行列ができる「幻のオムライス店」 開店は月1回、2時間だけ…そのワケは 静岡市
静岡市の中心部。駿府城公園にほど近い「長谷通り」。
原川朋華記者:「昔ながらのお店が立ち並ぶこの商店街で、行列ができているのが、こちらのオムライス屋です。店の中からはオムライスのおいしそうな臭いが漂っています」
常連客:「すごくおいしくて毎回私、予約で頼んでいま、仕事の合間に来ました」
客の絶えない店内。実はこの店、月に一度、しかも2時間しか営業しない幻のオムライス店なのです。
「幻のオムライス店」オーナーシェフは市内でフレンチ店を経営
長谷通りから3キロ離れた駿河区馬渕で、フレンチ店を営む鈴木啓介さん。幻のオムライス店のオーナーシェフです。11年間、都内のホテルなどで料理人としての経験を積んだのち、13年前に自らの店をオープンしました。
なぜ、月に一度のオムライス店を始めたのでしょうか。
鈴木シェフ:「子どものころによく遊んでもらった街ですね。とても親切にしてもらった街です」
鈴木さんは長谷通りに近い町内の出身。長谷通りは、40年ほど前までは繁華街の呉服町や両替町に匹敵する商店街でした。しかし最近はかつての活気が衰退し、去年、ついに大手スーパーも撤退しました。
鈴木シェフ:「地域のご年配の方とかが、けっこう買い物が大変だっていう話を聞いて、手助けができればなと思って」
仕込みを終えて、いざ長谷通りへ。
3回目の出店 こだわり卵でふわふわとろとろに
この日は3回目のオムライス店の出店。妻の麻美さんと準備を進めます。フードロスの削減にも熱心な鈴木シェフのこだわりで、オムライスはすべて事前の予約制です。この日の予約は53個。清水の養鶏場から仕入れたこだわりの卵を、お客さんが来てから焼きはじめ、ふわふわとろとろに仕上げます。
客:「オムライスが大好きで、セラヴィさんがすごく気になっていたので、ぜひ食べてみたいと思って。めちゃくちゃおいしそうで食べるの楽しみです」
常連客とシェフ
「この隣の隣がカズさんの実家だったんですよね」
「あ~お好み焼きとか」
「そう、もんじゃ屋さんで」
「行きました、行きました」
「サッカーのカズさんの」
地元トークにも花が咲きます。
常連客:「長谷通りにいながら味わえてとても幸せ。ね~。ほんとうれしいね。楽しみ。毎月の」
客とシェフの妻
「また食べたいなと思って」
「またぜひ」
「ありがとうございます」
2時間かけて予約分の53個が完売。
鈴木シェフ:「楽しかったです。めちゃめちゃ楽しかったです。懐かしいんですけども、また新たな出会いがあったというか。そんな気持ち。1歩1歩進んだ先にこの商店街が、ここからまた新たなスタートを切って活気があふれる街になればいい」
月に1度、2時間だけ、オムライス店がかつての長谷通りの姿を思い出させてくれます。