なぜ繁華街に集まる?ムクドリ大群が街路樹を“ねぐら化”する理由 タカでも追い払えない…自治体との終わらない攻防

夕暮れの街に突如現れる“黒い大群”

大場舞桜アナウンサー:「静岡市の中心街、青葉シンボルロードです。その一角、こちらご覧ください。おびただしい数の鳥の糞が落ちている。ここだけでなく、こちら側にも、かなりの量が落ちていて、地面が鳥の糞で白く染まってしまっている」

 静岡市の中心街、街路樹が連なる「青葉シンボルロード」。1年を通して様々なイベントが開催されるなど、普段は市民の憩いの場ですが、この時期、夕方になると…。

なぜ繁華街に集まる?ムクドリ大群が街路樹を“ねぐら化”する理由 タカでも追い払えない…自治体との終わらない攻防

鳴き声とフン害…市民から困惑の声

大場アナ:「まもなく午後6時です。日が暮れ状況が一変しています。先ほどまではしなかった鳥の鳴き声が聞こえてくる。それもものすごいボリュームです。近くの木を見ると、上のほうに物凄い数の鳥が止まっているのがわかる」

 午後5時ごろに、どこからともなく飛来すると、午後6時には、一部の木々がムクドリの群れに占拠される事態に。この異様な光景に、通行人の視線も自然と頭上へ向けられます。

周辺で毎日散歩をする人:「本当に黒いかたまりがワーッと。木の周りを囲むように」
Q.いつもこんなに鳴っている?
A.「そうですね。この時期は割と多い」

静岡市民:「この木の下は歩かない」
Q.なぜ?
A.「下に糞が落ちているから。だからそういう意味でみんな迷惑をしていることは事実」

なぜ繁華街に集まる?ムクドリ大群が街路樹を“ねぐら化”する理由 タカでも追い払えない…自治体との終わらない攻防

大道芸W杯・イルミ点灯式を前に高まる不安

 実はこの場所、2週間後に「大道芸ワールドカップ」、11月には、「イルミネーション点灯式」と立て続けに大型イベントが開催予定。

静岡市公園建設管理課 杉村則久主幹:「なんでこの木ばっかりとまる? 高さがあるからなのかな…」

なぜ繁華街に集まる?ムクドリ大群が街路樹を“ねぐら化”する理由 タカでも追い払えない…自治体との終わらない攻防

タカ出動でも再来…自治体の悩み

 状況を確認するために現地入りしたのは、静岡市の担当者です。

静岡市公園建設管理課 杉村則久主幹:「夏場、8月の最初の頃かな、その時は鷹匠さんに来てもらって鷹を放した。それですぐ追い払えたんですよね」

 鳥獣保護管理法により、駆除が禁止されているムクドリ。静岡市では10年前から天敵であるタカを使った追い払いを行っていますが、今回のように、再び戻ってきてしまうケースもあるといいます。

鷹を使って追い払う
鷹を使って追い払う

ムクドリが繁華街を選ぶ意外な理由

 市は現地調査の2日後、ムクドリが密集していた木々を剪定。当面の対策としました。一体なぜ、この時期に、人通りの多い繁華街に現れるのか。鳥類の生態に詳しい識者は…。

掛川花鳥園 北條龍哉副園長:「街路樹は常に周りに人の気配があって、天敵である鷹やフクロウが寄り付きづらいので、まず自分たちの身の安全を守れる安全地帯であることが非常に重要な要素になるのと同時に、冬場を暖かく乗り切りたいということで、安全で暖かい都市部の街路樹ななどに、夜の間のねぐらとしてやってくる」

浜松の空を覆う“黒い帯”15年以上続く攻防

大野裕輝記者:「午後5時を過ぎました。今、上空を見ると数えきれないほどの鳥が飛んでいる。どこから来てどこへ飛んでいくのでしょうか」

 県内でもとりわけ群れの規模が大きいとされる、浜松市。

大野記者:「ものすごい数の鳥が木にとまっている。木が黒くなっています、すごいですね」

 浜松市のシンボル、アクトタワー周辺を“巨大な黒い帯”となって飛び回るムクドリ。

浜松市民「この季節になると『来たな』っていう風物詩のひとつだと思っている」

 地元では、もはや“おなじみの光景”となってしまっていますが、市は15年以上にわたり、地道な対策を続けています。

アクトタワー周辺の“巨大な黒い帯”
アクトタワー周辺の“巨大な黒い帯”

追っても追っても戻ってくる…4時間の追い払い作戦

 平日の夕方、浜松駅からほど近い並木道・「アクト通り」で行われていたのは、ムクドリの追い払い作戦。市から委託された業者が、半年もの時間をかけて行います。ムクドリが嫌がる特殊な「LEDライト」と「木槌」による二刀流で対策を講じますが、追い払ったのも束の間。

大野記者:「先ほどまであちらの木にとまっていた鳥は、今度奥の方へ飛んでいったということで、それに合わせて業者も移動している」

 逃げては移動し、また追い払う。その繰り返しが4時間も続きます。

 一見すると、ただの“いたちごっこ”にも見えますが、これは、ムクドリの習性をふまえた、長期的な効果を見込む作戦なのです。

共存か根絶か 答えなきムクドリ問題

掛川花鳥園 北條龍哉副園長:「このエリアは安全なんだなという認識が、やはりこう動物の中でできてしまうと、より集まりやすくなってしまう」

 浜松市は、こうした“嫌がらせ”を根気強く続けることで、「定住」や「ねぐら化」を防ぎ、全体数の抑制を図っています。

掛川花鳥園 北條龍哉副園長:「ムクドリとしては、自分たちの身を守って快適に生活するために行動している。ごくごく当たり前の行動なので、人間がコントロールするというのが難しい。こういったものは、いたちごっこになりがちなもの」

 根本的な解決策がない中、自治体が絞る知恵。ムクドリとの共存に向けた試行錯誤が続いています。