今年はウナギが安い! 特大サイズが1尾1000円 『完全養殖』低コスト化に成功…さらなる期待も
香ばしい香りに、ふっくらと焼き上がった身。暑くなってくると食べたくなる“ごちそう”の代表格、ウナギ。とはいえ、高級食材のイメージもあるウナギですが、今、“異例の安さ”となっているんです。
ヒバリヤ営業本部 山岸達也部長:「店の売価で約2割下げて販売できるくらい」
ここ数年、値上がり傾向が続いていたウナギ。ただ、今年は流通量が増えたことで価格が下がり、市場の平均価格も、去年に比べて2割以上安くなっています。
取材した静岡市内のスーパーでは、厚みのある特大サイズのウナギが1尾1000円ほどで並んでいました。
静岡市 70代女性「すごく安いと思う」
静岡市 30代女性「このくらいだったら家で食べてもいいなと思った」
静岡市 30代女性「この半分くらいでこのくらいの値段なイメージ。ちょっと手が出やすい」
ヒバリヤ営業本部 山岸達也部長:「今の安い価格のまま推移して、6月中旬ぐらいから国産もしっかり導入して、国産と中国産を安い価格で販売できるかなと思っている」
“完全養殖”ウナギ販売始まる 農水大臣「めちゃくちゃおいしい」
そんなウナギをめぐって、先週、新たな一歩が…。
佐々木沙羅アナウンサー:「ついに、完全養殖ウナギの販売が世界で初めてスタートしました。こちらの販売サイトでは、販売開始からすぐに売り切れてしまいました」
世界初となる、完全養殖ウナギの試験販売。天然の稚魚からではなく、卵から人工的に育てられたウナギです。元々、完全養殖自体は2010年に成功していましたが、稚魚1匹あたりの生産コストは4万円と、商品化にはほど遠い状態でした。それを生育方法の改良や最新技術によって、1800円まで下げることに成功。1尾およそ5000円で、今回の試験販売にこぎつけました。
鈴木憲和農水大臣:「めちゃくちゃおいしいです。すごくおいしい。ごめんなさい、ただおいしいという言葉しか出ません。人生で食べたウナギの中で、間違いなくトップ3には楽勝で入る」
今回試験販売を実現したのは、大分県の水産会社ですが、完全養殖のノウハウを提供したのは、南伊豆町にある水産技術研究所。長年にわたってウナギの完全養殖の研究を進め、民間企業への技術移転にも取り組んできました。
テレビ初潜入ウナギの完全養殖施設
そんな、いわば、“完全養殖発祥の地”とも言える静岡県にも、完全養殖ウナギの商業化に挑戦する企業が…。
植田結衣子アナウンサー:「私の後ろにあるこちらの建物の中で、ウナギの完全養殖を目指す研究が行われているということなんです。どのような様子なんでしょうか」
大阪に本社を置く「神港テクノス」が焼津市に構える試験場。こちらでも水産技術研究所のノウハウを使い、2024年から、ウナギの完全養殖に取り組んでいます。こちらの試験場にテレビカメラが入るのは、今回が初めて。完全養殖に取り組む、研究の最前線に潜入取材です。
植田アナ:「え~!こんな…シラスくらいのサイズで?」
神港テクノス焼津養鰻試験場 西谷勇佑さん:「そうですね。今だいぶ大きくなって、シラスくらいのサイズになっている」
こちらで行われているのは、卵からふ化した直後のウナギを、稚魚である「シラスウナギ」まで育てる、実証実験です。捕獲したシラスウナギを成魚まで育てるのが、従来のウナギの養殖。シラスウナギまで育てば、その後の生育は容易だからです。つまり、完全養殖の中でもカギとなるのが、シラスウナギまで育てること。“最も難易度の高い”プロセスが、この試験場で行われているんです。
神港テクノス焼津養鰻試験場 西谷勇佑さん:「1日5回2時間おきに餌をあげている」
鶏卵をベースにしたペースト状の餌を、毎回手作業で注入。生育を早めるため、2時間おきという短いスパンでえさを与えます。餌やりから、15分が経過すると、えさで濁った水槽に、きれいな水が流れ始めました。
神港テクノス焼津養鰻試験場 西谷勇佑さん:「水が汚いとすぐに死んでしまうので、必ず水槽の水を交換して、なるべくきれいに保てるような体制をとっている」
水槽の水は、えさやりの時間以外、常に新しい水を入れ続ける“かけ流し”。1日に使用する水は、およそ10トンにものぼります。使われている水にも、特徴が…。
神港テクノス焼津養鰻試験場 西谷勇佑さん
Q.大きなこのタンクは?
A.「駿河湾の深層水をタンクで貯水して、それを使っている」
ウナギの赤ちゃんは水質の変化に敏感なため、通常の海水よりも細菌や微生物が少ない、駿河湾の深層水を使用。近隣の施設で購入し、試験場まで1日に4往復。毎日16トンの深層水を運び入れます。
神港テクノス焼津養鰻試験場 西谷勇佑さん:「他の研究所ではまずできないことなので、この場所は譲れなかった」
静岡で培われた完全養殖の技術を、駿河湾の恵みが支えていました。こちらの企業でも、すでに成魚まで成長させることに成功していて、今後は実用化に向け、飼育規模の拡大を目指します。
神港テクノス焼津養鰻試験場 西谷勇佑さん:「水槽の数や管理できるウナギの数にも結構限りがあって、最終的には海沿いの土地などを借りて直接深層水を汲めるようなところに移転して、来年度あたりには事業として確立できたらと考えている」