静岡大学で再編めぐる「お家騒動」 静岡と浜松で割れる意見…どうなる浜松医大との統合・再編
静岡大学と浜松医科大学の大学統合・再編問題を巡り、学内の合意を得る会議が18日、開かれています。静岡と浜松で割れる意見。今後の方針はどうなるのでしょうか
梅田航平記者(18日午後2時半すぎ):「浜松市の静大浜松キャンパスです。いまあちらの建物で学長や部局長らが集まり、日詰学長が示したモデルチェンジ案を大学の正式案にするべく評議会が開かれています」
静岡大学の統合・再編をめぐっては、2019年に両大学が2つの法人を1つにした上で静岡地区と浜松地区にそれぞれ新たな大学をつくる「1法人2大学」案に合意していました。
ところが、静大側の学部が減る形となる静岡キャンパス側では反対論が根強く、計画は無期限延期となっていました。今年に入って、静大の日詰一幸学長が私案として、当初の合意とは異なる「1法人1大学」案、その後、「1大学2校」案とするモデルチェンジ案を発表。一方、合意書通りの「1法人2大学」の再編を進めたい浜松市が、3月に期成同盟会を発足させていて、行政や経済界を巻き込む対立の様相を呈しています。
合意書締結から4年が経過する中、「1大学2校案」を静大の正式案とする動きについて、静岡キャンパスの関係者は、「膠着した議論を打開するための歩み寄り案」と強調。10月4日には、日詰学長が静大の教職員らに書簡を通して「静岡大学を2つに分けることは、私の望むものではない」とし、改めて「1大学2校案」を推進する意欲をにじませました。
各部局の代表者らが出席する18日の評議会では、これまで学長の私案だったこの「1大学2校案」を、静大側の正式案とするための協議が行われており、事実上の意思決定がされる見通しです。
ただ、学長の動きに反発する浜松キャンパスの学部長らは、評議会に先立ち、16日、独自で反論会見を開き、公然と執行部に反旗を翻す事態に。
静岡大学 川田善正理事(浜松キャンパス):「学内で合意の白紙撤回を視野に入れた議論が一方的に進められていて、静岡大学の名誉および信用を大きく毀損し、発展の機会を損失するという危機感をもっている」
静岡大学は、「学内で合意を得られるよう協議しているさなかで、このような記者会見が行われたことは遺憾である」とし、浜松側の動きに不快感をあらわにしました。静大学内での対立も激化、18日午後2時半に始まった評議会は午後5時半現在も続いており、会の終了は夜遅くにもつれこむ可能性も出てきています。
関係者によると、きょうの評議会で学内の合意が得られた場合、来週の役員会で正式決定され、今月31日の浜松医科大学との連携協議会で静大側が正式に提示する予定でしたが、浜松医科大学側から協議会を延期したいと申し入れがあり、「1大学2校案」について両者が協議する場は、事実上宙に浮いた格好です。
両大学の統合・再編を巡る議論は開始から5年が経ち、新たな局面を迎えています。