廃校中学校の備品譲渡会…なぜ? 何に使うの? 人気『跳び箱の一番上』 雨・強風の中200メートルもの行列 静岡・下田市
行列は200メートル
雨が降り、強い風が吹く中、グラウンドには200メートルにも及ぶ行列ができていました。その数なんと100人以上です。
来場者
「顕微鏡が欲しくて来ています」
「平均台」「平均台」
午前7時前には並んでいたというこちらの男性は…。
来場者:「興味があって来ました。先週、(別の中学校で)人体模型を取っている人がいたので、それがあればうれしい。インテリアとして置いておこうかなと。欲しいもの取れるように頑張りたい」
みなさんみんなのお目当ては学校の備品。下田市内では去年4月に4つの中学校が統合され、それに伴い廃校となった2つの中学校で、備品の譲渡会がすでに行われました。そして、この日は、3校目となる旧下田東中学校での譲渡会です。譲渡の対象は椅子や机、楽器やトロフィーなどさまざま。持ち帰ることができる備品ならほとんどのものが無料でもらえます。
午前9時半の開始と同時に、校内になだれ込むように入っていく人たち。先ほど人体模型が欲しいと言っていた男性は…。
Q.ゲットできましたけど?
A.「目的達成できてよかったです」
自動車関連の仕事をしているという男性は、他にもインテリアとして使おうと、機械の模型などをゲットしていました。
来場者:「大変満足している。一番は人体模型です」
中にはこんなものを手にしたゲットした人も…。
Q.これなんですか?
A.「望遠鏡」
Q.これは自宅で使うんですか?
A.「たぶんそう。組み立てて見てみます。説明書も入っている。三脚も大きいのがある。この三脚高いよ。高いからこんなの」
跳び箱の一番上の部分が人気
それぞれがお目当ての備品を手に入れている中、意外にも人気だったものが跳び箱の一番上の部分です。
Q.これは持って帰って何に使うんですか?
A.「小さな子どもたちのスポーツ体験に使わせてもらう。思い出のある品物だと思うので、大事に使いたい。(子どもたちも)とても喜ぶと思う」
来場者:
「娘が小さいので、座ってテレビを見られるかなと思って。家にこれある人いないと思うので、これがあれば大満足です。ありがたいです。有効活用したい」
卒業生も思い出深い母校に
音楽室の前には、この学校の卒業生の姿も。
卒業生:「3年間ずっと通っていたので、(廃校になることは)さみしいが、時代の流れでしょうがないと思う。こういう機会じゃないと学校にも来られないし、思い出の品を見られた、目的のものはゲットできた」
開始からおよそ30分、備品を車へと運び入れる人が増える中、教室には備品も持たず、記念撮影をする人の姿が…。
下田東中学校に通っていた学生:「写真撮ってました。思い出のところだったから、写真撮りに行こうって話をして撮りに来ました」
廃校になってから初めて教室に入ることができたというこちらの中学生。自分たちが使っていた備品が、地域の人に再活用されることについては…。
下田東中学校に通っていた学生:「思い出の品をみんながずっと使い続けてくれることで、ここの中学校があったことが証明される。ずっと引き継がれていくと思うので、いいと思う」
備品の処分費500万円が半額ほどに
譲渡会を開催した下田市教育委員会の担当者は…。
下田市教育委員会学校教育課 外岡弘之さん:「下田市内4つの学校が1つになったことによって、どうしても不要になってしまうものがあるので、本来だと捨てなければいけないところだが、それを地域の方に今回持って行ってもらって、新たに地域の方のところで再利用ということを目的に実施した」
この日の来場者は400人以上。下田市によりますと、本来500万円ほどかかるはずの備品の処分費が、譲渡会を行うことで半分ほどに抑えられるといいます。
下田市教育委員会学校教育課 外岡弘之さん:「たくさんの方が来て、思い出の品ということで持ち帰ってもらって非常にありがたい。思い出が詰まったものなので、新たな場所で大事に使っていただければと思う」