です。甚大な被害を受けた静岡市清水区のワサビ田の
今を取材しました。

山崎貴正さん:
「直す気なかったんだよね。あまりにもこう…ひどくて。ここにね滝があるんですけど、上からくる水と合流して斜めにどぉっとワサビ田ごと持っていかれちゃった」

石田和外アナウンサー:
「こちらの住宅街冠水しています。そして、ここに住む住人でしょうか、膝よりも高い位置まで水につかってしまっています」

 おととし9月静岡県内を襲った台風15号。

 県内全域で浸水や建物の損壊、土砂崩れなどが発生しました。

 静岡市清水区ではおよそ6万軒が断水。

 市民生活に甚大な被害をもたらしました。

 その清水区の山あい、両河内地区。

 ここでお茶とワサビを製造・販売する山崎貴正さんのワサビ田もまた壊滅的な被害を受けました。

山崎貴正さん: 
「なんか…もちろんやめようと思ったし、ずっと台風が来るたびすごく気を使うというか気をもんでいるってわかるかな?すごく神経使っていたから、ちょっと楽になるかなっていう思いも実はあったりして」

 2022年収穫を目前に控えていたワサビの9割が流出。

 さらに江戸時代から受け継がれてきたワサビ田自体も7割が流されました。

 美しかったワサビ田は一晩で目をそむけたくなる状態になったといいます。

 復旧しようにもワサビ田につながる農道が土砂や流木でふさがれてしまいました。

 そんな状況を救い出してくれたのは、山﨑さんの友人たちです。

山崎貴正さん:
「何お前そんな弱気になってんだよ。みたいなことをすごい本当に。今回これダメだなって。けどなんとかなっちゃった。毎日復旧始めて汗だくになって、泥だらけになって、帰ってきてシャワーを浴びてっとさ。自然とこううれし涙が。やっぱうれしい。今でも思い出すと…。本当助けてもらって何とか」

 自分たちも被災している中集まってくれた仲間たち。

 スコップやクワを持ち寄り、連日農道や畑の復旧を手伝ってくれました。

 そのお陰もあって2年の時を経たワサビ田は、以前の美しさを取し戻しつつあります。

友人たちの作業

船引とわ記者
「ここは台風15号の際、甚大な被害を受けたワサビ田です。復旧の際にはここまであったワサビ田を縮小して、大きく水路をとるなど台風への対策が施されました。来年の6月にはいよいよこのワサビ田にワサビの苗が植えられます」

 復旧が進むワサビ田の傍らに台風の被害が小さく、すでに苗が植わっている場所も。

 悲惨な状況の中でもしっかり育ち、間もなく被災後初めての収穫を迎えます。

山崎貴正さん:
「今のところ何本かとってみたりしたんですけど、だいぶ良くできてます。ワサビを作るってことももちろんそうだけど。文化というか静岡市の水ワサビ栽培は世界農業遺産にもなっているくらいだから。いろいろ助けてもらった人たちへの恩返しというか、感謝を忘れずに。それをワサビ栽培に生かせればいいなと思っています」

山崎貴正さん