“国内最大規模“竜巻で1340棟に被害…3カ月たっても屋根にブルーシート しばらくは張り直しの必要も 牧之原市 /静岡の2025年

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 9月の竜巻の発生などで、甚大な被害をもたらした台風15号。県の発表によりますと、牧之原市では76人がけが、1340棟の建物が被害を受けました。気象庁は、牧之原市から吉田町にかけて発生した「竜巻」について、“国内最大規模“の風速およそ75メートルであったと発表。この規模の竜巻が県内で観測されるのは初めてのことで、「過去最大クラス」の竜巻となりました。

発災2週間後

伊地健治アナウンサー 9月:「竜巻の被害からあすで2週間となる牧之原市の細江地区です。こちらに見える道路、発災直後はですね。多くの電柱が倒れて通行できない状況でしたけれども、今ではすっかり片付けられ、新しい電柱も設置されて車も通れるようになっています。ただ、その周りを見てみますと、2週間前から時が止まったような状況です」

 この時電気や水道の復旧や様々な支援が行われているものの、被災した多くの人たちが元通りの生活に戻るにはほど遠い状況でした。こちらのお宅は竜巻によって全壊。住むことができなくなってしまいました。

被災者した大塚文江さん
Q.2週間たって思うことは?
A.「凄かったのと、よくケガもしなくてって思うくらいですよね。みんな一緒だで、しょんないねっていう感じですよね今は…」

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12月に大塚さんを訪ねると…

 代々受け継いできた畑に立つビニールハウスも見る影もなく壊れていました。12月18日にこちらのお宅を再び訪れました。

伊地アナ:向こうの家はだいぶ片付いた?
大塚さん:「もうちょっと」

伊地アナ:向こうの家はどうされるんですか?
大塚さん:「潰しちゃうんですけど」

伊地アナ:潰すんですか。
大塚さん:「潰すもんだから、(家財道具を)置いておけないので。畑をやりながらだからなかなか」

伊地アナ:この畑はお母さんの畑なんですね。
大塚さん:「そうです。なのでそれをやりながらだから、なかなか片付かなくて。でも最終的に片づけないことにはしょんないもんだから」

 竜巻で倒壊したビニールハウスの残骸はボランティアの人たちによって片づけられました。畑もすっかり元通りに見えますが、土の中には竜巻によりどこからか飛んできた瓦礫がいまだに埋まっています。中にはこんな大きいコンクリートの塊も埋まっているため、機械で耕すことができないといいます。

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伊地アナ:竜巻9月5日じゃないですか。3カ月半でもう年の瀬ですよね。今どうですか少しは落ち着きました?
大塚さん:「落ち着いたというか、終わらない感じね」

伊地アナ:年末年始はせめてどんなふうに過ごしたいとか
大塚さん:「そこまでいかないですよね、なかなか。お正月が来るっていう感じがちょっとないですよね。まだまだ片付けも終わらないし。年明けるころには畑のジャガイモを植えなくちゃなんないもんだからね。そういう準備もあるし。なんとなく、まとまらない感じですよね」

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発災2カ月後は大きな変化なく

 発災から2カ月後の取材では、町の風景に大きな変化はありませんでした。

伊地アナ:「住宅街を走ってみても、青いシートがかけられている家がまだまだ多くあります。屋根がなくなってそのままになっている家もあります。ああ、あちらの家も屋根がない。そのままの状態ですね窓ガラスも入れてませんから、とても住人の方が住んでいる状況じゃないですね、これは。あれから2カ月が経ってもまだこのような状況が広がっています」

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12月に入ると変化も…

 ここにきて青いシートが数多くの屋根にかけられていた風景が変わってきています。

伊地アナ:「今年9月5日、国内最大級の竜巻による甚大な被害が出た牧之原市の細江地区です。何度か取材でこの場所には来ていますけれども、ここから家々を見渡しますと、青いシートが屋根にかけられている家が少し減ったように感じます。その代わりに足場が組まれている家がだいぶ増えたようにも感じます。発災から1カ月、あるいは2カ月経った頃は、住民の方からはどの程度の補助金が出るのか分からないので、まだ工事に手が付けられない。そういった声を大きく、そういった声を多く聞いたんですけれども、今はようやく工事が始まったという家が増えたように感じます。このような状況の中で、細江地区の皆さんは年末年始を迎えるということになります」

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 足場が組まれ工事が少しずつ進む中、屋根にシートを張ったり、かわらを並べ直したりする技術系のボランティア団体の活動は今どうなっているのか聞いてみました。

災害救援レスキューアシスト 川島浩義さん
Q.今現在この技術系のボランティアの方達の活動って
どんな状況ですか?
A.「緊急性の高いものはだいぶ減ってはいますけど、ただ一度張ったシートが剥がれたり劣化しちゃったりということで、張り直しのニーズがこれからもしばらくは出てくる。見えてるブルーシートが本当に修繕工事が終わってなくなるまでは、シートは雨風にも太陽光にもさらされるので劣化してきますから」

 中長期にわたって技術系ボランティアが活躍するのは、単に家屋を修理するだけではないといいます。

災害救援レスキューアシスト 川島浩義さん:「ブルーシートが生活の中に残っているは、非常に精神的に気持ちが前に向かない。まずそれを取り除くために必要な措置を今やっているようなもので、今までの生活リズムを取り戻せたらなということで、そんなお手伝いですね」

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 長年日本中で災害支援のボランティアをしてきた川島さんは、その経験から、作業だけではない支援が必要だといいます

災害救援レスキューアシスト川島浩義さん:「精神的にも3カ月というとなかなか報道もされないし、ボランティアに頼みたいけど何頼んでいいかわからない。この先何からやっていいか分からないから、頼み事が分からない。そういう段階なので、例えば作業ばかりじゃなくて、福祉的な支援とか、生活の状態と言いますか、そういうのも一歩一歩解決してあげると、気持ちがこう復興というか、自分達の生活に近づいているなっていう実感が湧いてくると思うので」

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 こういった精神面の支援を長期に行うため12月15日に開設されたのが「牧之原市ささえあいセンター」です。
生活再建が中長期的となる被災者の孤立化などを防ぐ目的で開設されました。

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牧之原市 杉本基久雄市長:「糧物の再建などがこれから始まるわけですけれど、その中でいろんな悩みや困ったことがあろうかと思います。ささえあいセンターで支援させていただく」

 センターでは半壊以上の被害を受けた住宅を生活支援員が訪問し、相談に訪れるほか、関係機関と連携し情報共有を行う予定です。発災から3か月余り、少しずつ復興に向け動きがあるものの、安心してお正月を迎えられるようになるのは、まだまだ先となりそうです。

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