熊本地震では直接死の4倍…「災害関連死」を招く3つのリスク 静岡大学・岩田孝仁特任教授「定期的に体を動かして」
Q.能登半島地震の被災地の様子を見て
岩田教授:「先週は分からなかったことが次々と分かってきた。厳しい冬の寒さの中で、救援活動が非常に困難を極める。当初から想定していたはずですが、実際に現実に動くとなると、なかなか現場に入れないとか、孤立地域の解消は進んだと言いながら、救援物資を運ぶことがかなり困難だと」
熊本地震では災害関連死が直接死の4倍…避難生活者のケアは
橋本ありすアナ:「時間が経てば経つほど、支援のむずかしさがより明確になってきた状況です」
伊地健治アナ:「能登半島の先端に近い珠洲市、輪島市に被害が集中している。12日午後2時時点で215人死亡、そのうち14人が災害関連死です。災害関連死ですが、2016年の熊本地震では直接死50人に対し、災害関連死218人と4倍以上」
岩田教授:「最初は救助活動中心ですけど、いま避難生活をしている人をどうケアしていくか、特に高齢者とか、普段ケアを受けている人が、ケアが途絶えてしまうことで命にかかわるケースが増えてくる。それがこの冬の厳しい季節の中で、救援物資が届かないとかいう中で、いま石川県は2次避難ということで、もう少しケアができるところへ避難者を移動させようという動きがある。そうしたことをもっと速やかに進めていかないと、被災地の中でやろうとしてもできないことです」
伊地アナ:「インフラが途絶えているところで避難している人が多いと。災害関連死のリスクを大きくするのは「水不足」、これによって脱水症状がおこり、誤嚥性肺炎などを引き起こす要因になる。「3密」、新型コロナやインフルエンザがまん延する恐れがある。さらに「運動不足」、心不全やエコノミー症候群の恐れがある。石川県の耐震化率は76%(2010年時点)。どうしても避難所に行ってしまう」
岩田教授「耐震性の問題もあるし、今回は余震が多いので、避難しておかないと安全が確保できない」
定期的に体を動かすことが大事
須藤アナ:「3密や運動不足でリスクが高まるというが、そのリスクをできるだけ軽減するにはどうしたらいい」
岩田教授「まずは定期的に体を動かす。車中泊だと、じっーといるだけでエコノミー症候群になる。みんなで声をかけて一緒に体を動かす」
孤立が予想される地域の対策は
伊地アナ:「能登半島と伊豆半島は地形が似ていて、孤立の恐れもある。石川県では12日午後2時で17地区1910人が孤立している。静岡県の調べでは、去年3月現在で397集落ある。ヘリが降りられるのは153集落」
岩田さん「孤立は物理的に道路が寸断されるイメージだが、もう一つ重要なのは情報。今回も携帯電話がつながらない、けが人が出ても救助要請もできない。道路が通れないとアクセス手段はヘリコプターだけになってしまう。着陸スペースの確保も必要、確保できない地区は上空から物や人をおろすとか、人を救助するとかも考えておかないと」
(1月13日放送)