静岡と浜松の地域対立の様相も…静岡大・浜医大の再編問題 静岡市長「地域の理解は得られていない」

静岡市 難波喬司市長(26日):「地域の理解は得られていないと思います」

静岡市 難波喬司市長
静岡市 難波喬司市長

浜松市 中野祐介市長(24日):「今回の動きが再編・統合の長期化につながるとしたら、我々としては非常に危惧するところです」

 両政令市のトップが会見の場で言及するほど こう着状態が続く静岡大学と浜松医科大学の「統合・再編問題」。大学内の“お家騒動は”、自治体や、経済界をも巻き込み、「静岡」と「浜松」という地域対立の様相を見せています。

浜松市 中野祐介市長
浜松市 中野祐介市長

「地域の理解は得られたか」

 4年前、1つの法人が2つの大学を運営する「1法人2大学案」に合意した両大学は、再編に向け、プロジェクトをスタートさせました。ただ、「静大・静岡キャンパス」がある静岡市や、静岡市議会はこの「1法人2大学」の再編案に難色を示していました。そうした背景もあり、おととし1月、「統合・再編の合意書案」は延期に。その後、静大の日詰学長が、新たに「1大学2校案」を示しましたが、今度は浜松医大側が、これを拒否しています。

「1大学2校案」を浜松医大側が拒否
「1大学2校案」を浜松医大側が拒否

 そもそも、大学の再編に関しては文部科学省が、「再編には地域の理解が必要」という条件を示しています。23日、浜松医大が静大に送った文書には、「地域の理解が得られた」として、2019年の「1法人2大学案」で計画を進めるべきという主張が記されていました。

 浜松医大が「地域の理解が得られた」と言う理由は、静岡市の難波市長の過去の発言にあります…。

静岡市 難波喬司市長(8月10日):「これは大学でお決めになることなので、あまり申し上げないことにしておりますけれども、今回の1大学2校案というのは、よくわからないですね、中身が」

静岡市 難波喬司市長(8月10日)
静岡市 難波喬司市長(8月10日)

 前の市長の時代に、もともとの「再編案」に反対していた静岡市が、新たな案となる「1大学2校案」を批判したこと、さらに、明確に意見を示さなかったことから、浜松医大側は「地域の理解が得られた」と判断したものとみられています。

「地域の理解」は得られていない

 しかし、26日の会見で難波市長は…。

静岡市 難波喬司市長:「地域の理解というのは何かというと、『経営形態についてこれがいい』ということではなくて、魅力ある大学として、もっと魅力を高めるようなシステムを作ってもらいたいということ。その点で私は十分な地域の理解は得られていないと思う。もう一度正確に言いますけど『法人形態についての地域の理解』ではない」

静岡市 難波喬司市長
静岡市 難波喬司市長

 静岡市にとっての「地域の理解」は、言い換えれば「統合・再編をすることで魅力ある大学になるかどうか」

 その点で、「魅力づくり」はまだまだ足りないとして、難波市長は「地域の理解が得られていない」と説明しました。

 つまり、両校が揉めている法人の形態については、あくまでその手段にすぎず、静大側が新たに示した「1大学2校案」についても、静岡市は賛成も反対もないスタンスだと主張したのです。

「地域の理解が得られていない」
「地域の理解が得られていない」

静岡市 難波喬司市長:「はっきり申し上げて、私は何かその静大、浜松医科大学に申し上げて中身が変わることはないと思う。感想を述べることはできるが、感想を述べる以上に何か圧力をかけたりするのは、私はその大学に対してやるべきではないと思うので、経営形態については何も申しあげない」

 この難波市長の発言により、さらに混沌としてきた静岡大学の“お家騒動”。果たして、静岡側と浜松側、双方が納得する着地点は見つかるのでしょうか。