32年間一日も欠かさず富士山を観測して分かった事実とは~富士市の取り組み
富士市役所8階から見える雄大な富士山。富士市ならではの光景です。
富士市では1991年から富士山を観測してきました。
担当職員が、午前8時、正午、午後4時の1日3回、自分の目で観測し、見え方を紙に書いていきます。
記録は現在も途絶えることなく続いています。
観測を始めた目的は富士山麓の保全でした。
山田教文副市長:
「富士山麓では非常に首都圏から近いということで、ゴルフ場の開発の計画が目白おしだった。何とか自粛をしていただけないかなと取り組んでおったんですけど、なかなか開発行為を止める法律がなくて。富士山の見え方とか風景をとても大事な環境の要素だろうということで、富士山の見え方をみんな注目してるんだよ、皆さん気にしてるんだよということを何とかアピールできないかといったところから富士山観測が始まった」
1995年から2年間、観測を担当していたのが、山田教文副市長。
決まった時間に観測しなければいけないので、苦労もあったそうです。
山田副市長:
「見逃しちゃ観測しわすれちゃいかんとか、土日プライベーとで他のことがあったりすると、だれかにたのまなきゃいかんとか、ちょっとプレッシャーはありまして。今思い返すとおもしろい仕事だったなとおもいますけども。ちょっとその当時は大変だった記憶があります」
ライブカメラ
三浦 徹記者:
「富士市では富士山の様子をライブカメラで配信しています。市役所のホームページでは24時間、富士山の映像をリアルタイムで見ることができます」
撮影しているのは富士市役所の8階に設置されたライブカメラ。
反射を抑えるため箱におおわれています。
現在、富士山の観測を担当しているのは、企画課の井上美乃里さん。
以前は職員が自分の目で見ていましたが、今はライブカメラのデータを使っています。
富士市企画課 井上美乃里さん:
「全体が見える、一部見えるだとか、見えなかったとその間の部分っていうのもあるので、その判定どっちにしようか。それによって1年間に見えた日数がかわってきてしまうので、やはりそこは責任感がありますね」
井上さんはデータをパソコンに取り込み、1日3回分の富士山の映像をチェックしていきます。
映像を見ながら「全体が見えた」「一部が見えた」「全く見えない」の3種類に判定します。
井上さん:
「これは全体が見えたに分類されます。富士山のすそ野から頂上まで見えているので、全体が見えたにカウントします」(1月1日8時)
「富士山がまったく見えず、雲しか見えないので、見えなかったに判定します」(1月15日8時)
「頂上が雲でおおわれていまして、一部見えなかったので、一部見えたになります」(1月4日12時)
「すそのの稜線が両方とも見えていて、頂上が何とかうっすらわかって。普段見慣れている私たち富士市民なら、あこれ富士山だなって分かるんですけど。他の人が見たときにどうかなっというところで非常に迷うケースになります。私は一部見えたに判定します」(1月22日正午)
富士市が32年に渡ってまとめた記録。そこからは意外な事実も分かりました
一日の中では8時が「全体が見えた」回数が一番多く、朝早いほど、よく見えたこと分かりました。
富士山の見える日数が多いのは11月~2月。逆に少ないのは6月~8月でした。
32年で「全体が見えた」のは4244回、「全く見えない」の4877回を下回っています。
富士市企画課 井上美乃里さん:
「数字でみると365日の内の何日っていうのがはっきりでてくるので、そうすると全体の見えてる日って4割も行かないくらいだというとこなのでそうすると見える日ってすごく貴重だなってこのデータを見てわかります。富士山見えるのが当たり前と思っている方多いんですけど、当たり前ではない。やはり富士山が見えるって凄いなって思います。
毎日そこにある富士山。
富士市が長年蓄積したデータは、その姿を見ることができるありがたさを、改めて市民に感じさせてくれます。
続てけいます。
そのデータを見てみるといろいろな事実が分かってきます。